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82/115

82,闘技大会ってさー。

 


 歓楽都市ヴィグは、デゾンと同盟関係にある。

 まぁ、ほとんどの人類都市は、利害の一致から同盟を結んでいるものだが。


 いったん自宅に戻り、旅支度。

 すでにエンマの姿はなかった。リュート、仕事の早い奴。

 ということは、エンマとは現地で合流できるんだろう。……ヴィグのゴミ箱を探すのか?


 出立。


 到着。


 アーゾ大陸は各都市をつなぐようにして、街道が設置されているので、移動はしやすい。

 これが人目忍んでの移動などでは、街道を使えないのでだいぶ状況が変わるが。


 しかし──スゥの中に〈封魔〉スキルがある現状は、何ら変わっていない。

 あえて指摘しなかったが、ギルマスはどうして、スゥをデゾンから出すリスクを侵すのだろうな。


 そもそも、このまま〈封魔〉スキルが『宝の持ち腐れ』でいいのか。

 あー、ギルマスが『すべて計画どおり』であることを願うよ、ほんと。


 なにはともあれ歓楽都市ヴィグ。


 あらゆる娯楽が集中し、観光業でまわっている都市。

 カジノ、ぴんからきりの娼館、そして中央にそびえる闘技場。


「さてと。カジノに繰り出し、一生遊んでも使いきれないカネを稼ぐとするか!」


「リッちゃん! 道をあやまると、相棒として涙をのんで斬らないといけなくなるよ!」


「……あのな冗談だから。おれが賭け事で勝てるほど、運がいいように見えるか? というか、涙を飲んで斬るような覚悟はいらないから、捨てなさい」


 ディーンの旧友の名は、ノーラン。

 どんなトラブルに巻き込まれているのか知らないが、このまま直接会うことはできない。


 向こうからの要請で、まずはメッセージを入手する必要がある。

 ヴィグ内にある、乗合馬車駅のロッカー。


 そこの鍵は、ディーンへの手紙に同封されていたわけだ。

 この鍵を使ってロッカー内を確認すると、闘技大会のチケットが二枚あった。


「今日、これから開催される闘技大会か。このチケット番号の観客席に行けば、ノーランから接触があるんだろう」


 こっちは指定された観客席にいることで、事前にノーランもおれたちをチェックできると。


「まぁ、いいだろう。行こう、スゥ」


 闘技大会は、歓楽都市ヴィグの目玉観光のひとつ。

 というわけで都市外からの観光客も溢れ、かなりの人込みだった。


「凄い人の流れだ。スゥ、はぐれるなよ。スゥ……はぁ?」


 こうしてスゥとあっさりと逸れる当たり、おれたち、本当に冒険者といえるんだろうか。


 入場ゲートの近くで立っていたら、スゥが駆け足でやってきた。


「あ、いたいたリッちゃん。迷子のリッちゃん」


「迷子はそっち。さ、会場に入るぞ」


「まって、リッちゃん。実はわたし、闘技大会に出ることになっちゃったんだけど」


「……なんでそうなった?」


「簡単に言うと、そこを歩いていたらスカウトされた」


「簡単すぎて、理解不能なんだが」


 スゥの説明によると。


 逸れたおれを捜していると、闘技大会運営委員に声をかけられたそうだ。

 闘技大会の出場者の一人が棄権したが、それでは客は納得がいかない。だから急遽、戦士を探していたのだと。


 スゥは戦剣を装備しているし、見る目があれば身のこなしなどから、ただ者ではないことは分かる。

 だからスゥに声がかかったのも、まぁおかしな話でもないが。


「なんで断らないんだよ。クエスト中だぞ」


「うん。けどさ、ノーランさんとの接触は、リッちゃんだけでもできるよね」


「そういう意味じゃなくて」


「わたし、絶対に優勝してくるからね!! リッちゃんのために!!」


 と、きらきら輝く目で、謎の約束をしてくるスゥ。


 武芸バカ。

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