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ジョーカーとクイーンの子供

加えて自身の力のすべてを用いて戦おうとしているのは、ジャックやジョーカーの兄だけではない。<ジョーカーとクイーンの子供>も、まだ未熟ななりに全力を尽くしていた。


しかも、ジョーカーとクイーンの子供も、知能は高い様子だ。何しろ、ジョーカーの兄でさえ歯が立たないロボットには敢えて襲い掛からず、<レオンの幼体(こども)>を狙っていたのだから、


実際、レオンの幼体(こども)の能力そのものは、ジョーカーとクイーンの子供にさえ届いていなかっただろう。そしてそれを庇おうとして<レオンの成体(おとな)>の動きも制限されていた。だから仲間に犠牲が出るのが抑えられていたというのも事実であった。しかも、小柄ですばしっこいジョーカーとクイーンの子供は狙いが定まらず、ロボットが放つゴムスタン弾も当たらない。


それを最大限活かし、ジョーカーとクイーンの子供はレオンの幼体(こども)に襲い掛かる。これに対し、レオンの幼体(こども)の方も、決して怯んだりはせず反撃を試みていた。


「ガアッ!!」


見た目には、


<獣のコスプレをした人間の子供>


にも思えながらもその表情はまぎれもなく<猛獣のそれ>で、相手を殺すことにも何のためらいも持っていないのが分かる。成体(おとな)に比べれば爪も牙も小さいし鋭さも足りないが、確実に相手の肉を切り裂き食いちぎり、指くらいなら噛み砕いてしまうであろう力は間違いなくある。


そう、ジョーカーとクイーンの子供と同じくこの時点でもうれっきとした<野生の肉食獣>なのだ。ゆえに命のやり取りさえ躊躇うことはない。あくまでまだ未熟で力も弱いから成体(おとな)に守られているだけでしかない。


そもそも、


『体が小さい』


というだけならイタチ竜(イタチ)ラーテル竜(ラーテル)などはこのレオンの幼体(こども)よりもはるかに体は小さいものの、オオカミ竜(オオカミ)成体(おとな)でも油断をすれば命を落とすこともあるような<凶暴な獣>なのだ。決して『体が小さいから侮っていい』わけじゃない。なにしろ土竜(モグラ)でさえ、侮れば痛い目を見ることすらある。


『野生で生きる』


というのはそういうことである。


レオンの幼体(こども)の爪を躱し横から首を捉えようとしたジョーカーとクイーンの子供に、レオンの成体(おとな)の爪が迫る。それを体を沈み込ませることで躱して奔り抜け態勢を整えると、仲間のオオカミ竜(オオカミ)がレオンの成体(おとな)に襲い掛かる。これを迎え撃とうと意識をそちらに向けた隙を狙い、再びレオンの幼体(こども)に向かう。が、相手も決して油断はしていない。むしろレオンの成体(おとな)オオカミ竜(オオカミ)成体(おとな)を抑えてくれている間にジョーカーとクイーンの子供を狙ってさえいたのだった。



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