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邪馬台国の女王がロボットに乗って戦う話  作者: けろよん
第二章

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第6話 博士の誘い

 飛び立った慎介の操縦するロボット、ゴッドブレイブと名付けた物は順調に空を飛びエイリアンの軍団を片付けていく。

 敵の攻撃を潜り抜け撃破していくその姿に、ともに操縦席に乗る卑弥呼も感嘆の声を上げていた。


「さすがじゃな、慎介。わらわの見込んだだけのことはある。これはいかような技術で造られた物なのか」

「知らねえよ。専門の技術の事なら博士に聞いてくれ。ただこれは俺の意のままに動かすことができるな。そらよっと!」


 操縦桿を動かして剣を振るい掛かってきた敵を斬り伏せる。さらに上昇して迫る追撃を回避して、さらに敵の集団の中へ飛び込んでいく。

 その動きを卑弥呼は感心して見守っていた。


「ふむ、見事な腕前じゃ。ロボットの性能もさることながらお前の腕もいいのかもしれんな」

「褒めても何も出たりはしないぜ。さて、そろそろ敵のボスでも現れたりはしないか?」


 雑魚の排除は順調に進んでいる。慎介が相手の立場だったらそろそろ何か手を打とうと新しい動きを見せようとすると思うのだが。

 そう予想通りとはいかないようだった。


「敵の親玉が現れるどころか撤退を始めているようじゃな。侵略者と言っても存外情けない奴らじゃ。わらわだったら使えない家来を蹴り倒して自分から出るところだと言うのに」

「俺を蹴りながら言うんじゃねえよ」


 卑弥呼の言葉通り、エイリアンの軍団は上昇を始め、宇宙へと撤退を始めていた。卑弥呼は見上げて催促してくる。


「あやつらを追わんのか?」

「一人で突っ込むのは得策じゃねえし、俺宇宙には行ったことがないんだよ」

「敵の有利な場所では戦わんという事か。意外と考えているのじゃな」

「相手の戦力も分からねえし、訓練も無しに単身で宇宙まで行くのはリスクが高すぎるからな。一度降りるぞ」

「ふむ。これはお前の戦いじゃし、お前がそう決めたならそれで良かろう。エイリアンどもよ。わらわの国が欲しければいつでも掛かってくるがよいぞ」

「お前の国じゃねえし、勝手に相手を挑発すんじゃねえ」


 ひとまず敵は追い払った。

 慎介は戦いを終えてロボットを地上へと降ろしていくのだった。




 それから数日は変わらない日々が続いた。美沙と卑弥呼と博士と学校に通う日々だ。

 卑弥呼はすぐに飽きるかと思ったが、意外と真面目に学校に来ていた。みんなには可愛がられているし、現代の知識も支配には必要と考えているのかもしれない。

 古代でどれほどの知識を持っているのかは知らないが、現代の話にもついてこれるようになっているのを慎介も感じていた。

 だが、やはり毎日変わらない授業を受け続けるのは支配を目指す彼女にとって退屈でもあるようだった。

 休み時間に慎介が一息吐いていると卑弥呼が暇そうに話しかけてきた。


「なあ、慎介。わらわのロボットはいつ完成すると思う? あの博士、仕事が遅いのではないか?」

「単位が足りなくて補習まで受けているから今は学校の事で忙しいんじゃないか? 趣味にばかりかまけているほど暇じゃないんだよ」

「ふむ、それにしても遅い。ここは女王であるわらわ自らが発破をかけてやる気を促してやるとしよう」

「あ、待てよ。お前が行ったら迷惑だろ。と言っても聞くわけないよな」


 慎介はさっさと教室を出ていく卑弥呼の後を追って自分も行く事にするのだった。




 卑弥呼はどんどん廊下を進んでいく。その足取りには迷いがなく、学校にいる博士の居場所をしっかりと認識しているかのようだった。

 背丈が小さいのに元気のありあまる子供のように足が速い卑弥呼に急いで追いついて、慎介は声をかけた。


「待てよ、博士のいる場所知ってんのかよ」

「そんなもの、精霊が導いてくれるわ」


 卑弥呼はまた不思議な力を使っているようだ。自慢げに掲げた指先に謎の光が見えた。

 その導きが正しいのか慎介には分からなかったが、その案内に従って歩いていくと、博士は教室に行くまでもなく途中の廊下で見つかった。

 何か身なりの整ったスーツ姿の大人と話していてその話が今終わったようだ。すれ違う知らない男を見送って卑弥呼は博士に話しかけた。


「博士、わらわのロボットを造らずしていったい誰と話しておったのじゃ」

「ああ、さっきのは政府のお偉いさんだよ。学校を辞めて技術協力をしてくれっていつもの勧誘が来たんだ」

「さすがは博士。人気者じゃな。じゃが、お前はわらわの仕事だけしておればよいのだぞ」

「お前はまた勝手なことを。それで博士は軍の仕事を受けるのか?」

「慎介、何度も言っているが私には学校を辞める気はないんだ。一度しかない学園生活に興味があるし、みんなと別れるのも寂しいからな。大学もみんなで行くつもりだ。君が来れば美沙もついてくるだろうしな」

「わざわざ俺達のレベルに合わせなくても。まあ、エイリアンの襲撃は待った無しだから一刻も早く軍が博士の才能を欲しい気持ちも分かるけどな」

「じゃが、断ったのじゃろう? これでわらわのロボットが早く造れるな」

「そのことなんだが……」


 博士は考えるように一呼吸置いてから慎介達を誘うように言ってきた。


「今度のロボットには宇宙用の装備を取り入れたいと思っているんだ。エイリアンは宇宙から来ている。新しい知識が必要だ。それで一度軍の施設を見に行こうと思っている。就職する気はさらさらないが一度見るだけでもいいと誘いを受けているからな。私一人なら心配だが、慎介と卑弥呼が来てくれるなら安心だ。君達なら軍人に囲まれても対処ができるだろう」

「まあ、俺で力になれるかは分からないが……」

「敵地に飛び込もうというわけか。面白そうではないか」

「軍は敵じゃないからぶっ飛ばしたりするんじゃないぞ」


 今にも喧嘩を売りたそうにうずうずしている卑弥呼に釘を刺し、慎介達は次の休みに軍の基地へ見学しに行く事になった。

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