表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

兵器開発

作者: 雉白書屋

「いかがですか、将軍。こちらが我々が開発した新型兵器です」


 開発部主任が言った。陸軍兵器局の一室には、重苦しい空気が張り詰めていた。室内に並ぶ開発中の兵器や試作品が放つ冷たい金属の光。それらから死の匂いが漂っているためか。


「ううむ……」


 将軍は低く唸った。主任は説明を続ける。


「名はX-001。最新型のAIを搭載し、驚異的な戦闘能力を誇るロボット兵器です。二足歩行ながら、休みなく走行が可能で、その最高速度は陸上選手を大きく上回ります。また、鉤爪を使って壁を難なく登ることができるほか、装甲は戦車の砲撃に耐え得る強度を持ち、生体センサーも完備しており――」


「ま、待ってくれ」将軍が手を上げて主任の言葉を制した。「肝心なことを聞きたいんだが」


「ええ、どうぞ」


「このロボット一体を製造するのに、いくらかかるんだ?」


「だいたいこのくらいですね」


 主任は滑らかな動きで紙に金額を書き、将軍に差し出した。


「将軍? どうされましたか? 口を開けたまま黙って……」


「こ、これ一体の製造だけで、我々の年間予算が吹っ飛ぶじゃないか!」


 将軍は目を剥いて叫んだ。さらに、メンテナンス費や修理費がかかることを考えると、到底承認できない金額だった。


「ええ、では、もっと安価なものをご覧いただきましょう」


 主任は落ち着いた調子で言うと、隣の机から小さなケースを取り出した。


「ほう、さすがだ。ははは、取り乱してしまったよ。それで、それは? 注射器か?」


「ええ、性行為後の女性に使用することで、受精卵の分裂を促し、多胎妊娠を意図的に引き起こす薬です」


「つまり……双子や三つ子を生ませるということか? しかし、それがどう、あ……」


「私の試算では、ロボット兵士を製造するより、人間兵士を増産するほうが圧倒的にコストパフォーマンスが高いのです。人間兵士は安価で柔軟性に優れており、最適解かと」


「しかし、うーん、なんというか、それでは本末転倒では……」


「何か問題でも? 私は常に、あなた方の要求に最適な解決策を提供しているつもりですが」


「あ、いや、文句があるわけではないんだ。引き続き、我が国のために尽力してくれ。D-113、君の開発には莫大な予算が投じられているのだからな……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ