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72/115

72,デバフ解除。

 


 スゥは戦剣〈荒牙〉を構え、アンガスと向き合う。

 彼我の距離15メートル。


 その状態で、となりのおれに小声で確認してくる。


「で、リッちゃん。このおじさんが、マイリーさんの言っていたアンガスという人?」


「そのようだ。氣を使うモンクらしい。いや、元モンクか。こんなに好戦的な僧兵、すぐに破門されただろうしな」


「えーと。〈封魔〉スキルが目的なんだよね?」


「どうやら、違うようだ」


 マイリーは誤解していたようだ。

 アンガスがレグに来たのは、おれたちを追い、〈封魔〉スキルを得ようとしたからではない。


 レグ内での破壊工作の成否を見届けるため。

 その破壊工作によるレグ内の内乱を。


 ただしこの陰謀は、おれたちが阻止させてもらった。

 その腹いせに、おれたちを殺したいらしい。


 いや、そもそもアンガスという男、とくに理由もなく人を殺したそうな感じだが。


「リッちゃん、いくよ! 聖騎剣術〈蟹工船〉!!」


 アンガスへ斬撃を仕掛けるスゥ。

 対するアンガスは、減速状態でありながら、スゥの激しい攻撃を躱し続ける。


 デバフ能力は、発動条件が満たせないと付与できない。

 物理攻撃の条件が──


「手を貸そう」


 と、後ろから声がする。

 その声の主──ルテフニアは、おれの右横を通り過ぎ、スゥに加勢した。


 ルテフニアの蛇の剣筋は、さすがのアンガスをも、苦戦させる。

 それでもスゥとルテフニアを相手に、減速状態で、ここまで躱し続けるとは。


「そこっ!」


 スゥの一撃が、ついにアンガスへと到達しようとする。


 瞬間。アンガスの氣をまとった右手が、〈荒牙〉を弾く。


 だが物理攻撃の発動条件が満たされた。


 第四の型【冷たいものは冷たい】を付与。

 凍結状態。


 さらに持続ダメージを与えるため、第七の型【ビリビリしているのだね】も同時付与する。

 効力は感電状態。


「トドメを刺すとしよう」


 ルテフニアが容赦なく、その凍結状態のアンガスの首に、戦剣〈畜蛇〉の刃を振り下ろす。

 だがアンガスの首に達する前に、まるで真空の壁でもあるかのように、刃が弾かれる。


 おれは言った。


「アンガスは氣を結界のようにまとっている。だから遠慮するな。改めの型一【よし粉みじんだ】で決めるぞ!」


 デバフ効果は、『6ターン目に《爆》付与の敵が爆発する』。

 人間相手に使うことはないと思っていたが、破壊工作の首謀者であり、氣の使い手であるアンガスならば別だ。


 スゥとルテフニアが、連携して攻撃を当てていき、あっという間に6ターンに到達。

《爆》による爆発が、アンガスの人体を襲う。


 はずだったが、その前に、すべてのデバフが解除されてしまった。


 アンガスがにたりと笑いながら拳を振り回し、スゥとルテフニアを弾き飛ばす。


「お若いの、やっとコツが分かってきたよ。これに対処するためのコツが」


 氣の力で、デバフ解除したということか?


 唐突に、アンガスが高く跳躍する。

 どこまでも高く跳び、そこから急降下してきた。


 おい。この勢いで地面に激突したら、この一帯が吹っ飛ぶんじゃないか。


 スゥと目があう。


「リッちゃん!!!」


 デバッファーに防御の手段はない。


 アンガスが隕石のごとく地面にぶち当たる瞬間。

 何かが起き、アンガスが空中で跳躍。通常の落下速度で、着地した。


「おや。何かが、来るようだ」


 アンガスが、南南西のほうへと視線を転ずる。

 危険を承知で、アンガスの視線を追いかけた。


「しかし、あっちの方角は──は?」


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