私の嫉妬はまたゴミ箱の中
後が面倒なのでカレが脱ぎ散らかした洗濯物は洗濯機を回す前に必ずチェックする。
カモフラージュさえされず、ほかの“ソープ”の匂いが残留する下着。
それどころか靴下の足裏には縮れた毛や赤い爪のかけらがくっ付いている。
いったいどこから運んでくるのだろう……
私はため息をついて
その靴下を摘まんでいる自分の不健康な爪の色を眺める。
その不健康な爪で、それらの洗濯障害物を取り除く。
なにをやってるんだろう……
どんな病気でも……
カレのもらってくるものは
私もかかっちゃうんだろうなぁ
そこだけは“仲良し”だ。
悲しいと言うより
気だるい
それより
カレが居ない方が
DVされなくていい。
病気うつされないからいい。
でも
そういう時に限って
やって来て
私を壊しにかかる。
ああもう何がなんだか
“奉仕”という名の下にやらされる事……そのDVの方が
表に晒される痣や傷がないだけマシと考える私は
そう、
すっかり壊れている。
『他のオンナだってきっと
同じような思いをさせられているんだ』
そう思いたかったけど
脱ぎ捨てられたワイシャツのポケットからは
私ですら名前を耳にした事のある宝飾店のクレジット払いのレシート。
支払いは私の名義の口座から
「なんだ!冷えてねえじゃねえか!!」
声がした次の瞬間、私は首に太い腕を巻かれて喉を締め上げられる。
息ができずもがき苦しむ私はしばしカレの玩具にされた後、裸にワンピを被っただけでサンダルをつっかけ角の自販機へビールを買いにやられる。
みっともない姿。
こんなんだから
私は“ぼっち”
私の憧れる
あの子も
すっかり私をお見限りで
他の子と
蜜月を過ごしている。
私の胸はただ
焦がされブズブスと燻されるだけで……
きっと周りに悪臭を漂わせている。
缶ビールを抱え
重い足取りでアパートの外階段を上っていて気が付いた。
手の中で……
缶の汗にふやかされた
宝飾店のレシート
買ってきた缶ビールをふきんで丁寧に拭いて……
足の裏で私の胸を弄ぶカレの前に並べる。
冷凍庫で冷やしておいたコップ付きで。
そうやって僅かな時間を稼いで
私は古い洗濯機を回す。
その音が
これからの事を少しでもかき消してくれるようにと……
そんな私の嫉妬は
この手のひらに濡れたレシートのように
やはりゴミ箱の中。