2.5 守護は未来。星。導く者
ーー魔力の中にある人格の一部みたいなモノかな?
どう言うこと?
痛む身体に叱咤しながら、意識が途切れ無いように頭の中から聞こえた弟の声を必死に聞く。
ーーおねえちゃんの瞳に移した《僕の魔力》にほんの少しだけ人格があってね、それで今話し掛けてる。おねえちゃん1度しか言わないからよく聞いてね。
う、うん。
ーーこれから数千年封印されてた本来の魔力を開放するから、おねえちゃん頑張って制御してね。間違っても周囲の人達粉砕しちゃ駄目だよ?
エルフ云々は良いけどって何か怖い事を弟が言ってるけどって、封印されてた?
ーー本来なら開放するのは竜王の役目なんだけど、竜王は嫌がるのは予想済みだしね。危険だからって隠蔽させたし。でももう隠蔽は外すよ。このまま封印させたままのが危険だからね。竜王に怒られそうだけど、《僕のおねえちゃん》を何時までも踏みつかれて居るのは腹立つし。
うわぁ、滅多に怒らない弟が物凄く怒ってる。
確かに私も何時までも踏みつけられるは嫌だけど、危険だから封印されてたのでしょ?大丈夫なのかな?
ーーおねえちゃんなら願えば大丈夫。それに元々は隠蔽なんてさせるつもりは僕は無かったんだけど、竜王が心配症でね。過保護過ぎなんだよ。
それは…納得。
竜王様ってちょっと、ね。
過保護過ぎてて時々息がつまっちゃう。
一時期なんて窓の側に行くのも駄目って凄かったし、玄関側に一人で行くのも駄目だったし、メイドさん達の誰かがついて居ないと部屋の外に出るのも駄目って言ってたし。
…人に成り立ての時なんて上手く歩けないから始終誰かついてたけど、あれから結構経過してるのに。
ーーうん、何か竜王あいかわらずで流石。
弟、弟。何でそこで笑うのかな?
ーーさて、外すよ。おねえちゃんなら大丈夫、頑張って。上手く制御できれば、そこの女の人の出血止められるから。
ほんとぅ!?
ーーうん。それじゃ、次は"アベント"かな。それまで頑張って。
うん!
…アベント?
ーー【全世界に告ぐ】
え?
「な、なんだ?」
「いったい何が?」
「なに、なんなの!」
どうやら【】がついて居る言葉は、この部屋に居る者達所か、もしかしたら外に居る者達にも流れて居るのかも知れない。
弟の声質よりもやや低く大人の男性の様な、それでいて脳内に響く声。命令されて居るわけでも無いのに、その声を一言一句漏らさずこと叶わず、生きとし生きる者全てが耳を傾ける。
エルフ達は仕切りに挙動不審になり、目がギロギロと周囲を見渡し始める。
その中でただ独り、否、一匹。
黒い犬が項垂れ打ちひしがれた様に項垂れている。
ーー【隠蔽されし第十一番目"来"隠蔽解除。これより来ではなく、本来の司る"未来"へと移行。守護は未来。星。導く者】
『なんと言うことだ…』
ふらり、と。
黒い犬はその場で座り込み、先程よりも更に深く項垂れる。
「何なんだよ!何が起きたんだ!」
項垂れる黒い犬と比べ、エルフ達は喚く。
…それしか出来ぬが為に。
***
side.アドニス
突如戦場に響く音声に、敵も味方も皆金縛りがあった様に微動だに出来ず停止する。
「オイオイオイオイっ!一体どういう事だよ!」
その中で唯一、抵抗したアドニスが片手で刀を振るい技一閃、敵に浴びせてから喚く。
周囲は未だに停止したままだが、口々に「隠蔽?」「第十一番目 来??」「聞いたことあるか?」等と言う声が上がる。最も喋る事が出来る知性ある者のみだが。
「アドニス様、これは一体!?」
「俺に聞かれても解らん!」
アドニスの背後にいたリザートマンから目の前に居る敵に目線を戻す。先程から敵であった者達が微動だにせず、徐々に目に生気が甦り、理性を取り戻した者達が武装を解いていく。
一部オークやブラックウルフ等の元々敵対している者達以外、皆敵意を失って行く。
「何なんだ?」
アドニスが呟くと目の前の敵だった者が「紅い光だ」と、小さく呟く。
「光?」
「ああ、光…」
そのままアドニスの後ろを魂が抜けたかの様に呆然と見詰め、黙り込む。
「アドニス様…」
そう言ったリザートマンご指を差した方角を見詰めると、奇しくも武装を解いた敵だった者達が次々と座し、膝を降り祈る様な形で腕を組んで行く。
時には土下座の様に大地に伏して居る者迄居る。
そして祈る先、遥か彼方に見える古城が真紅に紅く光輝いて居る。
「竜ちゃんと嫁に聞かねえとな」
ポツリと呟かれたアドニスの言葉に、横にいたリザートマンはコクコクとただ縦に首を振るしか出来なかった。
見ていただいて有り難う御座います。
おきに召しましたら…
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m(__)m
↓おまけのマルティンの小話はこの下です↓
そのじゅうに。
「このケーキ旨いな!嬢ちゃん焼いたのか?」
「御手伝いしただけです」
オットーと一緒に粉を量って混ぜただけと謙遜している御嬢様と、皆で御茶をしてほのぼのと和んで居ると、何だか外が騒がしい様な…?
「遊具設置した辺りから騒がしくないか?」
パウル達が窓辺にたって窓を開けると、
『ペンキが貼り付いて動けないのじゃ~!誰か助けてたもっ!』
ミトラ様がどうやら好奇心に逆らえず、ペンキ塗り立ての遊具に触れてしまった様です。
「「「…大精霊って…」」」
パウル達が呆れ返っております。
御嬢様が冷静に、「ミトラさーん魔法でくっついてる所軽く熱したら取れませんか?」とパニック状態のミトラ様を諭しておりましたよ…




