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邪馬台国の女王がロボットに乗って戦う話  作者: けろよん
第二章

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第10話 エイリアンとの交戦

 慎介達は再びブリッジへと戻ってきた。

 艦橋に設置されたスクリーンには襲来するエイリアン軍と宇宙が見えていた。この船はもう宇宙の目前まで来ていたのだ。

 それにしてもエイリアン軍の行動が早い。船は上昇を続けながら宇宙まで出た。

 そこで艦長はマイクを手に取って冷静に指示を出した。


「これより予定された作戦行動に入る。これは実戦だが恐れる事は無い。今地球では対エイリアン戦の準備が着々と進み、焦って浮足立っているのは奴らの方だからだ。ここで地球の力を見せつける。各員は配置につき、攻撃を開始せよ」


 命令を受けて戦艦はにわかに慌ただしく動き出した。その巨体が宇宙に浮かび砲撃を行う光景は圧巻の一言だった。


「すげえ、本当に戦艦で宇宙で戦ってるぜ」

「見事な物じゃな。敵がまるで塵か虫けらのようじゃ」

「この船は軍の最新技術が結集されて建造された船だ。ロボットのような格闘こそ出来ませんが、なかなかのものでしょう?」

「はい、宇宙をリアルで体験できるとは興味深いです」


 博士も喜んでいるようだ。慎介が初めての宇宙での戦いを眺めていると、卑弥呼が服を引っ張ってきた。


「慎介、あの身の程知らずにも女王を名乗る小娘がいないぞ」

「そう言えばいないな。あの戦闘機で出撃するんじゃないか?」


 彼女自身にその気は無い様子だったが、頼まれまくったらどこまで断れるかは分からない。

 絶対に学校に行くと豪語していた博士も今や宇宙を進む最新技術に目を奪われているようだった。

 気のない慎介に卑弥呼は憤慨していた。


「何を呑気な。ここはわらわ達も出撃するべきところじゃろう。格の違いを見せつけねばなるまい」

「それもそうか」


 見せつけるとまでは言わないまでもエイリアンとの戦いを見ているだけなのも気が引ける。戦いは優勢に進んでいるが被害が軽微で済むならそれにこしたことはないのだ。

 博士達の方を振り返ると艦長の頷きで帰ってきた。ここは戦艦を見せてくれたお礼にロボットの性能を披露する場面だ。

 博士は夢中になって宇宙を見ている。


「よし、出撃するぜ!」


 慎介はロボットに乗り込んだ。卑弥呼も一緒だ。


「お前、いつまでついてくるんだよ」

「うるさい。わらわも宇宙を体験しておきたいのだ。このまま飛び立つがよい」

「はいはい、分かったよ」


 慎介はロボットを操縦して飛び立とうとしたが、すぐに降りた。甲板に足が付いていると安定する。

 勝手の違う宇宙では危うくバランスを崩してひっくり返りそうになってしまった。


「上も下も分かりにくいな。これが宇宙か。今ここから離れるのはリスクが高すぎる。下手すると戻れなくなるぞ」

「情けない奴め。ここはわらわの精霊力を見せるとしよう」


 卑弥呼は念じて霊力を飛ばすが、それは宇宙ですぐに方位を見失ったように回転してかき消えてしまった。


「気を高める必要がありそうじゃな。矢のように飛ばせば問題あるまい」

「お前だって不慣れなんじゃないか」

「当然じゃ。わらわだって宇宙は初めてなんじゃ」


 仕方なくこの場で迎撃するしかなかった。だが、これでは砲台と変わらない。ロボットの性能を活かせない。どうしたものかと考えていると、歌が聞こえてきた。


「なんだ、この歌は?」

「不思議な歌じゃな。わらわの精霊力が上がっていくぞ」


 歌は宇宙を見渡せる戦艦の展望室から聞こえていた。そこでマイクを手に歌っているのは星河だ。

 連れの夜見と光実が楽器を出して演奏している。

 慎介達は知らなかったが、彼女達こそ流聖女学園では有名なアイドルユニットミルキーウェイだ。

 いよいよ使命の来た喜びに星河はやる気に満ちてシャウトした。


「私達の宇宙の初ライブ。戦いしか知らないかわいそうなエイリアン達に私達の愛を伝えるのよ!」

「「はい、星河様!」」


 星河の歌声は宇宙の闇に吸い込まれるように広がっていく。だが、戦局に変化は何もなかった。エイリアン達には歌声が効いていないのだろうか。戦闘は変わらず継続していく。

 慎介はハッと我を取り戻した。


「どうしたことだ、歌で戦闘が終わらないぞ」

「当然じゃろ。奴らは侵略しに来ておるのだぞ。なぜ歌で戦闘が終わるのだ」

「いや、でも、なあ」

「じゃが、天への捧げにはなっておる。わらわの精霊力が満ちているぞ。ここで一気に奴らを蹴散らそうぞ!」

「ああ!」


 卑弥呼の上がった精霊力に加護を受けて、ロボットは安定した動きができるようになった。

 慎介は無理をしない程度に甲板を離れて敵をなぎ払っていく。


「すごいな。宇宙でも意外と動けるぞ」

「うむ、わらわの力も好調じゃ。ここで敵を殲滅する!」


 ロボットの攻撃と卑弥呼の飛ばす精霊力が敵の数を減らしていく。

 慎介達は勢いづいてエイリアン軍を次々と撃破していった。だが、艦長はうかない顔だった。彼の脳裏には今も格納庫にたたずむ最新鋭の戦闘機の姿があった。


「まずいな、このままではコスモセイバーの実戦テストを行わずに戦闘が終結してしまう」

「だから言ったでしょう。私があれで出撃します。大人の力を見せてあげますよ」

「待て! 阿室赦亜少佐! 君ではあれの性能は引き出せん!」

「まだスコアなどという机上の理想を信じておいでか。現実を見てご判断ください、艦長」

「むうー、何も出来ないよりはマシか……君に任せよう」

「ははっ!」


 艦長は渋ったが、時間は待ってはくれない。

 戦闘中の今は席を離れることもできず、許可を出して戦闘を続行するのだった。

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