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子ウサギは竜王様に甘え倒したいっ!19

 城下街アルトグレイの外、街を囲っている門の外で女性の声が上がる。

 まずひとーつと言う声が上がる。

 その途端、上空に蹴り上がる元人の形。

 蹴り上げると土人形は元の土塊に戻る。

 次、二つ、みーつ!

 と、次から次へと声が上がる。



「アンバー!次!」


「はい!カブリス!」



 アンバーと呼ばれた女は、浅黒い肢体をし、顔に蔦の様な模様を浮き上がらせ魔力を練り上げる。



Water(水の) turbulence(乱れ)



 手から放たれた水魔法は幾つもの水の刃になり、前方に居る土人形達に突き刺さり、崩壊し土塊に戻る。

 その間に撃ち漏らした土人形を次々とカブリスは手にした細身の剣で突き刺し、薙ぎ倒し、時には蹴倒して倒して行く。



「あーもー!早く帰宅したいのに!」



 次々と襲い来る土人形に水系統の魔法を撃ち込み、二桁程倒しつつも魔力の底は尽きずにドンドン撃ち込む。



「やだアンバー、今日旦那帰還の日?」



 竜王様(ご主人様)がグリンウッドの守護から解き放たれたのは良いのだが、次の守護者が決まる迄仮の守護を私達一族が担う事になったのだが、何せグリンウッドは広い。広大過ぎてとても私達一族の者一人では受け持つ事が出来ず、常時人数を割り当てており、今回の襲撃はその内情を知っていた元執事のエルフに其処を付かれた。しかも街の門の死角に元ウサギを連れて来た後に襲撃する為か、数千に及ぶ土人形が街の門の陰の地面に土の塊に姿を変えて待ち伏せて居た。



「違う違う、早く城に帰りたいなって!」


「あ~御嬢様か!」


「そーそー普段仕事あるし、滅多に会えないじゃない?」


「私なんて今日初めて会ったわよ」



 と、カブリスは紹介はされてないから御嬢様に認識されてないだろうと愚痴る。



「うっわ、それ本当?」


「そうよ!私なんて何時も遠くから見るだけなのよー!御主人様独占してないで私ことカブリスに紹介して欲しいわ~!マルティン様もお願いだから紹介してよー!嗚呼っ御嬢様付きのマミュウちゃんが羨ましいっ!」


「私達護衛ってより暗殺アサシン向きだから仕方無いしねぇ」



 お陰様で護衛等したことが無いから勝手が分からないと腕を振り回し、アンバーは"軽く魔法を撃ち込み"土塊を作る。



「はあ、憩いや潤いが欲しいわ~御嬢様って言う可愛い憩いが!そして!私の為に御嬢様のドレスやワンピース縫わせて欲しいわ!」


「そう言えばカブリスの趣味よね洋服作るの」



 先日のブラックロリータの衣装、カブリスの会心の作品だったなと思い出し、



「御嬢様カブリスのブラックロリータの衣装、先日着てたわよ?」



 しかも御主人様に誉められて、午前中は御機嫌だった筈。

 残念ながら午後から御主人様が急用で出掛けた為か拗ねてしまい、晩御飯の大部分を残してしまって料理人共々心配したのだが。

 熱も出て居たしね。



「何ですって~見たかったァアアア!」



 と、土人形に細身の剣を突き刺し土塊に変えつつ、



「着てくれたってことは御嬢様気に入ってくれたってことよね!よっし次何作ろう!」



 本当はマミュウが問答無用で着せたのだが、そんなことは知らない女子二人(年齢的には御婦人と言う年齢を遥かに越えた年齢だが、マルティンの一族に"仲間入り"した彼女達は見た目二十代に見える程若々しい)は敵を一掃しながらも会話は女子会並。

 その脇で他にも居た男性である従僕達は、彼女達の会話に一切入らず、黙々とただひたすらに討伐する。そうでないと従僕達の腕では彼女達の足手まといに為りかねないからだ。



「それにしてもコレ、飽きてきたわぁ」



 と、カブリスが言うと



「相手も疲労してるだろうし、〆る?」



 アンバーは魔力を高めつつ、練り上げる。



「本当はカデンツァが来るの待ちたかったけど、来ないって事は城で作業してるのでしょうね」


「に、してーも!腹立つわ~!あのエルフの執事!長年の信頼を打ち消しやがってさっ」



 と言いつつ、アンバーは目線で目標物はアソコとカブリスに示す。



「多分精神乗っ取られてたんじゃないかって話だけどね」


「それにしても!御嬢様狙うのってムカツク!」


「確かに!」



 ワアワアと喚きつつ、標的ーー遥か遠くの木の上に居たエルフにアンバーは魔力を破裂させ、落ちて来た所に何時の間に移動したのか、カブリスが剣で喉を突き刺し止めを刺す。



「「はい、終了」」



 と彼女達が言った途端周囲の土人形は全て崩壊し、元の土塊へと戻って行った。




 ***



 "Refreshing wind

 Clear wind

 Purify and cure the wounds and heal him..."



「ん~やっぱ~ちょっとずつしか治療の力が届かないねぇ」



 結構喰らってるねと言われ、苦笑する。

 この身体なら酷い事にはならない。この死せる身体は元々生きて居る訳ではないから。


「浄化だけで宜しいですよ、最悪ほっといても「そう言う訳には行かないでしょ~」」


 マルティンの言葉に割って入って来た透明な羽根を羽ばたかせる精霊は、喋りながらも空中で魔法陣を描き、小さく詠唱を続け、



「僕はね、完治してほし~の、わかる?」


「恐れ入ります」


「やめてよ~そー言うの。僕よりマルティンのが立場上じゃない~?」


「変わりませんよ」


「え~?んじゃウサギちゃんの下で~マミュウちゃんより上」


「…それ、意味がわかりませんが」


「うん、僕も~わかんないや~」



 あははははと笑うこの精霊は、第二番目原始の風の精霊 精霊女王ミトラ様の部下だ。位置的には私とほぼ同じだが、彼は風の上位の精霊になる(原始の次の位)。そして私マルティンは第五番目原始の水の精霊 竜王様の部下。二番と五番では明らかに私のが下だ。

 個人的には敬意を示したいのだが、昔からこんな感じで受け流す。


「それにしてもウサちゃん~思ったより可愛いかったなー!」


「それ、首が胴体と繋がっていたいなら御主人様には言わない方がいいですよ」


「アッハッハッハ!そうしとく~!」



 と、言った途端。

 フラグ立ってしまってたんですねぇ……。


 ベローンと目の前て精霊の頬が伸びた。



「りゅほはん~ひほほほい」



 恐らく"酷い"と言うような事を言って居る精霊に対し、御主人様は無言でグリグリと頬を伸ばしている。

 ……が、



「御主人様、それは一体?」



英文魔法詠唱は適当にしてます。

何時もならゲルマン系統から引っ張ってくるのですが、水=攻撃魔法=個数有りだとチョット思い当たらず…


今度時間がある時にでも探してみようかなと思います。

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