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子ウサギは竜王様に甘え倒したいっ!9

微妙にイチャイチャ強め…

 う~~…アドニス様が居るから聞きにくい…

 竜王様にとっての番のこと聞きたいのに。


 今は掛け布団に埋もれて(首の部分がやや絞まっているのは自業自得です!)時々もぞもぞしている黒猫のアドニス様をチラリと見ると、



「アドニス、お前暫く大人しくしてろ」



 と、竜王様が何かの膜の様なモノでアドニス様を覆ってしまいました。空気中にパキパキと言う音が鳴り響いてますけど、ってこれ大丈夫なんですか??

 半透明に見える何かの中に居るアドニス様、ドタバタと盛大に暴れてますよ?何か大きく口をあけて叫んでいるみたいたけど、何時もみたいに声が聞こえて来ない。



「竜王様これって?」


「出歯亀した罰だ」


「どういう風に罰を?」


「私の姉で、アドニスの嫁に家出されると言う悪夢の再現」


「…竜王さま」


「アドニスにはこれが一番の罰だからな。愛妻家(恐妻家)だし」


「………」



 横目で竜王様を見ると、「私も君が居なくなったら…」と言い出したのでじっと竜王様の瞳を見詰める。



「レイ、いや、その…」



 困ったように元ウサギである私を見詰める竜王様は、何処か不安げで。どうしたら良いのか、何を言ったら良いのか正解の解らない私は、ただただ見詰める。



「…君にその、私は、だな」


「はい」



 困ったように揺れる眼差しに、安心して欲しくてベットに座っている竜王様に抱き着くと、少し安心した様に柔らかく見詰められる。

 その事が嬉しくてついスリスリと胸元に擦り寄って甘えると、



「二度と離れて欲しくない」


「はい」


「わかってるのか?」


「何がですか?」


「私が言っているのは君の自由を奪うのと同じような事だぞ?」


「構いません」


「…」


「私は私の意志で竜王様の傍に居ます。駄目ですか?」



 元ウサギですから。

 野に居るただの弱者ですから。

 その弱者であり強者にとっての餌がこうして竜、しかもその王者であり絶対者の番だなんてどんな無茶だと思う。しかもこんなにも好いてくれている。

 贅沢だ、贅沢すぎる。



「駄目では無い」



 ン?竜王様?

 あれ?

 何で真っ赤に?



「…レイン、ちょっと…」



 少し待ってくれと言わんばかりに右手で制されて、私は私で「?」としながらも待っていると、



「前に言ったの覚えているか?」


「?」


「……っぁ」



 竜王様、何故そこでしまったと言う顔をしますか?

 何故私を見て複雑な顔をしますか?



「りゅうおうさま?」


「いや、すまなかった。あの時は君は眠っていたな」


「?」


「いや、忘れてくれ…まだ早いしな。君がもう少し大きくなったら話すよ」


「大人になってからですか?」


「ああ」



 じっと見詰めると、気まずそうな顔。



「…気になります」



 少し間が空いてから困ったようにしつつ、



「先程も言った様に、この言葉は君を縛り付ける事になる。だからもう少し君が大人になってから聞こうかと思ってだな」


「では何故眠って居る私に話したのですか?」



 あ。

 は~…と盛大に吐息を吐いて、右手で自身の右耳をカリカリと掻いています。これ、最近気が付いたのですけど、本当に困った時に無意識に掻く竜王様の癖なんですよね。



「…まだ君は幼いから」


「はい」


「私との番の感覚が無いだろう?」


「感覚ですか?」


「ああ、つまりだな…その、全てが欲しいと言う渇望は無いだろう?」



 竜王様が言い終わるとついっと私の頬に手を伸ばし、



「君を見てると無いのはわかる。私とは違うからな」


「ええ、と…」



 それはつまりと考えていると、私の唇に竜王様からキスをされる。



「今はまだいい、まだ考えても解らないだろうし、何より感覚も無いだろうからな」



 そっと優しく啄む様なキスから徐々に深く絡まる。



「んっ、ふっ…」



 互いに舌を絡め、息苦しくなる。

 頭が痺れる様な感覚に震える。

 全てが欲しいと言うのって、こう言うこと…?確かに私には無い。それは分かる。でもこの沸き上がる感覚は何だろう?傍にいて欲しい、離れたく無い、もっと触れていたい…

 欲しいと言うのはこう言うことじゃないの?



「鼻で息をして」


「…あっ、…んっ」



 鼻で息をした途端、竜王様の手、手っ!

 私の首筋撫でないでっ

 その触り方、何かゾクゾクするっ



「…ごめん、少し君を求めさせて」


「りゅ、りゅうおうさ、まっ!やぁ、ん…」



 チュッと撫でていた首筋に竜王様の唇が触れ、舌が這う。その感覚にビクッと身体が飛び跳ねる。慌てて竜王様の瞳を見詰めると、熱がある先程の様な熱で浮かされた感じではない。

 きちんと『私』を見ている。

 では、何故?こうやって触れてくるの?

(マミュウさんが言ってたロリコンだったら嫌だけど…)



「…嫌か?」



 唇を離して珍しく上目使いに聞いてくる竜王様に戸惑う。何か、何かその仕草可愛い気がする。普段大人なのに、こうやって少し不安そうな顔で聞いてくると…胸がきゅっとなる。

 何でも許してしまいたくなる。



「い、嫌じゃないです」



 ふわ、わ、わわわっ

 は、はわわわわっ!

 すごいスゴいその笑顔っ!わた、わたし、の胸がドキドキするーっ!物凄い破壊力です!



「好きだ」



 顔が沸騰しそうになりながらも、何をしても許してしまいそうになっていた私だけど、竜王様はセーブしてくれたみたいで。キスと首筋に触れるだけに留まってくれた。



 その後少しベットの上で竜王様とキスをしていたら、



「絶対俺の存在忘れてるよね~…」



 等と、呆れているような気まずそうな声が聞こえて来た。どうやら竜王様のお仕置きを突き破って出てきたらしいアドニス様が、「うん、俺、ファランに逢えればもうなんだっていいもん…」と虚ろな眼差しで、涙ながらブツブツ言っていたのは少し怖かったです…。



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