捕まったのだから覚悟するしかないぞ
今回は大統領のパウル主体で。
何とか詰め込んだのでクレメンタインの性格が………
(・ω・`)こ、こんな筈では………
次回はウサギ達に戻します。
side.大統領官邸 パウル・ハイデッガー
白い壁と木の温もりのある室内の中、パウルは落ち着き無く数枚の報告書を手にして行ったり来たりを繰り返す。
大きな封書を小脇に抱えながら、コツコツと足音を立てて歩く床は木材を基調としており、何でも初代大統領の拘りで此処だけはと木材を使って居るらしい。
そして天井に柱、壁は白。
初代大統領の時代、魔王ーー…当時は勇者のアドニスの妙な拘りで「大統領と言えばホワイトハウスだろうっ!」と、白一色を押してきたらしい。
揉めに揉め、最後は公平にする為にじゃんけんで決まった。等と大統領官邸の何とも締まらない歴史がある。
そして当時の初代大統領は女性であったと言う歴史もあり、歴史家達の噂では建設当時美丈夫で有名でもあり、"勇者"であったアドニスとの関係もあったのでは?と言う物も物語りでは幾つか残っている(竜王はそう言った話はほぼ皆無。また、完成後はアドニスは魔王に為っていた)。
幸運にも当事者であるアドニスに出逢えた歴史家は決死の思いで『魔王』であるアドニスに「初代大統領とは男女の仲だったのか?」と問うたそうだが、『魔王アドニス』は「え?」と呟き、「初代大統領とは何度か話すだけだったけど?」と、首を傾げるばかりであったらしい。
閑話休題
ー報告書ー
■カタルシス大国
国王 ガスパール・カタルシス
ドワーフ国王が率いる大国。
前国王の時国が荒れ、愚鈍で卑屈、私利私欲を満たしていた当時の国王やその派閥貴族達を倒し、新に開国して初代の英雄国王となった。
「これは大体分かるんだけどよ…」
はぁ、と露骨に嫌々やってます。
と言う風な態度を取る。
ー報告書 ②ー
■エトナ神聖国
国王 クレメンタイン・エストニア・エトナ
ハイエルフの国。
山々に覆われた国で自然が豊富。海側にも面している。大昔からある国だが、農業産業等、ほぼ国内生産で済む為に他国との交流が皆無に近い。ハイエルフの国と言っても王家以外はほぼ亜人(クオーターエルフやハーフエルフ等)だが、純粋なエルフは三百年前国から姿を消した。
「エトナ神聖国ってよぉぉ…」
パウルはその場で頭を抱えた。
正直関わりあいたく無いのである。
ドワーフの国であるカタルシス大国。
そしてハイエルフの国であるエトナ神聖国。
その国の両者の国王が揃いも揃って面会の申し入れがされていた。
しかも半ば強制的にである。
カタルシス大国はドワーフの特徴からか元々この国との交流があり、然程問題は無い。過去前国王の時代には問題は山積みであったが、今の国王に変わってからは国交も問題は無く、そしてガスパール当人は威圧感が凄まじいが中身は気の良いオッサンだ。前大統領時に何度か訪問があった最、御忍びで酒屋に来ていたガスパールに会った時は驚いたが、酒を飲む姿を見ていた時にはとても穏やかな瞳で周囲の人々を眺めて居たのを知って居る。
だが、
「クレメンタイン国王…」
この世界に置いてハイエルフの数は圧倒的に少なく、また稀少種族。そしてエルフは美人や美形揃いで有名であり、更にハイエルフともなれば神にも値する美の集大成と言われる程の種族。
昔からその容姿故に人族至上主義を掲げる国の輩や亜人を虐げる国の輩から一番狙われ易い稀少種族(レノの場合ハイエルフの見た目に近いがよく見ると混血の様に見える為、そんなに稀少種には見えない)。そんなのがこの国に来るとなれば…
「あは~っ来ちゃった♪」
パウルはその場から崩れた。
床に座り込み再度頭を抱える。
ここ暫く悩んでた一番の原因が、普通に、警備している人々の前を極々普通に歩いて来てしまったのである。
ハッキリ言って異様な状態だった。
偶々所用で用を済まし(つまりトイレ)、執務室へと戻ろうと廊下に出た途端、上記の言葉を発してガードマンの目の前を手をフリフリしながら、初対面の筈なのに旧知の仲の様にやって来たのである。
頭痛い事案がやって来やがったーーっ!
てか!あのガードマン達の目を欺いた!?一体どうやって???
その悩みも即座に解消する。
「いや~最近変な魔道具開発に凝っててさ~っでもあんまりこれ良くないな。認識誤報する様にセッティングしたんだけど、精霊には効かないみたいね。竜王の居城に行こうとしたら摘まみ出されたよ~」
と、目の前に謎の魔道具を出され、
「この建物結界ちゃんと貼ってないでしょ?駄目だよ~ってわけで、ウチの国産の魔道具買わない?いい結界貼れるよ」
等と宣伝をされてしまった。
「…どっと疲れました、探さないで下さい」
ふら~と立ち上がり部屋から出様と、現実逃避をしようと背をそむけ足を動かした途端、グイッと後ろに引っ張られる。
「ハイハイ、逃げない逃げない」
「首根っこ掴まないで下さいませんかっ!てか、国王じゃなくて女王だろうアンタッ!」
「や~初対面の人に言われるとはっ」
きゃあ♪と少し大袈裟に楽しそうに笑う『国王クレメンタイン』をゲンナリしながらパウルは見詰めーー…
「マジで本物?」
「んまっ、失礼な」
ゴホンゴホンと妙なやり取りをしている大統領と国王(女王?)の背後から態とらしい咳が聞こえる。
振り向きたく無い。
出来たら全力でこの場から去りたい!
「クレメンタインに捕まったのだから覚悟するしかないぞ、パウル大統領殿」
変装の為か深々と目元迄覆った帽子を被り、此方もゲンナリとした顔をしたドワーフ…昔パウルが見たガスパールが無気力気味の瞳で呆れた顔をして佇んで居た。
パウルは深く、ふかーーーく。
それこそワザトらしくしていると、目の前の珍客(本来なら賓客)二名の前で吐息を吐いて胡散臭げに見詰め、
「まさかとは思いますが、街中の倉庫の一件」
「「断じて違うからな(ね)」」
意外とお茶目なのだろうか。
断固抗議っ!と言う風に、利き手らしい右手を握って拳を上げるクレメンタイン国王(女王…)。
それに対して口調はハッキリしたが、身動きが一つしないドワーフのガスパール国王。
意外と情報網が素早いな。
どうやらつい先程、竜王達の倉庫の一件を把握しているらしい。
一体どうやって知ったのやら、ストーカーか。
自分の事を棚に上げてパウルは失礼な事を考える。
それは兎も角。
何か「?」となる。
気迫があるのだが、どうも存在感が薄い様な…
それに本当にほんっとーに、本物?
「疑ってる?」
「一応こんなでも大統領と言うこの国の代表者としての程度には警戒もしてるし疑っても居ます。何より国家の代表者で顔の者が警備の者が一人も居ないと言うのは、幾ら御忍びとは言え俄には信じられませんね」
「当たり前だな」
クレメンタイン国王は「ん~」と自らの白くて綺麗な手を顎に添えて唸り、ガスパール国王は…ちょっと解りにくい。余り顔に表情を出さない様にしている様だ。
ポーカーフェイスと言う奴だよな。
時と場合によって別ける事が必要な国王であるからなのだろうが…何だかな。クレメンタイン国王に見付かり拉致同然に引き摺られて来た様で、どう接したら良いのか伺って居る様に見える。
主にクレメンタイン国王に対しての接し方についてだな。
俺に関してはそうでも無いのかも知れない。
「ふむ」
ガスパール国王が何かを思い当たったのか、急に首を頷く様にし、
「この国はそう言えば国王では無く選挙で代表者を選ぶ『大統領』制度だったな」
「そう言えばそうだったわね。お蔭で国民の学習能力が高い水準を保って居たわね」
国民が選ぶ=学習能力が高く無いと普通ならば出来ない。
何故なら文字を読めねばならないし、書くことも出来ないと選挙戦そのものも出来にくい。そしてこの国は人種差別も男女差別も『法律で禁止』されて居る。
「大統領制度は確か4年で1期、2期で任期終了か。ならば名前だけは知っていてもって事かも知れぬな」
「…何が?」
パウルはガスパール国王が言った事に疑問に思うと、大統領の執務室のドアがノックされる。
「失礼致します」
パウル大統領の秘書官のクロウが紅茶の茶器を乗せたワゴンカート運ぶ執事服を着た者と共に入り、その場に簡易のティーパーティーでも開ける様に設えた。
設置し終え、ササッと席に付いた珍客の前に紅茶と茶菓子のマカロンを置き、執事服を着た者はワゴンカートにを置いて去って行った。
流石気付いたか。
パウルはクロウなら気付くだろうなとほっといたのだが、珍客二名を的確に判断し持て成した手腕に内心驚く。
ただクロウ自身もガスパール国王は解る様だが、クレメンタイン国王は初見であり、今しがたハイエルフ特有のエルフよりも細長い耳を見て驚いて居るようだ。
一瞬だけ目を見開き、客人に悟られない様に即座に普段と変わらぬ様子でパウルのやや右側の背後に控える。
「あら、ブルーベリーのマカロンね」
ヒョイッとクレメンタイン国王は口の中に入れ、一口上品な仕草で紅茶を飲む。
「うんうん中々ね。ただ残念ね、味は解るのだけど私の御腹には貯まらないのよね」
うーん残念勿体無いけどダイエット中には良いのよね。等といい、クレメンタイン国王はパウルにウィンク一つ寄越す。
「つまり…」
唖然とした顔付きをしたパウルに得意気な顔付きでニコニコ笑うクレメンタイン国王。
「此れで解っただろう」
と、ガスパール国王は紅茶を飲み、
「我等のこの場に居る身体はホムンクルスだと言う事だ」
「しかも最新式のね」
今回珍しく先にアルファポリスの方をUPしました。…予約とかうっかり忘れ………
明日のUP予定だったんだけどね。
(/ー ̄;)ヤッチマッタ…
もしおきに召したら。
٩(๑'﹏')و
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m(__)m




