表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子ウサギは竜王様に寵愛されたい  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
2.1章 春の日に兎を釣るよう
62/256

閑話 アドニスの苦悩

 Q.ウサギが泥だらけで竜王の部屋に入った時に、アドニスは何処に居たか。


 A.竜王に泥だらけの件で後で色々言われるかもと危惧し、部屋から逃亡。隣のウサギの部屋でベルになり、知らんぷりして寝ていた。


 ↓そんな泥だらけの件からの話↓


 ***


 side.アドニス


 ひらり、ひらりと揺れるウサギが着ている白いワンピースの裾を目にし、本来ならーー…とアドニスは吐息を吐く。


 着ている服の生地は絹。

 この世界ではかなりの上物だ。

 しかも普通の絹ではない、飼い慣らした(カイコガ)の幼虫の魔物が吐き出した糸を紡いだ逸品だ。250年前にマルティンと共に竜王を訪ねてグリンウッドに足を運んだ最に見付けた貴重な魔物で、「これで絹糸が作れるっ!!」と大興奮した俺に対し、「魔物の糸を女性が着るのでしょうか?」と懐疑的だったのだが、織り込んだ反物を見てマルティンの目が変わったのは未だに覚えて居る。

 それから竜王に頼み、魔物の卵を孵化して飼い慣らし、餌さえ充分に与えれば全く被害が出ず、逆に物凄い大人しい従順な質だと知って驚いた。

 最ももっと驚いたのは、竜王が普段からこのカイコガを飼い慣らしており、グリンウッドで過ごしていた時に稀に人形になった時に頼んでハンモック(の様なもの)を作り、寝ていたらしい。


 …そう言う事は先に言え。

 と、マルティンと共に突っ込んだのもナントヤラ…


 兎に角。


 ウサギは何も知らない。

 人社会の常識も何も。

 着ているワンピースがどれだけ高価な品なのかも。


 既製品の品ではあるが、布地が………。


 素手で掘った為に土だらけの、泥だらけのウサギの手。履いてるワンピースの裾も土だらけになっている。

 白いから余計によく目立つ。


 あああああっ!

 俺の過去の苦労の品がっ!

 汚れ落ちるのか?


 それにもう1つ。

 ウサギの手。

 手を洗うと言うことを知らないのだろう。

 泥だらけだ。

 その手のまま、竜王に触れるのは……


 見なかった事にするっ!

 よし、俺は見なかった。

 俺は見なかった。

 俺は見なかった。

 見なかったんだっ!


 よし、これで行こう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ