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子ウサギは竜王様に甘え倒したいっ!

Valentine's Day企画として番外をば。


 パタンと寝室のドアを閉め、握り拳を作ります。

 キョロキョロと廊下に出て周囲を見渡し、あ、今はウサギじゃないんだから警戒しなくて良いんだっけと、知らずに肩に入っていた力を下ろす。

 自分の今の姿…ブラックロリータ?ゴシックロリータ?とか言うファッションらしいのですが、朝起きたら有無を言わさずと言う笑みを浮かべたマミュウさんに、半場強制的に着付けられてしまいました。

 何かゴテゴテしてます。

 う~ん?

 ミニスカートに付いてるフリフリ、ペチコートとかが凄いです。びらっびらです。

 着付けが終わった時に余りにもフリフリやらレースやらが凄いから、ペロッとスカートを捲って中を覗いてみたら、「女の子は人前でスカートを捲ってはいけません!」とマミュウさんに怒られてしまいました。

 人間の女の子は大変なのかな?

 今度そう言った一般常識をお勉強するのを約束させられました。

 …ちょっと怖いです。


 それは兎も角。

 今日は始めての古城、お屋敷探検の許可を貰いました!


 竜王様は午前中お仕事らしいので、竜王様が仕事をしているお部屋には入ってはいけないらしいのですが、私まだ何処のお部屋かわからないですとマミュウさんにお話したら、「それじゃあ朝食が終わったら午前中はお屋敷探検にしましょう」と許可を貰いました。

 でもね、マミュウさんが付いている様だったので、出来たら一人が良いとお願いして許可を得ました。


 だって、出来たら竜王様のお仕事の姿覗きたいじゃないですか!


 お邪魔になるからそっと覗くだけにしますけどね。

 それにしても、どうしてこのファッションは室内なのに帽子を被るのでしょう?確か執事さん(マルティンさん以外にも居るみたいですが、まだよく分かりません)が「お帽子はお部屋では被りませんよ」と、お部屋でお帽子が可愛かったから被って遊んでいたら注意されたのだけど。

 うん、こればっかりはよくわかりません。

 今も注意された執事さんが廊下をすれ違い様に挨拶をしたら、「御嬢様とてもお似合いですね」って言われました。

 お外に行くって思われたのかなぁ?

 玄関辺りなら後で行ってみようかなあ?

 勿論外は一人じゃ出ません。

 例の妖精さんの男の子が狙ってるらしいから、外は一人では駄目だって竜王様に何度も念を押されて言われちゃったし…


 兎に角、今は探検ですっ!

 寝室から出て廊下を歩いて、えーと次の部屋は、と。

 ドアを開けると……………。

 パタンと閉めときました。

 うん、私の寝室のお隣ってやっぱり竜王様の寝室なんですね。

 元ウサギで現在人間でも、竜王様の匂いはわかります。


 …

 ……

 ………

 やっぱりちょっとお邪魔します。

 ドアを少し開けて素早く中に入ります。

 誰も居ませんね?

 ドアを閉めて、とととっと竜王様のベットの側に行き、ぱふんっと端っこの方を頭だけ埋もれさせます。

 本当はベットの上でゴロゴロしたいけど、お洋服が皺だらけになっちゃうとマミュウさんが驚いちゃうので頭だけ。

 はい、以前やって驚かれました。

 お転婆なんですね、だって!

 二度と同じ過ちは繰り返しませんっ!多分。少し自信ない。


 …はふ。

 頭を上げて、竜王様の枕を手に取りぎゅっと抱き付きます。

 今日はまだ会って居ないんですよね。

 お家に居るのは気配でわかるけど、でもね、でも…


 会いたい。


 手にした枕を更にぎゅっと抱き付いて、ひとつ溜め息。

 ウサギの時ならこんなこと考え無かったなぁ。

 今は凄く竜王様に会いたい。

 側に行きたい。

 お仕事だから我慢するけど、ね。

 何となく離れがたくて、悪いとは思うけど竜王様の枕に抱きついたまま少しお部屋を見渡して、部屋を出てきた。

 ちょっと恥ずかしい物もあったけど(私的に恥ずかしいだけですよっ)、次、次!

 隣の部屋は~と。









 撞球室のお部屋ものんびり堪能し、途中で会ったメイドさんに「御嬢様それは?」って言われたけど逃げて来ちゃった。

 ごめんなさい、私竜王様の枕を持ってきちゃいました。

 だって、淋しいんだもの。

 会いたいんだもの。

 …会いたいよぅ。



「…ふぇ」



 廊下の隅で小さくなって蹲って、我慢出来なくなって来ちゃって。

 駄目だよ私って思うけど、涙が止まらなくなってきた。

 濡れちゃうから竜王様の枕は脇に置いて、ぼろぼろ涙が落ちてくる。

 このお家大きいよぉ。

 探しても竜王様、何処にいるかわかんない。

 ううー情けないっ!私ってはやっぱりまだまだ子供だぁ。

 確かにウサギとして埋まれてからまだ数ヵ月だけど、今は人間の子供なんだし……あ、やっぱり子供かぁ、情けない…



「御嬢様!」



 マミュウさんが血相を変えて飛んで来た。

 凄く驚いてて「お腹痛いのですか?」「熱があるのですか?」と、おでこやら触って色々世話をやき始めるけど、私は首を振って、



「竜王様に会いたいの」



 って泣き付いてしまったら「あら」っと笑われちゃった。

 こ、子供みたいだよね!

 でも、今日はまだ会って居ないんです。

 淋しいんです…



「大丈夫ですよ御嬢様、御主人様は二階に居ますよ」


「にかい?」



 "にかい"が解らなくてキョトンとしてたら、「あ、そうか」とマミュウさんが私の手を引いて、ちょんちょんと人差し指で天井を指して、



「こっそり御主人様覗きに行きましょうか」



 と、ニッコリ微笑まれ。

 手には確りと竜王様の枕を抱えたまま、思いっきりうんうんと頷いてしまいました。







 こそ~とマミュウさんに連れられて、二階にある書斎とか言う場所のドアを少しだけゆーくりと開けます。

 中を覗くと………



「!!」



 り、竜王様と目が、目が合ってしまいました!



「マミュウさんバレてますっ」



 ど、どうしようって言ったら、マミュウさんフフフッて…あれ?



「中に入っておいで」



 竜王様の声です。

 聞きたかった、今日やっと聞けた大好きな声です。

 …好きってまだ伝えてないけど。

 でもいいのかな?お仕事中じゃ?と、マミュウさんに伺うと、目で「行ってらっしゃい」と促されます。



「あ、あの、お仕事中では?」



 オズオズとドアから中にゆっくりと入ると、持っていた筆を置いておや?と言う顔をされます。



「枕?」


「あ!」



 ぱっと後に慌てて隠します。

 次いでに顔も火が付いた様に熱くなったみたいで、自分でも解ってしまって、本当は竜王様のお顔がみたいのについ、背けてしまいます。



「ヌイグルミの替わりにしてたのか?」


「違いますっ竜王様の代わりです!」


「私?」


「あ」



 ひゃぁあああっ!

 つい、つい、口走って余計なこと言っちゃったぁぁああっ!

 私のばかばかばかぁっ!

 後に回した枕を自分の前に付きだし、私の顔を見えないように隠して、



「淋しくてつい竜王様の寝室から持って来ちゃいました、ごめんなさい!」



 その場でペコリと御辞儀をして謝ると、ふわりと身体が浮いて…!?

 ひゃぁあああああああっ!

 り、竜王様!顔、顔ちかっ!近い!

 枕を抱えたまま、私お姫様だっこされてるぅ!



「どうして持って来たんだ?」



 にっこりとライトブルーの綺麗な瞳に優しげに微笑まれて、し、心臓がバクバクしますっ!私がアワアワしてる間に竜王様は私を抱えたまま移動して、先程まで竜王様が座っていた大きな椅子に腰掛け、私は未だにお姫様だっこのまま。

 恥ずかしいぃ~!

 竜王様のお顔を見るのが恥ずかしくて、手に持ったままの枕に顔を埋めると、



「どうした?理由言えないのか?」



 …だって。

 無理です、恥ずかしいです、と言うかさっき言いましたぁああっ!意地悪ですか!?意地悪ですね?って文句言おうとしたら、竜王様ちょっと意地悪そうに笑って「やっとこっち向いた」って。

 反則です!その笑顔!



「意地悪っ」



 喋った後即枕に顔を埋めると、ひょいっと枕が!取られたと思ったら、その枕はポーンッと部屋の中央付近にあったソファーに見事に着地。

 と、同時に真っ赤な私の顔は隠すことが出来ず~っ!



「やっ!」



 ぷいっとそっぽを向いたら竜王様の唇がわ、私の頬に…



「私の代わりなら要らないだろう?」


「そ、それはそうだけどっ」



 でもね、隠したいんですよぉ!恥ずかしくて仕方がないのっ!とは言えないけども。

 ふと、部屋の隅にいた(ごめんなさい、今気が付きました)マルティンさんが机の上にあった珈琲カップやら資料やらを片付け、



「少し休憩に致しましょう、後程他の資料と珈琲を御持ちします。御嬢様はハーブティで宜しいですか?」


「あ、はい」



 ちょっと気まずい。

 マルティンさん怒ってるかな?お仕事のお邪魔しちゃったし、と思っていたら、マルティンさん退出する時「丁度良かったですからお気になさらず」と、苦笑しながらマミュウさんも連れて退出していった。

 当然部屋には私と竜王様の二人だけ。


 …………どうしよう。


 しかもイスに座ったままお姫様だっこ持続中。



「あの、降ろし…」


「駄目」



 くい気味に脚下を即座に入れられ狼狽する。



「でも」


「駄目」


「あの」


「駄目」


「はぅう」


「それ可愛い」



 ドンドン脚下されるから何をどう言ったら良いか分からなくなって、変な声が出たら誉め言葉と共にぎゅっと抱き付かれた。

 …ええと、どうしよう?



「やっと会えた」


「え?」



 竜王様も同じこと考えてたの?



「グリンウッドの守護の任を降りたからね、後続の検討と城下町の事とか色々あってね、暫くの間は忙しいかな」



 そう竜王様は呟きながら、私の頭を撫でてくれる。

 気持ちいい…



「それに此れから恐らくだが、和の国の周囲の難民が増える。その対処も考えなければならないしな」



 あ、竜王様眉間に皺。

 その顔をつい見詰めて、皺が寄った眉間を私の右手で撫でると、



「心配してくれるか?」



 撫でてた私の右手を取って、その手の甲にキス。


 はぅぅぅっ

 どうしてそー言うの平気でやれるかなぁあああっ!

 そう思って竜王様を見たら、あれ?ん?

 うっすらと竜王様の頬に朱が?

 あ、照れた!

 今、目、そらしたね?竜王様、照れてる?



「心配、します」



 照れてる竜王様可愛いけど。

 でもその前に。



「あの、竜王様」


「ん?」


「私も会えなくて淋しかったです」



 ちゃんと伝えないと、また会えないの嫌だもの。

 吃驚して固まってる竜王様にぎゅっと抱き付いて、竜王様の首筋に顔を埋めたら、



「夢じゃないよな?」




 私そんなに素直じゃなかったのでしょうか………











「これ終わったら、午後は少しは一緒にいられるかな」なんて、さっき言われたのに。



 うん、知ってる。

 予定は未定だよね?

 仕事終わったって、竜王様に呼ばれたから嬉しくてマミュウさんと一緒に会いに行ったら、「さっき言えなかったけどその服可愛いね、凄く似合うよ」って言って貰って。

 嬉しくて抱きついたら、



 ………呼ばれて行っちゃった。


 竜王様が居ないと駄目なお仕事なんだって。

 緊急なんだって。


 もう一回竜王様の枕を抱き締めて、パーラー(居間)のソファーで沈黙を守ってます。

 外はもう真っ暗で、お夕飯御呼ばれしたけど食欲無くて。申し訳無いけど殆ど残してしまいました。折角お料理作ってくれたのに、ごめんなさい。

 竜王様の枕に頭を埋めて、そろそろ眠くなってきたのでマミュウさんに連れられて、寝室があるお部屋へ。

 寝間着に着替えて(自分ではまだ着られないのでマミュウさんに手伝って貰ってます)、マミュウさんに御休みなさいと挨拶してベットに潜り込む。

 勿論枕は抱えたまま。

 返さないと不味いかな。

 返さないと竜王様枕無いよね?


 まだ、帰って来てないかな。


 隣から音はしないから、多分居ない。

 よいしょっとベットから下りて、廊下に続くドアを開けて。

 そう言えばさっき何で竜王様の寝室って鍵かかって無かったんだろ?私のお部屋は内鍵あったよ?と思いながら、竜王様のお部屋のドアに手をかける。

 うん、やっぱり鍵かかって無い。

 無用心だなぁ、それともそう言うものなのかな?もしかして、マルティンさんとか執事さんがお掃除とかで出入りするからかな?今度聞いてみよう。

 鍵が掛かって無い竜王様のお部屋に入って、綺麗にベットメーキングされたベットの上に枕を乗せる。



 ゴソゴソ。

 勝手に竜王様のベットに潜り込む。

 うん、竜王様の匂い。

 優しい、澄んだお水のようないい匂いがする。

 何か落ち着く………


かなり長くなりましたので此処等で一旦区きります。残りは後日に。

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