乙女な餌、水に浸かる
後書き追加
怒った?
怒った??
怒ったよねぇええ???
濡れた背中にごめんなさい!
ーーと、必死で謝ってみたのだけど、出る言葉は「ピュィィ」とか「キュィ」とか、そんな鳴き声しか出なくて。
私、まだ竜の背中で揺られてる。
何だか竜から変な気?気圧?気配?が出てて、他のモンスターが私達を見てるのは分かるのだけど(主に私が餌って意味でなのだろうけど)、誰も寄ってこない。
多分竜さんが怒ってるから、皆その気配に怯えているんだ。
ごめんなさい。
竜さん汚しちゃってごめんなさい。
怖いよ、怒らないでってずっと鳴いてたけど、竜は振り返らない。
何度も竜が気が付く様に、振り向いて欲しくて喉から必死で鳴いてみたけど、元々私達ウサギはあまり喉の音声の器官は発達していない。鳴いてみても小さな鳴き声しか出せない。
何だか私、変。
ずっと乗っけてるだけの竜が振り返らなくて、酷いことされて囮にされてたのに、悲しくなってきた。
寂しくなってきた。
汚しちゃってごめんなさい。
もうやらないからってずっと鳴いてた。
そして、気が付いたらーーー…?
ザブンッて水飛沫が聞こえて。
「ピギャァアッ!」
やだやだやだっ!
何これ何これ何これぇぇえ!
鳴いた口に冷たい水が入り込み、瞬時に全身が冷えて固まる。
一瞬のうちに手足がつって、凍えて動けなくなった。
ゴボゴボと自身の長い耳からは不快な音が聞こえ、鼻や口から空気の気泡が零れ出る。
ここ、なに?
水中で目を瞬きし、目の前の光景に何が起こったのか理解が及ばない。
何してるの?
ゆらゆらと揺らめく視界の先で、巨大な竜の姿は徐々に縮み…
紫色の前髪を鬱陶しげにかき上げ、ライトブルーの瞳の人間が私を水中から抱きおこした。
髪は前髪は短く、後ろ髪は腰より下までと長い。
その長い長髪は全身と同じく濡れ、毛先に行くにつれて紫の色の髪は薄い色合いになっている。
耳はエルフみたいに尖っているが、エルフよりは長身かもしれない。そして切れ長の瞳。そう言えば竜さんも同じ瞳の色をしていた。
口から覗く鋭い犬歯には見覚えがある。
ーーこの人、誰???
まさか、ね?
餌目の前の現実に混乱っ
□■□
Mo○ageフレに「餌投入してきたよ」って告げたら、「とうとう喰われた!?」って…
むしろ沈められたよっ!と伝えたら「やっぱり喰われた!?」と。
どんだけ喰われて欲しいのだ(笑)