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出現(2)

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「あとどれくらいなの?」



「5分程ですよ。」



「救難信号が送られてかららもう10分以上経ってるのよ!急いで!」



「無茶言わないでくださいよ、アサギさん。プラネットではあまり目立てないこと、貴女もご存じでしょ?それに、僕らの力じゃステルスも弱いんですから!」



「何とかしなさい!そんなんだから“スイちゃん”なのよ!」



「その呼び方は止めてください!」



空を行く1台の小型機・ヘリーの中で1組の男女が口論をしていた。口論というわりにはアサギと呼ばれた女性が一方的に男性へ文句を言っているだけにも聞こえる。



救難信号が送られたと言った本人達が緊急事態だというのに全くその雰囲気がない。むしろ和むようなやり取りである。第三者が居たならば必ず怒鳴られていることだろう。



「あのルディ様から救難信号が送られてくるなんて、絶対何かあったに違いないのよ……急いで、スイ。」



「解ってますよ。可能な限り最速出してます。…アサギさん、駆けつけた後の対応は?」



「予知システムが出したパターンを見てきたから、対応は考えているわ。一番の問題は、おそらくシャーマンの存在ね……。私達が今使える能力にどれだけ影響が与えられるかは判らない。とにかく急ぐのよ。ある意味時間との戦いでもある。」



「……はい。」



先程までとは違い真剣な表情を見せるアサギに、スイも息を呑み、操縦桿を握る手に力を入れた。





***




「はぁ、はぁっ…」



「大丈夫か?嬢ちゃん」



「…はいっ…」



救助部隊が向かっていた頃、身を隠していたあの2人はビル群を抜け人目の少ない道をただひたすら走っていた。あの後3分もしない内に男から移動すると告げられた彼女は、男の傷を心配しながらも立ち上がり彼に続く。



ビル群を抜けてから暫くした後、撒いた筈の敵に位置が特定されたらしく2人は追われながらの移動となった。



「あの白い建物の屋上だ。」



走りながら男に言われ視界隅に入った白い建物を見る彼女は、その大きさに圧倒された。生粋の現代人である彼女にとって、もう既に10分近く走り続けているのにあの巨大な建物の屋上へ走って向かうのは、辛すぎる。



別段運動が苦手というわけではないが、毎日トレーニングをするほど運動を嗜んでいるわけでもない。たとえるなら高校などでみられる体育の授業では、何の問題もない程度しか運動はしてこなかった。



そんな彼女にとって目に映る白い建物は余りにも遠すぎる。



「あの角を曲がるぞ」



「はぃ…っ」



男に言われ一気に現実味を取り戻した彼女は彼の背中を追う。男が角を曲がろとした時だった。その角の死角になっていた位置から黒い防護服を纏い、その手には銃が握られていた。



「ッチ、」



咄嗟の出来事に彼女はグッと身を縮こまらせ目を閉じたが、衝撃は来ず、聞こえてきたのは殴る音と殴られた者の呻き声だった。その音に恐る恐る目を開ければ、襲ってきた人物が地で伸びており、いつの間にか奪ったのか、男は襲ってきた人物の銃を手にしていた。



「こっちに来い」



「えっ!?」



言葉を発する時間もないまま彼女は男に腕を引っ張られ、男の腕の中に抱かれた。彼女はその行動に驚いたが、男は全くもって彼女を意中にいれていない。彼の意識は後ろから追ってきていた敵に向けられている。



そして彼は、奪い取った銃を敵に向けた。



「……っ、待って、まさか…殺すんですか!?」



「………」



男はその言葉に眉を顰めたが、暗に殺さないでと言う彼女の頭を自分の胸に押しつけ、彼女の視界にその瞬間が入らないようにしてからトリガーを引いた。



雨音に紛れて響いた銃声に、彼女は男の腕の中で顔を青ざめさせる。1発や2発ではない、連続して耳に入る銃声。恐ろしいのに、叫び声をあげないのが彼女自身も不思議だった。



「おたくらがルール破るなんざ世も末だな。そっちがその気なら、こっちだってルール無視するぜ?」



男は乱暴に手にしていた銃を投げ捨てる。そしてよりいっそう彼女を強く抱きしめた。



「っ、いた…痛いです!離してくださいっ!!」



彼女は急に腕の力を強められた痛みに声をあげ、男の腕の中で足掻いた。



「っと、…随分お転婆な嬢ちゃんだなぁ?」



男はそう言いながら腕を解き彼女を解放する。自由になった彼女は男から少し距離を開いた。目の前にいるこの男が、人を殺めたということが恐ろしかったから。



「んなに睨まないでくれ。テレポートするには密着するのが一番なんだ。悪かったよ…」



「……何を言って?……っ、え?」



「テレポートしたんだよ、さっき下から見てた白い建物に。」



男に言われてから彼女は気がついた。いつの間にか目に映る光景が変わっているということに。それに加え降っていた雨が止んでいた。



一瞬の出来事に彼女は言葉を失い、金魚のように口をパクパクさせている。



「…くくっ、間抜けな顔だな。ま、聞きたいことは山ほどあるだろうが、後にしてくれ。もうじき救助部隊がくる…」



男は彼女の顔を見るなりおかしいそうに笑う。妙にはぐらかされた感を覚えた彼女だったが、もうこれ以上何かを言う気にもなれず閉口した。慣れないことだらけで流石に疲れたようだった。



「お、やっと来たみたいだな。余計なものまでケツに引っ付けてやがるが…」



「…追われてる?」



「どうやらこのプラネットは本当にアホらしい。対エスパー用戦闘機まで持ち込んでくるたぁ…呆れるね。」



「…あの、…なんか嫌な予感が……銃口がこっちを向いてるんですけど、見間違いですか?」



「んいや?見間違いじゃねぇ。ゴツいガトリング砲がこっち向いてるな。」



悠々閑々と男は笑っていたが隣の彼女は口を手で多い、途方にくれている。



ガガガ、と耳を(つんざ)く音がすると彼女の体はいつの間にか男にまるで俵を担ぐかのように抱き抱えられていた。



「舌噛むから口あけんなよ?」



男は敵の攻撃をシールドのようなもので防ぎながら、救助部隊のヘリーが迂回してくるのを待つ。対エスパー用戦闘機であるため攻撃系の能力は使えず、防戦一方だった。



やがてヘリーが戻ってき、乗り口まで走って位置を合わせれば丁度よいタイミングで扉が開いた。



「ルディ様!」



「乗り込んだら飛ぶぞ!」



「了解です!」



ヘリーに乗っていたアサギに引き上げられ、無事に2人は救助される。



その後すぐ、彼らが乗っていたヘリーは姿を消したのだった。





文量のバランスが悪いですね;申し訳ないです(;•ิ﹏•ัก)

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