16/16
エピローグ
こうして、神殿はその力を失い、単なる象徴と化した。神は相変わらず人々の心の中に存在し続けたが、それは奇跡を起こしてくれるものではなく、彼らの傍に寄り添い、ただ『在る』だけのものに過ぎなかった。
人の中に留まった月の神の娘は、人の心が落ち着きを取り戻した頃、忽然と姿を消した。
民は皆、神の娘は神の元に還ったのだと、信じた。夜空に浮かぶ月のように、神々の世界から、自分達を見守り続けてくれるのだと。
月日は流れる。
人々の中から選ばれた者の集まりが国の中枢を担うようになり、やがて彼らの中でも力の優劣が付き始め、そして、特に際立った者が頂点に立つようになった。それは『王』と呼ばれ、かつての『神』と同じように人々を支配するようになる。
だが、歴史は流転するもの。
国は爛熟し、王はいつしか驕り昂ぶり、腐敗するのは必然だった。
そしてまた、一つの国が消え、新たな国が起る。
繰り返し、繰り返し。
長いお話を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
感想や評価などいただければ、励みになります。




