番外編 子ウサギは女子会? 1
遅くなりましたが祝100話!向けのお話の予定だった番外編です。
ってもう100話越えてるヨ!
遅いよっ!
暫く脱線致しますが、お付き合い下さい。
m(__)m
『うむ、集まったの。ではこれより第一回女子会を始めるのじゃ』
ビシッと小さな右手人差し指を上に上げたまま、無い胸をエッヘン!と逸らすミトラ。何時もなら金色の燐粉は舞い上がって飛んで居るのだが、今はソファーに腰掛けて居るからか僅かに空中を舞っているのみ。
場所は竜王の部屋のソファーがある一画である。
その場所にかつて知ったるが如くミトラは座り、ウサギはその向かい側の一人掛け用のソファーに座っている。
そして隣の一人掛け用のソファーの上に、柘榴色の瞳の白いウサギの縫いぐるみがちょこんと腰掛けている。
「女子会?」
手に相変わらず寂しく思っているのか、それとも癖になってしまったのか、傍らに置いている竜王様の枕を抱えて小首を抱えて居るウサギは「ん~?」と唸っている。
右を見て
左を見て
後ろを見て
前を見て
下を見て
斜め左を見て
………?
ソファーに座って居るのはたった二人だけど?
「女子会?」
『二度言うでないっ』
ビシィッと人差し指をウサギに刺して言うと、そのミトラの指をタシーンッとひっぱたく、しなやかな艶のある真っ黒な猫。
先程ウサギの足元に居た"男子"なアドニス様が「行儀が悪いっ嬢ちゃんを指差すな!教育上良くないっ」と、ミトラを叱る。
『むむむむむっアドニスっ!妾に何をするのじゃ!』
「何をじゃないっ!今嬢ちゃんは情操教育をしてるんだ!女子会ちゃうわっ!」
ミトラの左側には情操教育途中(?)のメイド長エイミーが、クスクス笑って立って居る。
『だってじゃのっ!折角妾が遠路遥々ファンダムから遊びに来たと言うのに、肝心の弟は仕事じゃし、うさちゃんは勉強で遊んで貰えんしの、つまらんのじゃっ』
「我儘言うなミトラ、嬢ちゃんの邪魔だ」
そんな喧騒のよこではウサギが「じょーそーきょー?」と、コテンと小首を傾げている。
ウサギは勉強はしていない。やっていたのはメイド長のエイミーに、何時もの様にパッチワークの指導をして貰って居ただけだ。
だからあれぇ?と疑問に思っている。
「御嬢様、心を育てる御勉強をして居ると言うことですよ」
「心?」
「ええ、そうです」
心かぁと思って「んー?」と思う。
これってそうなのかなぁ?
少なくともそう喋ったアドニスにとって、"そう言うモノ"なのかも知れない。
アドニスと目が合うと「気にせず続きしとき」と言われ、またミトラとアドニスの二人はギャアギャアと口喧嘩をし始める。
「妾は可愛いうさちゃんと女子会をしたいのじゃっ」
「ベルも可愛いぞ?」
「元はお主の左腕かと思うと………」
「それ、言うたらあかんわ。冷静になったら試合終了だ」
「うぬ?意味がわからんがの、何となく察するモノがあるのじゃ」
喧喧囂囂と騒がしい二人からウサギは目を離し、部屋に居るマルティンを見る。
先程から竜王様の部屋にいるマルティンさんが、何度も懐中時計を取り出し、頻りに確認をしている。そしてササッと簡単にテーブルの上や部屋の調度品を掃除し、書類を纏めて置いた。
そしてまた、何度目かの確認をしてから退出して行った。
ーー帰って来たのかな?
じょーそーきょーとか何とか言うのは分からないけど、マルティンさんの様子を見て、竜王様が帰宅して来たと言うのは何となく分かる。
そして、何となく落ち着かなくなった自分に「う~ん」と思う。
先日の婚約騒動から何となくだが、竜王様と離れていると落ち着かなくて仕方がない。
特に何があるわけでは無いのだが、朝に逢って居ないとついつい勉強以外では竜王様の事を考えてしまい、赤くなったり寂しくなったりと忙しなくなり、最終的にはぼんやりしてしまう。これは良くないなと思い、別の事に集中してみようと今日はパッチワークをしてみた。
だが困った事に竜王様の部屋から離れがたく、また竜王様の枕を側に置いて置かないと落ち着かない。
自分自身でも何だかなぁと思いつつ、マルティンさんに御願いをして部屋に居させて貰っている。
余談だが、竜王様からウサギが部屋に来たがったら何時でも良いと、マルティンさんは言われて居るらしい。
それを聞いたアドニス様が、
「竜ちゃん部屋にエロいもんとか置いて無いのか?」
堂々とマルティンさんに聞いて来たので、
「アドニス様はあるのですね?」
と問い詰めた。
そうしたら少し間を開け、
「嬢ちゃん、女の子には解らないだろうが、これは男のロマンです」
等と、宣言。
そう言えば前にエロ本燃やされたって言って、ガックリしながら呟いてたなぁって言ったら、
「嫁にやられたんだもんって、嬢ちゃんの口から聞きたくない単語がぁ…」
と言われ、急にアドニス様がキッ!と言わんばかりに眼力を込めて見詰めて来て、
「それ、竜ちゃんに絶対に言っちゃ駄目!竜ちゃんに俺が怒られるっ!」
ブルルルッと黒い毛皮を震わせていた。
後程。横で聞いて居たマルティンさんにアドニス様はかなりキツメに叱られて、怒濤の嫌味の連続攻撃喰らって撃沈されてたけど。
こう言う時ってマルティンさん手加減無いんだよね~…
アドニス様がサドとかドSとか言ってたけど、マルティンさんみたいに精神的に追い込む事を示すのかな?
覚えておこっと。
それは兎も角。
男のロマンですか。
色々変なモノがあるみたいですね、アドニス様。
「帰って来た様ですね」
背後に居たマミュウさんが獣人の耳をピクピクさせて、ドア付近に立つ。あの耳フワフワしてそうでいいなぁ、触りたい。
でもそこはグッと堪える。
獣人の人って尻尾とか耳とか、ツガイ以外には触られたく無いらしいんだよね。
以前一回だけマミュウさんにお願いをして触らせて貰えたけど、かなり我慢していたみたいで、ちょっと悪かったかなって反省。
それに今はマミュウさんの恋人ってマルティンさんの様だし、だったら尚更ダメだよね。
うん、我慢我慢。
「出迎えに行きましょうか、御嬢様」
ニッコリとマミュウさんに微笑まれ、「うん!」と慌てて立ち上がって部屋を飛び出す。
居ても立ってもいられず、会いたくて会いたくて堪らない。
廊下を走ると後ろから「御嬢様!」と言う叱咤する声が聞こえて来たが、「ごめんなさい!」と謝りつつ走ってしまう。
良くない。
解ってる。
イケナイコト。
うん、今日の私は悪い子だ。
だからーー吃驚していいかな?
大声出してイイかな?
てかね、竜王様。
あの………………?
「イャァッ!」
いつぞやのグラマラス美人さんのクラウディアさんが、その豊満なお胸に竜王様のお顔を挟み、顔を赤くしたり青くしたりして圧死(窒息?)仕掛かって…?
「竜王様のばかあっ!!」
「え、えええっ!レイン!?」
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悪役令嬢モノ?ハジメマシタ。
『悪役令嬢(仮)見聞録』
此方も宜しかったらお暇な時に見てって頂けたら幸いです。




