ファーストコンタクト
私達が住むこの世界以外に、
他の世界など存在し得ない。
異なる世界などあり得ない。
そう当然として人は信じて生きてる。
その反面、人の想像力によって表現されてきた
小説、映画、ドラマ、アニメ、ゲーム、漫画…
演劇や、音楽の中にまで、
別の世界を生み出している。
紙の上、データの中には異世界は存在している。
ならばなぜ、本当の世界に異世界がないと言い切れるのだろうか。
この物語は、一度ゲーム制作用の物語として描いていたもののうちの最初の物語で、10年以上温めていたものです。
小説化することが目的ではなかったため、難しい文言は一切書きません(書けません)。
そんなこんなですが、楽しんで読んで頂ける方が1人でも居られるのならば嬉しいです。
漆黒の闇に染まる夜の帳が広大な森を覆い、広がる不気味な世界を塗り替えるほどの、空を覆わんばかりの巨大な月が森全体を煌々と照らしていた。
その森の中に巨大な砦がひっそりと佇む――――
――――地図には載っていない、誰も知らない場所。
時折吹く風に、さざ波のような葉音を立てて木々が揺らめく。自然の営みは私達の知る世界とさほど変わらないが、それ以外の様相は大きく異なる様。
空浮かぶ巨大な月。そのちょうど真ん中あたりに、ほんの小さな黒い点が現れた。ものの数分で点だったそれはゆらゆらと動き出し、次第に空を仰ぐ翼の音がだんどんと大きくなり静寂が打ち壊していく。
巨大な月をも覆い隠すほどの巨体を持つ翼竜ワイバーンが、轟音けたたましく「バッサ、バッサ」羽音を鳴らすと周りの鳥獣たちがギャーギャー騒いで逃げ惑う。
しかし、それもつかの間、森に身体を沈めようと森におぶさるように降下していく。あれほどの巨大だった身体はどんどん小さく姿を変え、しまいに森の木々の間へと消えていった。
するとその竜の消えた辺りから、代わりに人の走る足音が砦へと向かっていく。
砦の中は燭台の灯が灯る中、その砦の中に仰々しく添えられた玉座に王らしき人物が座り、ある報せを待っていた。
「伝令が到着しました!」
門兵の言葉を聞いた王と横に居た大臣は焦ったように顔を上げ、伝令を通す。
「よし、通せ。」
「はっ!」
伝令は息を切らし、慌ただしく倒れるように王の前に膝をついた。
「おお!よくぞ戻った。
して、どうだ彼奴らは動いたのか…」
王らは息を整える兵士を、目をひん剥いて答えを待つ。
「ご報告いたします。
兼ねてより、調査任務を続けておりました。
魔族監視部隊の者より、
いままで何一つ動きを見せることの無かった魔族が、
つい先程、魔族拠点の城内より超強大な魔力を感じ取り、彼らが何らかの魔法を使い、動きを見せたことにほぼ間違いないとのこと」
王と大臣は互いに顔を見合せ、額に冷や汗が流れた。
「今後の動向の観察及び、調査の継続、行動範囲の拡大、待機戦力の増員の要請されております。」
「うむ。大臣!準備を・・・。
それと、あの者等を呼べ。」―――――――――――。
場所は変わり、車や電車が走り、高層ビルが立ち並ぶ現代の町並み。よく知る世界。
私達の知る世界には、いろんな趣味に明け暮れ、同じ趣味に興じた者同士が集まりグループを作る。
アマチュアの音楽バンドグループなどもそのひとつ。
音楽好きから楽器を手にして集い、そこから自分たちだからこそ奏でられる音楽を作曲し、ステージの上で歌い、演奏し、客を楽しませ、感動させる。
そこは一般利用者向けの音楽スタジオ。
そこに集うとあるバンドマンのグループが居た。
「さぁ次合わせる日決めるか…」
その日の練習も終わり、レストエリアでボーカル兼バンドリーダー所謂“バンマス”の白髪のレイト・ローランドはメンバーに次の予定を聞こうとしていた。
「新曲はまだまだ音揃ってないし、とりあえず暫く個人練いるね、もうちょいしてから決めようぜ」
「そーですね納得です。」
ベース担当で逆立った黒髪のトーヤ・マルコルと、最近加入したドラムス担当のシェル・ウォーリーがレイトの質問に答えていると、一人帰り支度の早い赤と黒のツートンヘアのギター担当ルヴァ・レストロンが3人の机に近づく。
レイトはそれを察し、声をかける。
「まぁ、今日は決まらさそうだしまた連絡するわ。
」
「そうか…わかった。んじゃ先帰るわ」
そう言うと、ルヴァは今日の費用だけをレイトに渡し、背を向けてスタジオの入口方面へと向かった。その姿に恨みがましい目を向けてシェルがボソッと溢した。
「ルヴァさん、なんでいつもは帰りはあんな感じなんですか? 練習中は普通に主張したりするのに、いつもすぐ帰りますよね。スケジュール決めるのに参加しないとか理解できないですわ。」
「まぁそう言ってやるなよ。俺はルヴァらしくていいと思うけどね」
「そうだな、遅刻もしないし、楽譜の覚えも人一倍早いし、喋ってみると以外に楽しいやつだし、別にアレがルヴァのスタイルならそれでいいんじゃん。逆に俺はあの一匹狼感かっけぇと思うんだけどな〜」
「俺にはちと理解できねっすわ〜」
「まぁ、長く付き合えば分かってくるよ。」
レイトとトーヤの言葉は届かずシェルは首を傾げる。そんな三人を尻目に、ルヴァは受付に事情を伝えてスタジオ後にした。
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