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マラソン
スタートラインは、皆平等に与えられる。
皆横一列に並んで、スタートの合図と共に前に進み出す。
だか、全員がゴールすることなどできない。
まず、スタートの動乱で転ぶ人間が出る。
しばらくして、脚をつる奴がいる。
そいつらを横目にマイペースで進んでゆくと、かなり前に周りの人間を追い抜いていった奴が、先の地点で倒れていた。
立ち上がるのは厳しそうだ。
苦しそうな表情で、自分を追い抜こうとする僕を見ている。
こっちを見るなよ。
そんな目で見ても、君が倒れたのは僕のせいじゃない。
みんな、自分がリタイアするなんて思ってもいなかったんだろう。
ゴールテープを切る感動的な瞬間を夢見ていたのだろう。
それも、もう叶わないからそんな目をしてるのだろう。
よく、人生という難レースを指して
振り返るな!
という。
それもそのはず。
背後には、数多くの嫉妬、怒り、悲哀、絶望を全てのせた視線が渦巻いているから。
そんなものを見たら、怖くなって足がすくんで自分も転んでしまう。
だから、僕も同感
振り返ってはならない。
前を向いて走れ。