これが私のやり方ですわ!
夜の帳が夕闇を飲み込んで行く中、セレナーデが闇夜に溶けこんでゆく。バルコニーで夕闇を1人見つめているのはこの物語の悪役令嬢アメリだった。アメリはこの日、断罪される筈だった。だったのだ。しかし、断罪されたのは彼女ではなく、全ての黒幕だった。黒幕は彼女に罵詈雑言を浴びせる。そして、この後に及んで罪をアメリに押し付けようとしていた。
「全て、そう!全て!アメリ・カスティーヌ!貴方は私に全てを擦り付けて罪から逃れようというのですね!?」
などと宣う。彼女の友人達もそうだといい、彼女をかばった。アメリはこれまで悪行を重ねてきたのに、何故、この場で断罪されるのが自分なのかと金切り声で叫ぶ。周りの人々はこの様子を見て、アメリへ不信感を顕にした。アメリは少し諦めた。確かに今までの悪行を見直すと誰も味方になどなってくれるわけがない。それほど彼女の悪名は社交界に広がっていた。しかし、アメリは動じない。
「私が悪事を働いたことは事実ですわ!ですが、貴方がこれまでおこなった事と私は無関係でしてよ!」
アメリは動じずにそう答えるが周囲の人々はアメリへ厳しい視線を向けた。
「アメリ・カスティーヌ様は学園で公爵家令嬢である事を縦にして平民出のクラリス嬢を酷く虐めたそうじゃないですか!その罪は大きいものだと思います!」
「アメリ様は自らの弟殿すら見下し、いじめていたとききましたわ!」
「アメリ様は聖女リーナ様を、冒涜し、恥ずかしめたそうですね!なんと恐ろしい…」
「魔女裁判の時なんてアメリ様が全ての黒幕だったでしょう?」
「双子事件時もアメリ様が関わっていらっしゃったそうじゃないですか!」
皆口々にアメリを蔑む。誰もが彼女を悪女と罵った。アメリは更に諦める。もう自分の言葉なんてこの場に置いては無意味なのだと。自分がしてきた事は変わらない。故に……。故に、1人の少女が前にでた。
「アメリ様は私をいじめてなどおりません!」
そして次々に前に証人が前にでる。
「アメリ様は聖女である私を助けてくださいました!」
「アメリは魔女裁判のおり、自らが魔女となる事で多くの人々を助けたことを皆様は知らないだけです!」
「双子事件の時だって、アメリ様は勇敢に犯人に立ち向かいました!」
アメリは自分が救った人々に救われる。アメリを助けるように証言者達は立ちはだかった。
「……皆様。」
そう、今までおこなった事はかわらない。アメリは自らの行い故に救われた。そして、皆が黒幕の悪事を口にし始めた。
「これで終わりよ!諦めなさい!」
アメリの宣言と共に王子が黒幕を問い詰める。
「違うのです。私はっ…」
「邪悪な魔女はアメリではなく君だったんだね!」
王子はおつきのものに黒幕を捕らえさせた。全て終わった。黒幕は死刑、もしくは国外追放されるだろう。アメリは安堵した。そして、誰もが彼女を賛美した。