表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/256

友達になれないなんて事はないよ

 皆で花市場でちょっとしたお土産と花の種を購入し、ついでに見掛けたこの地域の特産品の岩塩と調味料をマルティン様が珍しいと嬉々として購入。

それとは別にウサギは綺麗な黄色いリボンを購入していた。


「アニタちゃんへのお土産いいのがあって良かった」


 と喜んでいる。

 そうして街を出立し、門での相変わらずの逃走劇を見詰め(昨日より多い気がするなぁ)ていると、


「付いて来てますね」


 オリアナさんが窓辺に立っていて馬車の背後を見詰めている。

 そしてカー君。

 何故行っていい!?と言った顔してキラキラしながら伺うのだ。

 怖いじゃないかっ


「ほっといても宜しいかと。恐らく此方のユニコーンの亜種達によって接近出来ないでしょうし」


 そう言えばそうでしたと思い出す。

 この馬車を引いて居るユニコーンの亜種達は、害悪や邪なモノを阻害させる魔力がある。その為に接近出来ず、一定の距離を置いて居るのだろう。


 魔物はその場に居るのを此方が通り掛かって行く為に襲撃も普通にある。しかも魔物除けの薬を付けて居るので低レベルの魔物は避けて行くのだけど、ある程度レベルのある魔物は何度か来る。それも全てカー君が蹴散らしてるし、下手すると低レベルでもカー君は鬱憤晴らしに出掛けて行って倒しているんじゃないかと思って居る。


 馬車で揺られてるカー君は暇そうだしね。

 何だろうこの召喚獣、安定の攻撃力に比例して怖いんだけどっ

 見た目は可愛い愛玩動物なのに、一旦攻撃に回るとサド全開で怖いよ!








 * * *









 一旦街道にある川岸で休憩を取ることにした。

 そして放たれるカー君。

 あああ、顔付が。

 目付きが。

 輝いてますよっ!しかもギラギラと。


 みーちゃんだけが残ってこの子はのんびりとしている。

 メイソンさんはユニコーン達を引き連れて川際に行き、水を飲ませたり身体を拭いたりしてユニコーン達を労っていて、ヒネモスさんは…ん?


「釣り竿?」


「もしかしたら釣れるかなって思ってね」


 ちなみにココで昼食をとるとの事で、今は馬車の内部でキアヌさんが奮闘しているらしい。そしてウサギは速攻で手伝いにいったとか。好きだよね~料理するの。

 そう言えばヒューカちゃんは………。


「ヒューカちゃんも手伝いにいったよ」


 ヒネモスさん、それ先に言って。

 私女子力皆無なんだよ。

 そしてヒネモスさんに渡された釣り竿。

 見事な男子力を当てにされてませんかね?

 釣っちゃうよ?釣りまくっちゃうよ?

 ま、初めてだし釣れないよねぇ。












「ミウちゃん俺より凄いし」


 ヒネモスさん六匹に対して私…


「百五十匹以上って化け物か」


「び、ビギナーズラック?」


 いえ、本当は釣り竿を持って釣るのが飽きて、ちょっと向こう側で雷獣姿になって出来る様になった雷撃を小さく撃ち、失神して浮かんで来た(ちなみにまだ生きてるよ、お魚さん)のを食べれる種類のだけ全て捕まえて来ました。網に入れて往復するのが大変だったけどな!


「これだけあったら暫くの間は困らないね」


 余にも数があるので外で焚火をし、その周囲に内臓を取って串に刺した魚に塩を振り、炙って行く。

 流石に何となく悪い気がしてヒネモスさんに事情を話すと「その手があったか!」と納得をされた。そして発覚した事。私釣り向きません。イライラしちゃうのよーっ!

 魚が釣れるまで待つより追っ掛けちゃえばいいじゃん!

 むしろ電撃で痺れさせて捕獲しちゃったほうがいいじゃん!

 堪え性が無いミウちゃんです、はい。

 そしてヒネモスさん、


「釣りの醍醐味は我慢する事だよ」

 

 って。

 無理です、飽きます、ハイ。








 * * *








 もぐーっと皆で美味しく焼き魚やお昼に用意されたサンドイッチを河原に敷物を敷いて食べてると、意気揚々とカー君が獲物(?)を引き摺って「実にサッパリしました」と言う顔をして帰って来た。


 というか、その。

 姿が…返り血浴びてません?

 顔やら手やら足やら胴体やら、全身に血が。

 慌ててウサギが川で洗ってるけど。

 と言うかこの獲物って何?


「おお、鴨か。凄いなカー君は」


 ナナホシさんがカー君を褒めると、嬉しそうにカー君がウサギに洗われながらも手を振っている。


「鴨っておいしいの?」


「ああ、普通は血抜きして臭みを取らないとキツイが、この辺りの鴨はとても良い香草を良く食べて居るからな。良い匂いがしていれば血抜きさえ確りしていれば、それほど手を掛けなくても上手いぞ。どれ、匂いはどうか…」


 と言って鴨の匂いを嗅ぎ、「うん、かなり良い鴨だな」と言ってキアヌさんと共にどう料理するか話をしてる。おお、ここにも野生児為らぬ女子力が。


 ってあれ?女子力って野生児だったっけ?


「てっきりカー君着いて来てた人達を退治しに行ったと思ったんだけど」


 と言ったら、綺麗に洗われてタオルで拭かれているカー君があっち~と腕で指して来る。


「向こうに居るってこと?」


 うんうんと頷くカー君におや、突撃しなかった?

 珍しいと思って居たら、


「あっちに山になって詰まれてましたよ」とのこと。どうやら様子を見に行っていたらしいオリアナさんが報告してきた。思い出しているのか苦笑付きで。


「相変わらず凄まじいですね、カー君は」


 多分性別変わっちゃっているんじゃないだろうか。

 なんだろう、この街道の治安向上と共に性別が一変しちゃってる気がするよ。



 この旅は世直し旅ですか?

 いえ、寧ろ性別(男性限定)変更の旅路です。

 そう宣言出来てしまいそうで怖いです。










 * * *









 馬(ユニコーンの亜種)達の休憩とご飯も終わって、さて出発となった途端、ウサギに連れられてリビングからウサギの個室へと招かれた。

 ふぉぉぉ…別世界じゃないか!ぶっちゃけると昨夜ギルドで一泊しなくても良かったんじゃない?って思う位広かった。広すぎだよっ。しかも所々がとてもいい素材と家具が置かれていて、派手さは無いけど居心地の良い空間に出来ていた。これ、ウサギの趣味だな多分。そして気が付いた。


 何故いるんだ、タマちゃん。

 そして共に居る白い大きなワンちゃん。


 先日の一件後に黒から白に色が変わったって知ってたけど、こうしてみるとほんっと真っ白。

 しかも綺麗な毛並み。

 パーティー会場では怪我だらけでボロボロだったのに、よく此処まで綺麗な毛並みになったなぁと思ってしまう。しかも瞳が何処と無く嬉し気で可愛い。

 このワンちゃん大人しく伏せていているせいか、タマちゃんがワンちゃんの背中に乗ってふくふく毛皮に包まれて幸せそうに目を細めて居るよ。


 昨日居なかったよね?てっきり旅に付いて来てないんだと思っていたんだけど。「僕は目立つからこの部屋で待機なの~」って、可愛い。そしてそのタマちゃんが退屈するだろうからってこのワンちゃんは付き添っているらしい。


 優しい!


 というかあの、ワンちゃん名前は?とウサギに聞いたら、


「お父さんから罰として当分の間は名前を付けるのを禁じられてるの。それに私ネーミングセンスが乏しいから」


 と困った顔をした。

 成程、確かにセンスは…



 ウサギの精霊さん

 タマちゃん


 ウサギの召喚獣さん

 カー君

 クーちゃん

 みーちゃん


 見事に壊滅してますね!


「さてミウ、腕だしてね」


 と私の右手の袖を捲り、ウサギがくーちゃんを呼んで治療をして貰う。と言っても一滴落として貰うだけだけど。


 終わると即歌の浄化。

 最近は更に磨きがかかっているらしく、声に清涼な気品さえ感じる。歌ってる姿は可愛いのに不思議な感じだ。音程も前は少しずれたりしていたけど、最近は向上して外れない。綺麗な旋律を紡ぎ出す。


 うん、贅沢。特別な時間だ。


「本当ならヒューカちゃんも来て欲しかったんだけどね」


 お部屋を見せたかったし、それに今後野宿する事になるとこの部屋を使用すると思うのと言う。

 呼んでもヒューカちゃんは遠慮して来なかった。

 やはりまだウサギに慣れて居ないらしく、一定の距離を取られてしまう。


「うう~んどうやったら仲良くなれるかなぁ?ミウの場合はどうだった?」


「え?うーん…」


 先日の件もあったしこの件に関しては私の件は参考にならないと思う。ぶっちゃけ私の時はヒューカちゃんは無意識にお母さんの事で反抗していたんじゃないかなって思うんだよね。だってヒューカちゃんのお母さんは利用する為に近づけって言ったのに、ヒューカちゃんは友達になる方向に変えてしまったから。

 この見事なまでのシフトチェンジで友人になったのだから参考には向かないと思うんだ。


「時間が必要かなぁ」


「無理に通してもヒューカちゃんの事だから遠慮しちゃうと思うし、自然とどうにかなると思うよ。だって私とヒューカちゃんは友達に慣れたし、それなら私の親友のウサギが友達になれないなんて事はないよ」


 こう言うとウサギは「うん!」と大きく頷き、嬉しそうに微笑んだ。


 背後にいる大きな白いワンちゃんがとても嬉しそうに微笑んでいる気がしたのは、多分気のせいでは無いと思う。


花粉ーきつい!

花粉症なんて滅せよ!とか言ってる作者のモチベーション維持の為、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ