餌、喰われる?
ぐるぐるぐる。
回る、部屋の中がまわる。
う、ううん、目がまわるだけじゃないみたい。
身体が熱い。
熱いだけじゃなくて痛いっ
苦しくて、くっしょんの上でジタバタ暴れた。
「ぴっ…ぴきゅッ」
「あ、ふ…」
胴が痛い。
腕が痛い。
首がガクンッてなって、くっしょんの上で荒い息を吐く。
「ふぐぅ…うんっ」
聞いたこと無い高い声が耳に聞こえたけど、それどころでは無くて。
痛い。
熱い。
ビリビリと痺れる妙な感覚と、全身を貫く痛み。
助けて…っ
「り、りゅうさ…んっ、きば、の、おに、さ…」
助けてっ
「いやぁああっ!」
ドンドンドンッて音が聞こえたけど、わからない。
身体も力が入らない。
頭もぼぉっとする。
音がした方に視線を向ける。
「…っ!?」
牙のお兄さんだ。
何だか吃驚した様に部屋のドアを開けたまま突っ立ってる。
あれ?ここ部屋なんだね?
さっきもっと天井高かったから、死後の世界かな?って思って居たのだけど、牙のお兄さんが居るなら私まだ死んでないのかな?
牙のお兄さんが守ってくれたのかな?
それに呼んだら来てくれた。
凄く、凄く嬉しい。
頬を上げて、ウサギだけどニッコリとしてるように笑ってみた。
人間みたいには出来ないけど、多少は表情かわるかな、なんて。
…ん?
あれ?
んんん???
何故牙のお兄さん顔真っ赤なの?
耳も首も真っ赤だよ?
あ、お兄さんお洋服着てる。
湖に居た時は何時までも着なかったから、そう言う人なのかな?って思ってたけど(変身?したら竜さんだし)違ったみたい。
紫色の髪の毛と、ライトブルーの瞳に合う模様が入ったちょうど高価そうな白色のシャツと黒色のズボン。
うん、格好いい。
今はびっくりする位に真っ赤なのは何故かわからないけど、牙のお兄さんに何故だかちょっと触りたい。
触れたい。
さっきまで激しく痛かったけど、今は少しだけになってる。
大丈夫かな?ゆっくり右手を上げてーー…?
あれ?
右手?
あれ?
じ、自慢のウサギ毛が無い!
わ、私の毛が!
肉球っ
あ、あれ?
これって人の…?
「きゃっ!」
繁々と人の腕になってしまった私の腕をみてたら、急に視界が真っ暗になった。
何だろ?となっていたら、
「ふっ…んんんっ……んぐっ」
くち、口がっ
お兄さんに塞がれ…っ
「やっ……む、やぁ…」
牙、お兄さんの牙が唇に当たってゾクリと震える。
頭、さっきより強くクラクラするっ
息が出来なくて、口の中にあるお兄さんの舌が私の舌に絡まる。
これ、何…?
「んんっやぁ…」
バシバシとお兄さんの胸元を手で叩いてみたら、その手を捕まれてもっと深く舌が絡まって来る。
「っ…や」
段々身体が震えて来る。
わからない。怖い。これ何?
お兄さんを見ると、熱が篭った瞳で見詰められる。
両方の目から涙が出て来た。
怖い…
「こんのっお馬鹿ーーーーーー!」
スパーンって言う音と共に、牙のお兄さんが部屋の壁にめり込んだ。
餌、…………怖い………
□■□□■□
何かすんませんでしたっ(土下座)




