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あなどり!-another world dream-  作者: ねこずきのくま
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第2話 俺、連れ去られる!

「うわぁああああーーーーーーっ!!!」


ドンッ

ガラガラ・・・


「きゃあぁああああぁぁぁぁーーーーーっ!!」


やけに辺りが騒がしい。

これは良くないことが起こっているのは間違いないな。


とりあえず安全そうなところへ逃げるべきなのだろう。

しかし、まだ自由に動けぬ身。

もっとも魔法を創造すれば何とか出来ないわけではない。

しかし、この期に及んでも周りの目を気にしている自分がいた。


だって、赤ちゃんがふわふわ浮かんで移動してるとか有り得ないっしょ?


そういうことでせっかく建物の端に隠れているわけだし、このまま様子を窺うこととする。


すると、その喧噪はかなり近いところにまで迫っていた。


ザシュッ


普通の人間よりも一回り以上は大きく筋肉モリモリな魔物の爪による一撃が教会前にいたおっさんの背中を切り裂く。


「うぅ・・・」


おっさんは小さなうめき声を発しながらその場に崩れ落ちた。


俺はとりあえず千里眼を発動させてこの光景を見ている。

助けようと思えば何とかなるのかもしれないが、まだ生後数日の身だ。

相手との力量差もはっきりしない以上、下手に介入すればこの世からさっそく退場ということもある。

ここは心を鬼にして見殺しにする。

それにしてもいきなり魔物の襲撃を受ける街からのスタートだったとは。

普通の家庭に産まれることプラス安定した生活も望むべきだったか。

しかし、それで三つのうち二つ願うのもなんだかなぁとは思う。

そんなことを考えていると、魔物達が話す声が聞こえてきた。


「ニンゲンドモハココヘニゲコンデイルヨウダナ。」


いつの間にか集まってきていた魔物のうち、でかい蝙蝠の羽のようなものが背中から生えているいかにも悪魔っていう風貌の魔物がしゃべったようだ。

俺、なんで魔物の言葉までわかるんだろ?

言語理解のスキルは魔物の言葉にまで及ぶのだろうか。

それとも共通言語なのか。

まぁ分かるならなんでも良いか。


「タテモノゴトツブセバヨカロウ。」


また別の悪魔がそんなことを宣う。


いや、建物ごと潰されたらその脇にいる俺はどうなるんでしょうか。


そんな俺の心の声も虚しく、悪魔が何やら呪文のようなものを詠唱すると教会の上空に巨大な魔法陣が浮かび上がる。


『スキル:全知全能の効果で看破を取得しました。』


新たに取得できた看破により悪魔が使おうとしている魔法が判明した。


重力魔法Lv.5過重圧殺。


ちなみにこれはかなり高度な魔法であり、人間族では扱いきれないレベルのものであったがこの時の俺はどの程度のものかは分かっていなかった。


ただ、これが教会の建物を中に逃げ込んだ人間ごと押し潰すことが出来るものであるということは即座に理解した。


これは不味いな。


建物が破壊されればその脇にいる俺も無事では済まない。

何の対策もしないままだと崩れてきた瓦礫の下敷きになるだろう。

もしかしたら過重圧殺の範囲に入っていて俺も圧し潰される可能性もある。


取り敢えず、防御を!


『スキル:全知全能により物理障壁を習得しました。物理障壁Lvが10に上がりました。』

『スキル:全知全能により魔法障壁を習得しました。魔法障壁Lvが10に上がりました。』


おっ?

今回は今までと違ってスキル習得の後にレベルまでアナウンスされたぞ?


ドガアアアアーーーーーッン!!!!


物凄い音をたてながら教会は崩れ去った。


人々も悲鳴を上げていたのだろうが、その声すらも掻き消すほどの音量だ。


なお、俺の頭上にも案の定瓦礫は落ちてきたし、何なら重力魔法の範囲にも入っていたのだが、物理、魔法の両障壁が展開していたことで俺は難を逃れることが出来た。


助かったか・・・


そう思ったのも束の間。


「コレデオオカタのニンゲンハシマツデキタナ・・・ウン?」


悪魔の一匹に俺は見つかった。


そりゃ瓦礫の山で俺のいる一角だけが障壁によりぽっかりと空き地のようになっているのだから気付くわな。


「コレハ、ニンゲンノガキカ・・・」


「ガキトハイエニンゲンハスベテセンメツセヨトノメイレイダ。」


悪魔はそう言うと、ゆっくりと俺の方に近づいてきた。


これはもしかしてヤバい?

障壁でどこまで耐えられるのか。

もしかしたらここで本当に俺の人生は終わるかも??


「シネッ!!」


悪魔はそう言うと手に持った槍を俺に向けて突き出した。

物凄く鋭い突きだ。

はっきり言って赤ん坊相手にこんな攻撃せんでもいいやろとは思う。

明らかなオーバーキルだ。


障壁があるとはいえあまりの迫力に俺は死を覚悟した。


さようなら異世界!

さようならーーーーっ!!!


心の中で俺は敬礼をしながらその時を待った。

しかし、その攻撃が俺に届くことは無かった。


ガキンッ


甲高い衝突音を残して槍が砕けた。


「ナンダトッ!?」


驚く悪魔。


「コレナラドウダッ!!」


その後も悪魔は拳による物理攻撃や魔法攻撃などを繰り出してきたが、その悉くは俺の障壁の前に意味をなさなかった。


おおっ!!

すげえっ!!

こんなに恐ろし気な悪魔の攻撃が俺には一切通じない。


「クソッ・・・」


「コイツ、フツウノガキデハナイナ・・・」


「仕方がない、連れ帰ってマクベスの奴にでも調べさせるか・・・」


さっきまで片言の外人が話す日本語のように聞こえていた悪魔の言葉が何故か普通に耳に入ってきた。

言語理解レベルでも上がったか?

アナウンスはないが・・・


そんなことを考えていると、悪魔はむんずと俺を掴み上げた。


おいっ!

赤ちゃんは丁重に扱えや!!


そんな心の声も虚しく、片手で掴まれた俺はそのまま悪魔によって連れ去られた。

連れ去られるとき悪魔の奴、空を飛んだんだけど超怖かったのはまた別のお話。

現時点での主人公ステータス


名前:なし

固有スキル:全知全能、魔力無限

パッシブスキル:言語理解

習得スキル:千里眼、浄化、看破、物理障壁Lv10、魔法障壁Lv10

習得魔法:水魔法Lv1ウォーター

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