表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/95

あれは何だろう……?

自身の体に食らい付いたオオカミ竜(オオカミ)幼体(こども)に爪による一撃を食らわそうと、土竜(モグラ)は必死に暴れた。しかし残念ながらそれは功を奏さず、他のオオカミ竜(オオカミ)幼体(こども)も食らい付いて力一杯引っ張り合い、結果、土竜(モグラ)の体がちぎれてしまう。


これでもう終わりだった。土竜(モグラ)は死に、オオカミ竜(オオカミ)幼体(こども)達の命を繋ぐ糧となる。


とは言え、一匹ではさすがにすべての幼体(こども)の腹を満たすことはできないので、他の場所でも、同じく土竜(モグラ)狩りを行っている幼体(こども)達の姿があった。


なお、ジャックは成体(おとな)達がほとんど食い尽くしてしまったインパラ竜(インパラ)の骨などに残った肉の欠片をこそぎ落として食べ、折れた骨の中に残った骨髄も爪でほじくり出して食べて、腹を満たした。他の幼体(こども)達に比べで大きいとはいえそれでもまだ幼体(こども)だった彼にはそれで足りた。


物足りない分は昆虫などを食べて凌ぐ。


そうして今日は群れの全員が無事に生き延び、沈んでいく太陽を、ジャックは見詰めていた。彼にとってはその光景が少し不思議に思えていたらしい。


『あれは何だろう……?』


いつもそう思っていた。血のように赤く、近付こうとしても決して近付けず、逆に離れようとしてもどこまでもついてくる。得体のしれない<何か>。


他のオオカミ竜(オオカミ)はそんなことは気にしていないようだが、ジャックだけはそれが気になるようだ。それもまた、彼の知能の高さを物語っていたのかもしれない。


さらには、<あの赤いの>が見えなくなると、今度は上の方にキラキラとしたものが見えてくる。これについても彼は、


『あれは何だろう……?』


そう思っていた。<あの赤いの>と同じくどんなに跳び上がっても届かないし、近付けば逃げ、離れればついてくる、<奇妙なキラキラ>。そして<奇妙なキラキラ>の中でも特に大きな<でっかいキラキラ>。それが<星>であり<月>であることは彼には理解できないものの、他のオオカミ竜(オオカミ)がそれらを気にもしない中でやはり彼だけはその正体が気になっていた。


とは言え、いつまでも睨んでいても何も起こらないので、仕方なく彼は眠った。


ただし、オオカミ竜(オオカミ)の睡眠は、数分ごとのそれを何回も繰り返すものだった。人間のように安全な寝床で外敵に襲われる心配もなく寝られるわけではないので、そうやって短い睡眠を何度も繰り返すしかなかったのだ。


地球の生物だとイルカなどは、脳の半分ずつを眠らせる<半球睡眠>という形の睡眠を獲得している者もいるとはいえ、オオカミ竜(オオカミ)達はそうじゃなかった。


幼体(こども)成体(おとな)達が周囲を取り囲んでくれていて安全なのでそれなりにまとまった睡眠もとるものの、ジャックはすでに成体(おとな)のそれに近い睡眠の形になっていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ