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39,スキル性格判定。

 

 今回、スゥがミスリル・ガーディアンを駆け上がるのも難しいことではなかった。

 向こうが凍結状態にあるので。


 建築物スケールの右肩上で、スゥが角度を決めてから、〈回転斬り〉発動。


 ミスリル・ガーディアンの頭部にはすでに、爆裂傷デバフによる持続ダメージが発動している。さらに防御力低下デバフも重なっている。


 そこに戦剣を使用したスゥの必殺技。

 ここまで重ねれば、ミスリル製の頭部も粉々に吹き飛ぶというものだ。


 バラバラに砕けたミスリルの塊とともに、スゥが降下してきて、おれのとなりに着地。

 かっこよくポーズを取ってみせる。


「どんなもん、リッちゃん!」


「見事、見事。さすが、おれの相棒」


 降り注ぐミスリルの塊は、被弾したらこれだけで大怪我もの。

 ただレオナルドのマナ・シールドがまだ機能してくれているので、安心だ。


 やがてミスリル塊の雨が降りやむと──首なしとなったミスリル・ガーディアンの凍結状態が、時間で解除される。


「注意しろスゥ。相手はゴーレムだし、頭部がなくても動くかも」


「えっ! わたし、もう勝った気でいたのに??」


 杞憂だった。

 ミスリル・ガーディアンの守護者としての役目は終わったようで、塵となって消えていく。


「撃破判定が入ると、消滅するようになっていたのか。ただしその前に破壊された頭部を構築していたミスリル分は、消えてなくならない。さすが魔法金属、いろいろと融通がきくんだな」


 せっかくだから、ミスリル塊をいくつか持って帰ろう。

 市場で高く売れるだろう。


 と、拾おうと思うと、同じ考えの者がすでに拾い集めていた。


 グウェンが、転がっているミスリル塊を拾っては、ぽいと入れていた。

 入れている? どこに?


 ぽいと投げ込むと、そこの空間で、ミスリル塊が消えていく。

 異空間に収納しているのか。


 つまり、グウェンの保有スキルは、かなり珍しい異空間系スキルか。

 噂には聞いたがはじめて見る……………


 ふと、師匠の家にいたときのことを思い出す。


 そのとき師匠は、ぐうたらしていた(師匠がぐうたらしていないときのほうが、レアだが)。

 で、おれはスキルについて、ちょっとした講義を受けていた。


 講義といっても、師匠がスキルについて体系的に話してくれたりするわけでもないが。

 どちらかというと、あれは適当な雑談に近い。血液型の性格判定と似たようなレベル。


 ──「スキル系統は数多あるけど、単純な戦闘スキルはいいよね。バフの肉体強化と通ずるところがある。肉体強化バフを、それぞれの固有なスキルによって行うわけだ。ふーむ。もしかすると、こういったスキルの台頭が、バフを衰退させたのかもしれないね」


 おれは「バフの話は、マイリーにしてくだいよ」と答えた。

 このときマイリーは、嫌々、庭仕事していたんだったかな。


「わたしが言いたいのは、戦闘スキル系統の輩は、単純明快な性格が多いってこと。単細胞だね」


 おれが「意味がわからないんですが?」と問うと、師匠は、


「スキルによる性格判定。わたしの知る限り、最も意地の悪い、腹黒い性格がもつスキル系統といえば──」


 で、師匠の考えでは、それが異空間スキルだとか。


 師匠が、テキトーに口にした発言にすぎないが。

 あの人、サボり魔のくせに、かなりの人生経験を積んでいるからなぁ。まだ若いのに。

 案外、根拠があるのかもしれない。


 となると、いま師匠のこの言葉を想起したのも、無理はないかもしれない。


 おれが見ているのに気付くと、グウェンはにっこりしてウインクした。


「より上位の魔法金属オリハルコンのほうが、もっと高く売れるけどね」


「……それだと、もっと破壊に苦労しただろうけどな」


 まぁ、保有スキルの種類だけで、決めつけるのはよくないな。

 ……警戒はしておこう。


 レオナルドが言った。


「リクとスゥさんの活躍で、ガーディアンを撃破できた。それでグウェンさん。姉さんの〈封魔〉スキルを、どう移譲すればいいんだ?」


 グウェンはそちらに視線を向けて、


「じゃ、やろうか」

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