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子ウサギは竜王様に寵愛されたい  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
3章 モーザ・ドゥーグの影
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閑話 迷い6

 ウサギのベットに仕方無く三人plus一匹で入り込む。


「あ、たまちゃ~」


 眠ったままのウサギの服を少しは寝やすくする為に第一ボタンを外し、簡単に服を整え、靴下を脱がせ靴も脱がせる。

 その後カデンツァが部屋から持って来た寝間着(ズボンだけだがを着替えてベットに横になる。

 そうこうして居るうちにタマが現れ、寝るの~?と言わんばかりにポヨポヨと空中で飛び回る。


「たまちゃ、きょーいっしょー」


 コッチコッチとアニタが自身の隣をポンポンと叩くがタマは寄り付かない。


「タマちゃ?」


 プルプルと震え出すが、何を言いたいのか分からない。


「タマ、何か言いたいのか?」


 頷く様に上下にポムポムと跳び、次いでぽーんっとウサギの部屋のテーブルの上に飛び乗り、更に跳ねてベットの横の小さなチェストの一番上の引出しにポンッと当り、床にコロコロと転がる。


「タマちゃ、だーじょー?」


 アニタはベットの上から身を乗り出して床を覗き、アドニスは「ん~?」と小首を傾げ、


「タマって確か嬢ちゃんが作ったのを布団にして寝てるんじゃなかったっけ?」


「おふちょー!」


 うんうんとアニタが頷いて「ここ、あゆー!」と、先程タマが当たったベット横の引出しを指差す。


「此処か?」


 レノがアニタが指差し、タマが当たった引戸を引くと…


「竜ちゃんは精神的にクリティカルを喰らった。っと言うか、手に取るなよ竜ちゃん」


「パパ…」


 ベットの上に居るアニタからビュォォォオッと突風が吹いた様な冷たい眼差しを受け、アドニスから呆れた声を上げられたレノは瞬間的に固まっていた。

 そして直ぐに我に返り、


「小さく丸まってたので何の布だか解らなかったのだっ」


「うん、それはわかったから」


「わざとでは無いのだっ」


「うんうん」


「信じてくれるか?」


「竜ちゃん兎に角落ち着け。後、何時までも握ってないで速くその嬢ちゃんのパン○元に戻そうか」


 流石に此処で嬢ちゃんに起きられたら面倒だし、何より更に精神的にレノにカウンターが入るのは避けたい。


「…う、うむ」


 ギュウとキツク握って居た下着は真っ赤になったレノによってさっさと元の場所に戻され、その隙にタマがふわっと引戸に入り込んで自分用の布団を取り出し、嬉々としてアニタの枕元へと飛んで行った。





 ***





 ベットに横になったアニタに、御気に入りらしいタマの名前の刺繍が入った布を掛け、アニタの枕元でスヤスヤと眠っているタマ。そしてウサギはレノにくっつきながら規則正しい寝息を立てて居る。

 そのベットの横にはウサギに抱き付かれ横になりながら、先程のことで心にダメージを負ったらしく暗く沈んで居るレノ。


「嬢ちゃんには黙っててやるから」


「…情けなくてすまんな」


「あ~まぁ、今更だし。長い付き合いで竜ちゃんの性格判ってるから」


 マルティンが居たらトドメ刺すのも知ってるし?とアドニスが言うとやっとレノの口許が上がり気分が少し上がった様だ。


「マルティンには…」


「わかってるって」


 其処でレノが指を動かし、室内にあるランプの明かりを消す。

 アドニスは適当に布団の中に入ると、頭だけを出してまるで人間の様に目を閉じる。


「パパ」


「なんだ?」


 アニタが動いて居るのか、ゴソゴソと言う音がする。

 ベットの真ん中にレノが居て、左側にウサギ、右側にアニタ。そしてアニタの枕元ではタマが居て、アドニスは皆の足元で悠々と頭だけを出している。

(ベットはセミダブル位の幅がある為、子供三人(一人幼児)で眠っても余裕がある)


「怖いゆめみちゃの。だから起きちゃの」


「怖い夢?」


「うん…スゴークげんじつてき。あたち、また先見もっちゃったにょかにゃ…」


 この能力"やっ!"と呟き、またゴソゴソと音がする。

 首を振っているのだろうか。


「まえ、えっちょ、わたちがいつちぬの知ってたにょ。でね、こんかいはまだ見てにゃいけど」


 レノは指先に魔力を灯し、ほんのりとした丸い柔らかい光を出す。

 案の定アニタはボロボロと泣いており、ふるふると小刻みに震えて居る。


「ままが」


 ギュウとレノの腕にアニタはすがり付く。


「黒っぽいイヌのよこでーー…真っ赤に…でね、後は赤しかわかんにゃかっちゃの」


 プルプルと震えたアニタはそこで起きたと言う。


「先見の兆候とかは無かったのか?」


「んかんにゃい。うまれかわってかにゃ、こんかいはじめてにゃも…」


「…そうか」


 ふと、何かがレノの前を過る。

 黒い猫。

 アドニスだ。


「アドニス?」


 にゃぁあ~んと一声鳴き、泣いて震えて居るアニタにすりよる。


「ベルか」


 うにゃんっと返事をし、アニタの頭や身体に喉をゴロゴロ鳴らしながら擦りより、可愛らしい声でにゃ~んと鳴く。

 アニタを慰めて居るらしい。


「アニタ」


「う」


「明日の朝、私達が留守の間フローを呼ぶ。だから心配するな」


「うにゅ…パパぁ…」


「大丈夫だ。"ただの怖い夢"だ」


「ほんちょ?」


「ああ。だから安心するがいい」


「うん」


「第一ウサギには私が居る」


「うん!」


 安心したのか、ニッコリと微笑んだアニタの頭を優しく撫でると擽ったそうに身動ぎし、安堵した顔付きであっと言うまに寝付いてしまった。


「夢か…」


 寝ているウサギの顔を見詰め呟く。


「竜ちゃん、ただの夢だよゆーめ」


 ベルからアドニスに戻ったのか、今度は流暢な言葉を紡ぐ。


「そうだな…」


 ただ夢と言うには引っ掛かる。


 黒いっぽいイヌ。

 後は赤。


 何かを指しているように思える様な気がする。


「こんな時兄上が居ればな…」


 この世界に産まれた時から的確な判断を下して居た、精霊達の長兄にして"精霊王"。

 ウサギと同じ様に僅かな時しか居られなかったが、彼なら間違いなく僅かなヒントだけでも答えを導き出すだろう。

 それこそ【迷い】等一切無く、だ。


「アドニス」


「ん~?」


「先日の抗争での一件で城に居たと言う黒い犬、それと関係あると思うか?」


「…気になる?」


「ああ」


「う~ん今嫁はグリンウッドの大地の修復の為に冬眠状態に入っちまったからなぁ。俺は城の地下を優先させたいし、ベルは暫くの間周辺の警護をしときたいしで、俺個人は暫く身動き取れないかな」


「分かった。一応此方でもあの場にいたエルフ達を追跡調査させてはいるが、今回の一件も共にマルティン達一族の方と、久し振りに私の精霊達にも頼む事にする」


「ごめんな竜ちゃん」


「いや、此方こそすまないな気を使わせて」


「いやいや」


「…」


「…」


「プ」


「ク、ククク」


 アドニスとレノ、互いに眠って居る者も居る為に笑い声を出さない様に声を押し殺し、肩をプルプルと小刻みに震わせて笑いを堪える。


「こう言うのって数百年ぶりでね?」


「ああ、そうだな」


「俺、竜ちゃんと親友になれて良かったよ」


「どちらかと言うと悪友だがな」


「ちょっ!竜ちゃん迄マルティンみたいな事言う!?」


「クックックッ」


 耐え切れなくなったのか、レノは口許に手を添えて笑う。


「あ~もう、いいよいいよ、寝よねよっ」


 バフッと勢いよくアドニスは突っ伏し、布団に潜る。

 黒い猫耳だけ出して、少し拗ねて居る様に見える。…様に演出しているのかも知れない。


「そうだな、寝坊してウサギに拗ねられたら困る」


「どんだけ竜ちゃん嬢ちゃんの尻に敷かれてるんだよ」


「うむ。幸せだな」


「ドMかっ」


「ウサギに関してはそうだな」


「うへぇ~長い人生でまさか竜ちゃんにノロケラレルとは…しかもドMな方向で」


「人生ではなく魔生では無いか?」


「それ言う!?」


「では魔人生」


「それ何か別の生き物っぽい!」


「ならば魔王人生」


「…既に人か魔王か何か分かんない生物みたいになってる!?と言うより悪化してるしっ」


 肩を震わせて笑い声を上げるレノにアドニスは「ああもう~っ」と愚痴る。


「羨ましいか?」


「あ~ハイハイ」


「ウサギは幾ら悪友とは言えやらんぞ」


「いらんわっ!良いからさっさと寝ろぉっ」


 ボスンッと音を立てて黒猫アドニスに乗られ、ぐえっと言いながらも笑う。


 まったくっ!と言うアドニスの小言に、こんな愉しい気持ちはこの世界に産まれてから初めてかもな、とレノは愉快に思って目を閉じた。


『この身体俺のでは無いようです!ー異世界転生ってここは何処!?ー』の方のが先に上がってたんですが、誤字が多いのと相変わらずの誤爆(本筋をがばーーっと書いてしまっていた………)が多くて修正おくりになったので此方を先にUP。

これで『閑話 迷い』は終わりとなります。

しっかし、後半のアドニスとレノのトークが…。

ギャグか!٩(๑'﹏';)و


*裏設定*

◇アドニス本体は城の地下で繊細な闇魔法の封印作業中の為、余り身動きが取れない。尚、修復作業としてリザートマン達が工事している。

◆女神はグリンウッドの修復の為に力を酷使。元々邪神によって力は奪われて居る為に今ある力は強くない。現在は復旧の為に冬眠状態。尚、完全復旧はしていない(竜王が力を使えば復旧は速かっ…ゲホンゴホン)。

◇ウサギの部屋の衣装部屋。近いうちに止めないと、誰かのせいで溢れる事間違いなし。奇抜な衣装にエイミーは頭を悩ませて居る。



宜しければ!

作者のモチベーション維持の為、ブックマーク及び評価をどうか宜しくお願い致します

m(__)m

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