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100/115

100,ピースを埋めよう。

 

 いったんデゾンに戻り、ギルマスに〈キー〉を入手したことを報告。

 ついでに亜人たちとの一件も知らせておいた。


 ギルマスのディーンは、なぜかくたびれた様子で、うなずく。


「そうだったのか。しかし、さすがは君たちだ。ほかの冒険者だったならば、不幸な誤解から亜人たちとの戦争に突入していたかもしれない。いや、リク。君が、盗人たちを処刑したことは正しい判断だった。これがデゾン市民でなかったら、少しばかり厄介なことになっていたかもしれないが。それでも道義的には正しい」


『処刑』とあらためて言われると、けっこうビクつくが。


「……感謝します。ギルドマスター。なんだか、疲れている様子ですけど。何かありましたか?」


 ディーンは眉間をマッサージしながらうなずいた。


「実は、つい先ほどまで、エレノラが来ていたんだ」


「え、師匠が?! あの出不精の師匠が、わざわざ」


 しかし、はじめて師匠と会ったときも、このデゾン内だった。

 弟子として師匠の家に居候しているときは、一度も〈暗闇荒地〉を出なかった師匠だが……


「師匠は一体なにをしに?」


「中立都市レグで、君たちはエレノラから支援を受けただろう? その件だよ。エレノラは、『たかが人間ごとき』の敵と戦うのに、自分が手を貸さねばならなかったことに納得していない。それで、なぜか弟子の君たちにではなく、私に嫌味を連発しにきた……なぜかエレノラは、こういうときだけはサボらない」


「確かに。……なんというか、お気の毒に」


「ありがとう」


 お疲れのディーンを残して、おれ、スゥ、エンマの三人は執務室を出た。

 スゥが、エンマの腹部をさすりだす。なんの意味があるのか、エンマもきょとん顔だ。


「何をしているんだ、スゥ?」


 スゥは、おれに向かってウインクしてから、


「ふふふ。エンマちゃんのお腹が膨らんでいないことを確かめているんだよ。ほら、寄生型の蟲が、知らない間に入り込んでいると困るでしょ? たとえば子宮とか」


 とたんエンマが絶叫。


「ぎゃぁぁぁぁ蟲が、わたしの子宮に、ぎぁぁぁぁ!! 切開しますぅぅ!! 誰かナイフぅぅぅぅ!!」


 そして走り出す。

 スゥが慌てて追いかける。


「ご、ごめん、冗談だよ! エンマちゃん! 悪気はなかったんだ! エンマちゃぁぁぁん、ごめんなさぁぁぁぁい!」


「……なにやってんだ、あいつら」


 エンマを落ち着かせてから、おれたちは歓楽都市ヴィグに向けて出立。

 一晩くらいデゾンで休んでも良かったが、どうせやらなきゃならないんだから、さっさと終わらせてしまおう。


 途中、夜になったので、街道沿いにある宿で一泊。

 翌日にはヴィグに到着。


 この道中に、おれは〈キー〉の使いかたを見つけだしていた。


〈キー〉の形状は、パズルのピースを思わせる。だが実は、№252の死体から入手したときと、形状が地味に変わっている。


 いつ変わったのかは分からないが、このピースには、自動で形状変化する仕組みがあるようだ。


「思うに、正しい縮尺の地図があれば……」


 №252の自宅に向かう。

 前に家捜ししたとき、使い古されたヴィグのMAPがあったのを思い出したのだ。

 そのときは、地元民でも地図を使わなきゃ迷うようなところなんだな、くらいにしか思わなかったが。


「どうするの、リッちゃん?」


「この地図、うっすらと線が走っているだろ。まるでパズルの枠線のように。しかも、どれも同じ形状ではない。つまり、この〈キー〉が当てはめることのできるMAP上の位置に、現在、〈愉悦論の会〉の会合が開かれている──または会合場所への入口がな」


「すごい、リッちゃん! 冴えてるね! ダンジョンで頭ぶつけた?」


「……最後の一言は余計だろ」

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