羅盤学園
生徒会長、庵膳木星毅のスピーチは本当にあれだけで終わりその後は教師の今後の流れが説明され各自解散の流れになった。入学式と書けば仰々しい感じだが蓋を開けてみれば一時間程で式は終わり、特段集まるという事もなく生徒達は各々に行動し始めた。
(あれが生徒会長、庵膳木星毅か)
勿論新もその例に漏れず、一人で学園の敷地内を散策していた。周囲には研究室の勧誘が行われていたり、何やら怪しげな勧誘を行っている謎の集団がいたりと退屈しそうではなかったが……新の興味はそんなことよりも庵膳木星毅へと注がれていた。
(羅盤学園の生徒会長だからもっとごつい感じの人なのかと思っていたけど……あんな人が?)
異能の強さは見た目で決まるものではない。そんなことは新にも分かっている。異能とは個人の情報によって決定づけられるものであり、小さく小柄な子供が屈強な男性を軽々とのしてしまう事もあるのだ。
勿論異能も人間が持つ技能の一つである以上何度も繰り返し使う事で異能は強化されてはいくが……やはり個人が持つ個性や特性が異能にとって大きなファクターであることは間違いない。
でも、だからこそ八十新は疑問に感じた。
八十新はまだ実年齢十六歳、とはいえ組織での任務の経験や先輩達によって少なからず人の強さを測る目は養われているつもりだった。少なくとも同学年の誰よりも実践を通して戦闘の訓練を受けてきたという自覚はある。
そんな新だから感じる事。
庵膳木星毅はあまりにも普通だったのだ。
少なくとも庵膳木星毅には強者特有の個性的な雰囲気を新は感じることが出来なかった。羅盤学園の生徒会長であると、そう周囲に納得させる様な雰囲気が庵膳木星毅には欠如していたのだ。
(噂で聞くような、それだけの強さを感じることはできなかったけど。やっぱりスイッチが切り替わるタイプの人なのかな)
学生異能者はまだ社会に出ていない異能者だ。学園の外でその姿を目にすることは滅多になく、新も庵膳木星毅という名前を知ってはいてもその姿までは見たことがなかった。
しかも庵膳木星毅は羅盤学園で急に頭角を現した異能者。入学前から界隈で有名だった訳でもない、正真正銘の一般募集枠から入学してきた存在。入学前の情報など無いに等しい。彼の存在事態が玉石混交、羅盤学園の象徴でもある。
なのでどんな人間が現れるのか、と注意していたところに現れたのがあのような優しさを固めたような雰囲気を纏う人間では少し腑に落ちないというのも分かる話である。
(任務の中に庵膳木星毅は入ってなかったけど……一応注意しておくか)
そもそも新は一年生、庵膳木星毅は三年生と学年が異なっている。事前に配られた資料では学年が異なればそのままクラスが存在する建物が異なっている。
この広すぎる学校では滅多に会うことは無いだろうが新は一応頭の片隅で覚えておくことにした。
実際,現在新のいる校舎付近では一般の上級生らしき姿は見ていない。居るのは勧誘の為にブースの様なものを立てている少数の代表者らしき姿だけだ。
と、時刻を確認すると入学式の終わりから一時間程経過していた。
特に深く考えず道に沿うように歩いていただけだが、この一時間でようやく一年生校舎周辺を一周しただけ。このペースでは各種施設まではもっと時間を要するだろう。
騒音被害を避ける為だとか事故が起きた際の被害を少なくする為だとか様々な理由があるのだろうが、とにかく施設も多く、土地が広大なのである。
つまり羅盤学園の敷地を一日で巡るのは不可能だ、という事だ。全部を見て回ろうと思ったら本日一日にの残り時間を全部使ってもギリギリだろう。
特段予定がこの後にある訳でもない新だったが一日中歩き続けるのは流石に勘弁願いたいものだ。鍛えているとはいえ意味のない行動は精神的にも堪えるのだから。
(これ授業とか大変だろうな)
等と考えつつこのあたりで切り上げようとした矢先、新は周囲の雰囲気が一気に変化するのを感じ取る。
それは街中で有名人を見たときに衆目が集められてしまう現象の感覚に近い、いやその現象そのものの中に自分が巻き込まれたかのような感覚。
新の目の前には人だかりが円を描くようにできており、新もいつの間にかその外円部分に立っていた。
「おい……あれ見ろよ」
「あれって」「すげぇ……初めて見たよ」
「やっぱり……そうよね?」
学生達の視線の先に居たのは一人の女子生徒だった。
艶やかな光を反射させる茶髪に、どこか儚さを纏う肢体。決して小柄ではない、しかし身体の纏う雰囲気は弱くか細いようなそんな女子だ。歩きながら何やら電子端末を見ているが、日常的なその姿ですら絵になっているのが不思議なところである。
一言でいえば、そう――美しかった。
一般的に言ってかなりの可愛い部類に入るだろう。美しくも儚く、それでいて可憐。例えるのが難しいが、鉱石の様な冷たさを纏っている少女。少なくともこの場においては一人住む世界が違うような、そんな空気の中に佇んでいるのだ。
究極の自然体、と言えば分かるだろうか。作られた美しさでは無い自然の美。それが人の形を成している。
社会的には一般とは言い難い新ですら純粋に美しいと感じたのだから普通の学生達はもっとそう感じているはずだ。
「間違いねえって」
だが、この場にいる殆どの人間は容姿の事で足を止め女生徒を取り囲んでいたのではない。彼らはもっと別の理由で目を奪われていたのだった。
その時学生の中の誰かがぽつりと言った。
「間違いねぇ。白木、白木銀子だ」
白木。その名前は新もよく知っている。いやこの国で知らない方が珍しいだろう。それ程に白木という名前が持っている意味は大きい。
この国の頂点である天帝に使える四つの家系の一つ、それが白木。日本の核である天帝近衛四家と呼ばれる名家中の名家。この国の異能社会のトップと言ってもいい者達、それが天帝近衛四家。
超常史に入り、名家と呼ばれる概念は廃れるどころか加速した。異能は個人のパーソナリティによって決定されるというのが現在主流となる考え方だが、このパーソナリティに血筋が大きく関係するのである。
故に強力な異能を持つ異能者の家系は古くから続き、現在でもなおその権威を保ち続けている。天帝近衛四家はその代表例だ。
つまりこの女生徒が注目を集めているのは彼女が天帝近衛四家という名家中の名家出身の人間であり、彼女が入学以前から人目を浴びていたからでもあった。
要するに皆話しかけることもできないが、これまで何かしらの媒体を通してしか姿を見れなかった有名人に興味も隠せなかったのである。
「あ、あのさ」
そこへ一人輪から出て女生徒へと話しかける者がいた。
空気を完全に読めていないその男子生徒、制服を着崩し、髪を染めている辺り、いわゆる学生デビューでもしたのだろう。超常史に入ってもこの辺りの若者の考えは変わっていなかった。
全く空気を読めないまま男子生徒は緊張しつつも明らかに、自分は他の人間とは違いますよ、というオーラを出そうとしながら言葉を紡いでいく。
「この後、食事でも行かない?ほっほら、学校もまだ始まったばっかで友達とかいないだろうし。良かったら奢るけど?」
その時、この場にいる学生たちの感情は完全に一致した。
((こいつ……馬鹿だ!!))
その行動は本当に馬鹿としか思えない。言葉を言い終わった時点で「どうよ!」と言わんばかりに周囲にどや顔を振りまいている辺りまれにみる無知さである。
言葉の中で奢ると言っている辺り良い所を見せたいのだろうが、逆効果だ。彼女は白木、名家中の名家のお嬢様である。一般の生徒如きが経済力で適う存在ではない。
恐らくこの場に集まった人間が彼女が可愛い過ぎるからという理由で話かけられないだけとでも勘違いしているのだろう。実際は白木という名前の持つ力に気圧されている者が大半で、見た目は付随要素でしかないのだが。
空気が……凍る。
新も目の前で起きた状況についていけず、何がなんやらといった様子で固まっている。……まぁ新が別に凄い空気読めるとかでもないのだが。それでも目の前で起こった事故はスルーしきれない程に酷い。
永遠とも思える停止した時間が流れる。
そして……少女が口を開いた。
「ええ、いいですよ」
「マジですか!?」
その回答を予想できたものが果たしてこの場に存在しただろうか。いや存在していなかっただろう。誰もがこの愚かな男子生徒にどう裁きを下すのかと考えたはずである。
だが実際の彼女の反応は寛容そのもの。名門白木の令嬢から出た言葉とは到底思えない。
「では行きましょうか。もうお腹ぺこぺこで」
「え、ええ!行きましょう!」
男子学生の方はというと先程までの口調はどこへ行ったのか、すっかり元の話し方になってしまっている。彼もまさか本当にOKの返事がもらえるとは思っていなかっただろう。表情は驚きと喜びが混ざり合い、良くわからない笑顔が張り付いている。
そのまま、どうだやってやったぜ、という顔で周囲を見ながら男子学生と白木銀子はそのまま正門の方へと歩いて行った。後に残ったのは目の前で起こった衝撃の余韻で動けない者たちだけ。
「……何が起きたんだ」
「いやこっちが聞きてぇよ」
「白木さん、お腹ぺこぺことか言うんだ……意外」
「てかあの男子学生何者?もしかしてどっかのボンボンとかなのか?」
次第に余韻も薄れてきたのか元の喧騒が戻ってくる。全員思い思いに話すがやはり話題はさっきの出来事の事だった。
「なんか、凄かったな」
かくいう新もその場から動けなかった一人だった。
しかし新が動けなかったのは単にさっきの出来事の余韻が残っているからだけではない。
(でもあれが白木銀子……か。やっぱり写真で見るのと実物とでは全然違うな)
八十新に与えられた任務の内の一つ、それが『白木銀子の観察と監視』だった。
新に与えられた任務は現状で三つ。
『白木銀子の観察監視』、『学生としてちゃんと過ごすこと』そしてもう一つ。
(明日からクラス毎で行動になる。多分ボスが何とかしてくれてるだろうし、出会う分には問題ないだろう)
今日のところは観察対象の人間に会えなくても問題はない。白木銀子が偶然姿を確認できただけで、本来は明日以降に確認できればよかったのだから。
基本的に羅盤学園はスカウト組、一般入学組混成の完全ランダムなクラス分けとされている。庵膳木星毅も言っていたが羅盤学園は玉石混交、様々な実力を持つ人間がぶつかり合う事で鍛え学んで行く事を基礎とした方針だ。
なのでこの根幹のシステムをどうこうする、というのは本来ありえない話なのだが……ボスが大丈夫、と言っていたのだと新は不安に思っていなかった。実際は驚くで済まない程の事のはずだが新にそんな事は知る由もない。
(足止めされてしまった。さっさと帰ろう)
新が集団から外れ帰路を進もうとしたその時、不意にすぐ横から声がかかる。
「いや~すごいもの見たね。」
横を見てみるとそこには新より背の低い黒髪の女子が下から除くように新を見ていた。幼さを残した顔立ちで、実年齢よりも数歳は若く見える。
新も実年齢よりは若く見えるが、彼女はより若く見える。
「ああ、なんか凄かった……って君、誰?」
その姿に新は見覚えがない。
「まさか白木のお嬢様があんな輩についてっちゃうなんてね~。案外俗っぽいのかな?」
「いやだから君誰?」
新の問いかけも無視して少女は顎に手を添えながらうんうんとしゃべり続ける。
「いやでもお嬢様だから世間知らずって線をあるね。う~ん、でも世間知らずだからってついていくかな?」
「でも一番可能性が高いのは世間知らずって線だね。意外とお腹が減ってたのも本当かも」
「私達も四家の事を実際にすっごい知ってる訳でもないしね~。にしても白木さん……綺麗だったね」
「なんというか、こう白木って感じだったね」
「綺麗なだけじゃなくて美しいだけじゃなくて、凛としててもう凄かったね!白木の人はみんな綺麗な人が多いけど実際に見てみるとやっぱり凄いよね〜」
怒涛、滝のように話す少女。新に話しかけているはずなのに新の事はほっぽって自分だけで一人話続けている。
やがて一しきり話し終えた後、遂に。
「ね、君はどう思う?」
「だから君は誰!?」
新も叫ばざるを得なかった。
■◇■
「いや~ごめんね!ちょっと興奮しすぎちゃったみたい、反省だね」
「いや別にいいけどさ……せめて名前だけでも言って欲しかったよ」
「ごめんってば~」
新と少女は学園内の喫茶店を訪れていた。
殆どは「立ち話もなんだからね」という少女の言葉によって無理くり連れてこられたようなものだが。
「でも初めてだったからさ、ほんとに興奮しちゃったんだよ~」
「初めてって……白木を見るのが?」
「それもあるけど……一番はああいう場面に出会ったことかな」
そういってズズズ、と注文していた珈琲を啜る。この店の注文形式は先に商品を受け取ってから席に着く方式なのでまだ淹れたての熱々だ。
「ああいう場面って、もしかしてナンパの事?」
「そうそう!ナンパナンパ!いや~ああいうのって本当にあるんだね!本の中では知ってたけどさ、実際目の当たりにするとなんか緊張感が凄かったよ~。あんな人、現実にいるんだね」
思い出してまたにやにやとする少女。その仕草は容姿も相まってか子供がプレゼントを夢想しているようだ。実際彼女からすれば本の中の状況に遭遇するという天恵だったのだろう。
「で、君は一体誰なんだ。どこかで会った事でもあったっけ?」
「ん〜?初対面だと思うけど」
あっけらかんに少女は言う。
「初対面って、それにしては馴れ馴れし過ぎない?いきなり話しかけていきなり喫茶店って」
「こんなもんじゃないのかな、高校生ならさ」
「そう、なのか?」
新は組織で生きてきた人間だ。無論社会で生きてきた経験などあるはずもない。
精々が組織のメンバーとの交流程度。あっても協力者との会話のみで同年代の、しかも高校生の一般的な距離感をよく知らない。
故に新は目の前の少女の価値観が間違っていると言い切る事が出来ず、逆に少女の自信満々の口ぶりに「僕が間違っているのか?」と思わず自問してしまった。
「そうそう、そうに決まってるよ」
「そう……なのか」
「もちろん」
ふぅ、と新も一先ず丸め込まれ自分の珈琲を飲む。暖かく、深い苦味が舌の上で心地よい。精神的な疲れが抜けていくのを感じた。
「ああ、そういえば私が誰かって話だったね」
見れば既に自分のカップを空にした少女が新の方を見ながら笑っている。この短時間で飲み切るには結構な量があったが少女はいつの間にか飲み干していた様だった。
「私は舞桜瞳。今年から君と同じ羅盤学園の一年生だよ」
舞桜瞳はにっと笑い、そう名乗った。
「僕は八十新。同じく羅盤学園の一年生、よろしく」
一応新も礼儀として名乗る。これから少なくとも三年間は学生として過ごすのだ、相手が名乗っておきながら名乗らないというのも不自然な話だろう、という考えからだった。
本音を言えば静かに学生生活を送りたかった新だったが……ぐっと飲み込んだ。
「そっかじゃあ新君だね。新君、新君……こういうの……なんか緊張するね…っ!」
「いや緊張しないでしょ……たかが名前で」
「え~緊張するって。名前ってさすごく大事だよ。親からもらった二番目の物なんだからさ」
その言葉は確かにそうなのだろう。だが、新には実感し難い感覚でもあった。
新は実の親というものをよく知らない。あえて言うならボスが親代わりという事になるだろうが……新という名前もいつの間にか持っていたものだ。いつの間にか自分は新と呼ばれたのだ。そんな事、今まで気にしたことがなかった。
「……でも、だからって緊張はしないよ。名前を呼ぶくらいで緊張って今までどんな環境で生きてたんだ?」
その言葉は若干新にも刺さるのだが……新は他人の名前を呼ぶくらいで緊張はしない。自分の事は棚に上げたのだった。
「なら呼んでみてよ、瞳ちゃん、って。絶対緊張するよ~」
たかだか名前で緊張するとは舞桜瞳は案外ウブなのか、と新は思いつつ微笑む。
「いいよ、別にそれくらい」
「言ったね〜、じゃあ早速」
やれやれ見た目通り子供なんだな、と考えながら名前を呼ぼうとするが……声が上手く出ない。
少し焦って大きく声を出そうと試みるが、やはり出ない。呼吸は問題ない、ちゃんと息は吸えるし吐ける。ただ声だけがどうにも出せないのだ。
「………?」
「ん〜どうしたの〜?」
「…………!?」
別に何でもない、何でもないのに。声が上手く作れない。
(緊張しているのか……僕が!?)
そんな事はない筈だ。ない筈なのに。
どうにも新の口は上手く単純なその言葉を紡いでくれない。
いやそもそもーー口から音を出すことが出来ない。
「じゅ~う、きゅ~う、は~ち」
目の目で突如として始まった謎のカウントダウン。
小悪魔チックとでも言うのだろうか、先ほどよりも邪悪な笑みを浮かべた舞桜瞳がそこにはいた。カウントダウンに合わせて大げさに手を叩いている。
同時に悟る。
(……なんかしたなこの野郎!!)
そのままカウントはゼロになり、同時に新の口に音が戻る。息苦しさはない、ただ音だけが出ない、そんな状態からの解放は不思議な感覚だった。
ただうっすらと感じる感覚。その感覚を新は知っていた。
「ほら~、やっぱり言えなかったじゃん~」
ぷぷぷ、と笑う舞桜瞳。……にしても様々な笑い方を見せる少女である。
「……使っただろ、異能」
「そんな事ないよ~?」
明らかに嘘だ。異能でなければ、緊張もしていない新の声が出ないなんて不思議現象が突然起きる筈がない。いくら超常史といえど前兆なしにこんな現象は起きないのは新もよく知っている。
「嘘だろ」
「嘘じゃないよ」
「嘘だ」
「嘘じゃないよ~」
どうやら舞桜瞳は嘘を認める気はないようだ。小悪魔的な微笑は自分で嘘をついていると宣伝しているようなもので、誰が見ても嘘だとわかるというのに。
「……許可なく異能を使うのは違反だぞ」
「此処は学園の中だし使っていいよ〜使ってないけど」
もうこの言い方が確信犯そのものなのだが、少なくとも今彼女を責めることは出来ないようだ。
「はぁ……そういうことにしておくか」
新には彼女が嘘をついているという証明ができない。そういった真偽を確認する異能も存在するが、新が態々その異能者を呼んで来て確かめてもらうなんて事も出来ないしするつもりもない。
別にそれを認めたからといって新に不都合があるわけでもない。不名誉は多少あるかもしれないが、その程度は新と舞桜瞳との間だけの話だ。
新も舞桜瞳という少女も悪い人間ではない事はこの会話で薄々分かっている。ならばこんな嘘も高校生同士なら普通の事なのだろう。
「認めるのはいいことだよ。じゃ、ここの会計よろしくね。すいませ~ん!このチョコパフェ一つ~!」
「それは話が違うだろ!?」
……若干の不利益はあった。
〇天帝近衛四家
日本異能社会の頂点である天帝を守護する四つの家系。超常史開始以前より古くから日本社会で権威を持っていたが、超常史の始まりと共に異能が世間に広まることで更にその権威を増した。
永宮、霊泉、宝条、白木の四つの家系からなる。