餌、狙われる
ぷるぷるぷるっ
ぶるぶるぶるっ
ビクビクッビクゥッ!
私は何故ここに居るのだろう?
怖い、怖すぎる。
先程からずっと身体の震えが止まらない。
ちなみに餌の私、何故か……………
竜の背中に居るんですけどっ!!
何故!
なぜぇ!
何でなのよぉおおおっ!!
ああああああっ
上空に居る大鷲が眼光鋭く狙って居るのがわかる!
どう考えても私、美味しそうな餌ですよねっ!
それ以外ないよねっ!
御馳走様ですっ!
いや、御馳走しないけどぉ!
何錯乱してるのよ私っ!
滅茶苦茶睨まれてるぅぅぅう~!
下ろしてぇえええええっ!
いや、下ろされたら竜に踏み潰される…かも?
いやいや、それより…………
ちらり。
ちら。
あの?
何で?
この竜、時々私を振り返って見るの?
何処かに移動しているのか、ゆっくり歩いて居るのは分かるのだけど、少し大きく身体が揺れる度にチラチラ此方を見てくる。
落ちないか見てる?
餌だから?
ん?
ピギャアアッ!
今、今ぁっ!
竜が首を元の位置に戻して前を向いたら、私の首を狙って大鷲が嘴突っ込んできたぁあーーッ!
ザシュッて音がして、私のふわふわもこもこな自慢のウサギ毛が舞い散る。
や、やだぁ!
私もしかして、竜が大きな餌を釣るための囮なのぉ!?
やだやだやだっ!
また大鷲が来たぁ!
首を引っ込めて、伏せてっ
大鷲の攻撃から何とか回避。
でも大鷲ってば空中で方向転換してまた来たーーー!
ザシュッ
………ほえ?
大鷲が竜の尻尾によって地面に叩き付けられた。
そのまま、竜は倒した大鷲になど見向きもせず、また歩みを進める。
え?
あの、私より大きな餌、落ちてますよ?
た、多分私より食べ甲斐があるよ?
ど、どういう事なの?
餌、混乱!