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67/115

67,ターン制もいいよね。

 

 デバフ殺法:改めの型一【よし粉みじんだ】。


 このデバフ効果は、『6ターン目に《爆》付与の敵が爆発する。爆発力は参加人数で決まる』。


 と、説明したところ、スゥが抗議の声をあげてきた。


「意味わかんないよ、リッちゃん! 6ターンってなに! わたしたちの人生、ターン制じゃないよ!」


「落ち着けって。【よし粉みじん】は、デバフらしからぬデバフを目指している。そのため発動条件も煩雑にするしかなかったんだよ。まず参加人数で威力が決まる。多い方がいい。というか、一人だとできないので、最低二人は必要なんだけどな。よってスゥとルテフニアで行ってもらう」


 おれが説明している間も、スゥとルテフニアは目玉の魔物と戦っていた。

 ダメージを与えても再生されるどころか、どんどん膨張していっているんだが。

 このままだとヤバいな。


 急いで続きを説明。


「《爆》の付与は、どっちからはじめてもいい。まぁスゥからにしようか。スゥがはじめの斬撃を与えて、目玉の魔物に《爆》を付与。次はルテフニアが斬撃を与える。これで1ターン終了。これを6ターンまで続けると、《爆》が発動。目玉の魔物は再生できないほど、跡形もなく吹き飛ぶ──はず」


「分かったよ、リッちゃん! ルテさん、いくよっ!」


 ルテフニアが冷ややかに言う。


「まて。リク、まだ大事な説明が残っているだろ。わざわざターンといっている点。スゥと私の斬撃順番が狂ったり、または途中で目玉魔物の攻撃を受けて流れがストップした場合、どうなる?」


「もちろん、一からやり直し」


「えぇ! リッちゃん! それ厳しいよ! もっと条件を緩和して!」とスゥ。


「しつこいようだが、おれが好き好んで決めたんじゃないんだよ。敵を跡形もなく吹き飛ばすなんて、デバフと言えんぞ。デバフの美学に反する以上、そのためのおぜん立ても煩雑になるんだよ」


 この間、いよいよ目玉魔物はガーディアンよりも巨大となっていた。

 もしかして再生するときに、さらに死肉体を膨張させているのか。


 ルテフニアも同様の分析のようで、スゥに鋭く言う。


「やるしかない。それも、一度目で成功させるしかない。いくぞ!」


「わたしならやれる、やれる、やってやる!」


 スゥから斬撃開始。ルテフニアが続く。

 1ターン目終了。


 スゥ、ルテフニアの流れるような形。

 2ターン目終了。


 目玉魔物の激しい反撃を受け、回避したスゥがバランスを崩す。

 そこをルテフニアがフォローし、スゥに攻撃のための道を開く。

 3ターン目終了。


「あ、鍵は?」


 おれは落下時に手から離れていた鍵を見つけて、拾う。

 この間に、4ターン目と5ターン目が無事に終了していた。


 だが目玉魔物が唐突に、死肉体から矢のようなものを四方へと打ちだしだす。

 この激しい全体攻撃──おれは遮蔽物に隠れ回避。


 一方、スゥとルテフニアは剣で弾いているが、そのため次の斬撃のための接近が阻まれる。


「このまま攻撃ができないと、また一からやり直しだぞ。うーん、もしかして『部外者』の攻撃なら、ターンの邪魔にならないのか? 自分のデバフなのに、細かいところが分からんというのは──」


 ビー玉を発射。

 目玉魔物の一部を凍結状態にする。

 相手がでかすぎて、ビー玉一個の物理攻撃では、一部凍結が限界。


 だが凍結状態になった箇所からは矢が飛んでこない。

 つまり、そこ目掛けて攻撃のための接近が可能だ。


「リッちゃん、ナイスサポート!」


「ま、サポーターだからな」


 スゥ、ルテフニアと斬撃が続き、6ターン目終了。


「あ、これは」


 刹那。目玉魔物が内側から爆発。

 跡形もなく、粉みじんに吹き飛ぶ──ただし体液は蒸発せずに、周囲にぶちまけられた。


 おれは遮蔽物に隠れて無事だったが、スゥとルテフニアは一身に浴びてしまった。


「大丈夫か?!」


 二人とも黄緑色の体液まみれになっていたが、無事のようだ。


「良かった、毒とか酸性とかじゃなくてな」


 スゥが嘆く。


「良かったけど、べたべたで気持ち悪い……お風呂に入りたい!」


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