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1. 「あの、気安く近付かないで貰えますか? 興奮するので」

「えっ」


「急に顔をこちらに向けないでください。無理矢理唇を奪って舌を捩じ込みたくなるので」


「え、えっと……ど、どうしたの? まさか、何かの状態異常に……」


「一丁前に他人の心配ですか? その優しさに溺れたくなるのでやめて下さい」

 

「えっ、あ、う、うんごめん」


「はあ……あと、今日の戦闘中、強めの語気で私に命令してましたよね?」


「あ、うん……あんまり余裕なくて」


「ああいうの、出来れば止めて貰えませんか。全てを捧げて盲目的に服従したくなるので」


「え……で、でも俺……一応リーダーだし、その、指示とかは……」


「はっ? そんな事分かってますよ。何のために為に貴方をリーダーにしてると思ってるんですか? 早くその権限で私を脅して肉体関係を迫ってください」


「お、脅す!? そんな事しないって!」


「……そうですか。じゃあ私はギルドに報告へ行くので、リーダーは先に宿に戻っていてください」


「あ、うん……」


「では私はこれで」

 

「…………あ、ちょ、ちょっと待って!」


「なんですか?」


「えっと…………今日の討伐依頼、無事に完了出来たのも……ティアさんが居てくれるお陰だと思ってる!」


「はあ、そうですか」


「だから改めて……その、俺とパーティを組んでくれて、ありがとう!」


「…………」


「……え、えっと……それが伝えたくて、だから……」


「いえ、こちらこそ、いつもありがとうございます。リーダー、依頼完了の報告ですが代わりにお願いしても良いですか?」


「えっ? いいけど……どうしたの? あ、やっぱり状態異常が……」


「いえ、嬉しすぎて過ぎて失禁しただけです」


「えっ!? し、失禁!? それ大丈夫!?」


「問題ありません。それより宿に戻ってきても気安く話しかけないで下さいね」


「あ、う、うん分かった」


 会話を終えた後、前屈みになりながら中腰で手に持った杖をつき、宿の方へ歩いていくローブの少女、ティアを見送った。

 小さくなる背中を見つめながら先程のやり取りを思い出し、思わずため息が漏れる。


「俺……やっぱ嫌われてんのかな。いや、でも冗談?もよく言ってくれてるし……」


 ギルドへ足を進めながらぶつぶつと独り言を呟く。


「……こんなんじゃダメだ! 俺もパーティのリーダーとしてしっかりしないと!」


 街中にいる事も忘れ、拳を突き上げ決意表明をする。


「あ」

 

 ハッと周りを見ると行き交う人々が訝しげな表情でこちらを見ていた。


「……は、はは……すみませんっ!」

 

 男はペコペコしながら冒険者ギルドの中へ逃げる様に駆け込んだ。

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