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宇宙人ってホントにいる…の? ―2030年、人類降伏と地球政府の選択―  作者: 羅刹夜叉


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27/30

想像力の欠如

「あっ、その前に……」


――後に引けなくなってしまう前に、ふと心に浮かんだ疑問を

投げかけてみる。無駄な時間稼ぎなのかもしれないのだが……


「その連中ってのが、あなたの言うように

本当の宇宙人でないとしたら、私たちと同じ地球人だとしたら、

どうしてそこまでして、地球全体を支配したがってるんですか?」


私はさらに続けた。


「――だって、ミリオンの法則を逆用するために、

これだけのことをやらかすには――」


私の頭には、クレーター状に破壊された都市のイメージが浮かんだ。


「――それこそ、先進国の国家予算なみの莫大な資金が必要でしょう。

それだけの資金を使ってでも、なお得ようとするものって一体何なんですか?」


「彼らの真意は本当のところ、我々にもよくわかっていません」


内藤は、かすかに首を横に振りながら、こう語った。


「我々の調査で明らかになっているのは、本当にごく一部のことだけなんです。

宗教上の理由、富の独占、あるいは、さきほども触れた地球人口の削減……

いくつもの説があります」


「……」


「――彼らも一枚岩ではなく、多分、これらが複合的にからみあって

結果的に一つの組織体として動いていると、我々は見てます」


「じゃあ、目的が明確でないのに、あなた方は

その存在を信じてるってことなんですか?」


内藤は抑制の効いた声で、こう返してきた。


「そうおっしゃるあなただって、宇宙人の征服の目的が何なのか、

よくわかってらっしゃるとは言えないじゃないですか」


「……」


「よくわかっていないけど、あなたがたはそれを、

――オーバーアークの存在を、事実として受け入れてしまっている……」


内藤はここで息を継いで、静かに、しかし力強く続けた。


「だから――重要なのは目的じゃない。何が真実か、それだけです」


再び、疑問をぶつける。


「しかし、宇宙人ならともかく、人間が人間に対して

あんなに残酷なことをするなんて、あり得るんでしょうか?」


内藤は皮肉っぽく笑って言った。


「どんなにペット好きな人でも、ベジタリアンやビーガンでもないかぎり、

牛肉やら豚肉やら平気で食べてるでしょう。アレと同じですよ」


――おもわず、目の前の料理皿に視線を落とした。

その料理が一瞬ぼやけて見え、なぜか頭がくらくらした。


「要するに想像力の欠如ってやつですかね……」


「今あなたが食べている牛や豚も、どこかで残忍な殺され方をしている。

でも、スーパーで処理され、トレーにラッピングされてしまえば

もう残忍さは消えてしまいます」


――その比喩は妙に生々しかった。


「レストランの入り口に、牛や豚のパネルが飾ってあったりしますよね」


内藤は、そのあたりを顎で示して言った。


「これから、その肉を食おうとしているのに――」


コック姿の可愛い牛や豚のキャラが、

ナイフとフォークを両手に持って愛嬌を振りまく

イラストを思い出した。


「――私たちは平然としている」


ここまで言うと、内藤は突然、コップの水をテーブルにこぼして、

水溜りを作り、中央にそのコップを据えた。


「それに、首謀者は直接手を下してるわけじゃない。

指示を出してるだけです。それに――」


コップから放射状に水の線を描き、


「――実働する連中は、自分の作業が何をもたらすかも知らない……」


「――残忍な仕業を指示するトップが、

快適な執務室のソファーにゆったりと腰を下ろし、

お気に入りの音楽を聴きながら……」


コップを掲げるように左手で持ち上げた。


「ブランデーでも左手に持ち――」


内藤はパチンと右手の指を鳴らした。


「――右手で指示を出している……」


「つまり……」


「――最上位の指導者が一番残忍じゃないところにいる」


コップをその放射の中央に荒々しく置き直した。

湿った音がした。


「これが、こうした悲劇の始まりなんでしょうねぇ……」


――胸の奥に、何かが引っかかった。

もし彼の言うことが真実だとしたら……


「……だけど、どうして私なんですか?」

篠原は、踏み込んではいけない領域に、まるで魅せられたように引き込まれていきます。

研究者という生き物の好奇心なのかもしれません。


ただ――ときに想像力の欠如は、人を思わぬ場所へ導くこともあります。


――彼はこの先、後に引けるのでしょうか?

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