7
古城の中ーー恐らくは一階の客室?と思われる場所に通されたのはいいのだが…
「コンサバトリーだよな?」
本来ならガラス張りの談話室なのだろう。
緑豊かな空間で客人をもてなす場所の筈が、部屋のガラス張りの場所は日の入りが一切入らずに分厚いカーテンで覆われている。
それでも室内は温かな明かりは灯っては居るが、蝋燭の灯りがあるだけなのだ。
「何なんだ」
別に歓迎していないと言うわけではない。
いや、歓迎はしてないだろうが、程々には接待する気はあるのだろう。室内の調度品は古いが中々上質な物だ。
決して贅沢品と言うわけではないが、華美な装飾が無い辺りからして主の質素を好む性質がわかる。
悪くは無い。
それに、先程執事が持ってきたハーブティも中々の出来だと思う。
だが、この部屋に通されてから彼此一時間程経過。
合間に執事がお茶の御代わりを持ってきたが、それだけ。そしてその執事は何事も無かった様に退出していった。
勿論何時までも待たされて居るので流石に聞いたが、曖昧な笑みで微笑まれて退出していった。
ーーどうしろって言うんだよ。
恐らくは何かしらの理由がある。
座っていた椅子から起き上がり、カーテンで閉まっているガラス張りの場所へ行き、一気にカーテンを開いた。
「……おい」
なんだよこれは。
ガラス張りの窓は全て、全面に外側から土壁で覆われていた。
余りにも歪な壁。
土壁で覆われているから当然日の光等入る訳もない。
「意外と古いな」
土壁の表面は内側から見ると所々にヒビがある。
知識があまり無いものが覆った様に思われる。
だが、何故?
外を見たくない、もしくは見せたくない理由があるとか?
これ以上考えて見てもこれ以外の情報は無いようだ。
室内を見ても、後は何も変化は無い。
「本当は余り行儀の良いものではないんだがなぁ」
こっそりとコンサバトリーのドアから顔を出し、廊下に誰も居ないのを確認し、隣室ーー使用人室かな?物置かも?テーブルと椅子しか置いていない部屋も同じ様に分厚いカーテンで覆われ、空気の入れ替えをしていないのか埃っぽい空気で満たされて居るが、窓際に寄ると似たように窓は塞がれていた。
次の部屋ーー撞球室か?喫煙室も兼ねて居るようだが、掃除はしてあるが普段は使ってなさそうな気がする。
此方は普通に窓があり、窓から外を眺めると塀で覆われているのがわかる。
……内側の窓が塞がれているのか?
すると、コンコンと背後の壁が叩かれ……
「探検中失礼致します。御主人様がお呼びです」
うっわ、こえぇ…
やっちまったなぁとは思ったけど、背後に控えて居る執事から遠慮の無いひしひしと感じる殺気にも似た目線に、アドニスは縮こまる。
そして、自分が対面している前に居る人物からも。
あの後不審に思われたのか、この城の主である竜王に二階にある別室、ライブラリー…書斎に呼ばれた。
その際何かしらのの魔法陣の上を通ってから、「本当、俺失礼しました」と竜王に逢った途端謝ったら、ライトブルーの瞳を軟らかく緩めて笑われた。
それもクックックッと楽しそうに口許を片手で隠して。
紫色の髪の毛まで揺れてる。
…えーと、どう対応したらいいんだこれ?
「先程の魔法陣は、お前に付いてた妙な物を取り除いただけだ。ほっといたら呪い殺されてたぞ?」
「エッ?!」
「勇者と言えど人の子か、その手の気配には疎いな。此処に来る前に魔王エッダと一戦交えたか?」
「あ、ああ」
「邪法の類いが得意な奴だからな、次そいつに遭ったら止めを刺しとけ。…危ないぞ」
「お、おう」
ジロリ、と目の前の竜王が書斎の自分の椅子に座ったままで此方に目線をやり、
「私はグリンウッドの守護がある。参戦は出来ぬ」
「っ!」
前のめりになって反論しようとした俺に竜王は片手を上げて制し、
「その刀歯こぼれしてるな。城下町に行けばいい鍛冶師が居る。紹介状を書いてやるから持っていけ」
古城の部屋はヴィクトリアンハウスのを参考にしております。(部屋数が多いカントリー・ハウスを採用)
□■□■□
えーと、アルファポリスにも「子ウサギ」をUPし始めました。理由は活動報告にて。




