人生2回目、おばあちゃん先輩
人生2回目のおばあちゃん先輩×作家を目指す陰キャの女子高生。
緩い日常系。
「絶対に秘密にしてもらおう。
うん、そうしてもらわないと困る」
呟きながら、私は登校している。
「部活何入る?」「軽音部とかないかな、漫画みたいな高校生活にしたい」
陽気な同学年の女子たちが会話をしながら通りすぎる。
私は口を閉じ、聞かれなかったかドキドキしてしまう。
ああ。
だから、あの3年生の先輩には、どうにかして秘密にしてもらわないと。
私の秘密、バレたら死ねる秘密を。
なんでバレたか、私にはわからないけど。
入学式の次の日、私は2人きりの図書室で言われたんだ。微笑まれながら。
『あんた、作家になりたいんじゃろう?』
謎の、おばあちゃん口調で。
「いる…」
図書室をのぞきながら、呟く。
今日も、図書室には、3年生の先輩だけ。
名前はまだ分からない。私は高校生になったばかりだし。できれば分からずに終わりたい。私の秘密を知っているのだから。
私の顔に『私は作家を目指しています』とでも書かれているのだろうか。いや、そんな訳ない。人生で初めて言われたし、あんなこと。
…。
2人きりはいいんだけど。
さて、どうやって秘密にしてもらおう。
分かんない。
「そこにおるんじゃろ、入っておいで」
「!」
てか、何弁? おる? またおばあちゃん口調だし。なぜか違和感ないけど、女子高生なのに。
「し、失礼します」
「あら、昨日の子」
「え、えーっと」
「作家を目指している子かね」
「!」
私は顔を赤くする。
おばあちゃん先輩(私命名)は、微笑んでいる。
「そ、それを秘密にしてくれませんか?」
「あら。それが高校というものじゃったかね。じゃあ、秘密にしようね」
「あっさり」
「ごめんごめん、私には高校がどういう所か分からんから」
謎すぎる、おばあちゃん先輩。
「私、人生2回目だから、高校はよくわからんのよ」
「本当に謎すぎる!?」
人生2回目!?
ファンタジーすぎる。
「中学生だった頃、作家の賞を受賞してね。で、高校には入らんで、肺がんで死ぬまで、ずっと作家じゃったの。だから、高校っていう所がよくわからなくてさ。ごめんね」
もしかしたら、知ってる作家かもしれない。
中学生で受賞、死ぬまで作家。凄いし、うらやましい。
すると、おばあちゃん先輩は手招きする。
「ドアの所におらんで入ってきなさい」
そして、
「髪サラサラ。やっぱ若いっていいよね」
「あ、あの」
「肌もツルツルみたいだし。本当に、若いっていいよね」
「こ、これはっ」
「どう? 元気出る?」
「これは一体どういう状況なんでしょうかっ!」
膝枕をされる私、微笑みながら髪を触ってきたりしてくるおばあちゃん先輩。
女子同士だから問題はない。
ないんだけどっ!
「んー?
だって、元気がなかったから。膝枕したら少しは出るかなって」
「それは陰キャだから…!」
「陰キャ。ああ、なんか聞いたことがある。根暗じゃろ? 陽キャとか、陰キャとか」
ガバッ、と起き上がろうとする。
「先輩命令。私がよしって言うまで動くな」
「なっ」
「命令を聞かんと、秘密言いふらすよ?」
悪どい顔で言ってくる、おばあちゃん先輩。
高校は知らないくせに、いや、この2回目の人生で上下関係の存在を知った、知ってしまったのかもしれない。
結局、おばあちゃん先輩が満足するまで膝枕をされた。
なぜか私は落ち着いていたけど、本当におばあちゃん先輩は人生2回目の元おばあちゃんなのかもしれない。
ありがとうございました!




