その魅力、そっくりそのまま美宮に返すよ
「それでね!生でも見たわけだよ!!!そしたらこれまた超可愛いわけ!肌なんかツヤッツヤで白いし、足も細いし、顔のパーツぜーんぶ整っているし、目めっちゃ大きいの。瞬きしたら風が吹くんじゃないのって思ったくらいまつ毛長くてさ〜、羨ましい。真顔は美しいのに笑うと可愛くなる、うん、無敵でチートの可愛さ。うわぁー好きぃー」
「美宮……」
「何?え、なんで私がGoodTEENのモデルを生で見たことがあるか知りたいの?」
「いや……、その……」
「ふん?」
不思議そうに、でも満足そうに俺を見つめる。言わなきゃ……
「さっき、美宮が熱弁していたモデルの魅力……そっくりそのまま美宮に返すよ」
本心だ、これは。俺は本気で美宮はGoodTEENのモデルと並んでもおかしくないくらい美人だと思う。むしろスカウトされないのか気になる。さっきの言葉に美宮は大きな目をパチパチと瞬きして、怪訝そうに俺を見る。さっきの瞬きであの長い美宮のまつ毛が風をおこして俺の顔の産毛は動いた、そんな気がした。美宮の大きな瞳はじっと俺を見つめている。こんな美少女にじっと見つめられたら誰だってニヤけてしまうだろう。だが、俺は嘘を見破るように見つめる美宮を真剣に見つめる。
「それ、本気で言ってる?」
美宮の瞳に吸い込まれそうだった。美宮は真剣そのものの眼差しで、真剣そのものの綺麗な声で、俺に問いかけた。
「ああ。」
俺も真剣そのもののだった。誠実、本気、真実、確信、自信それらを混ぜた瞳で俺も美宮に対抗する。それは周りの情報をシャットダウンする壁を築くようだったし、実際そうだった。
だから俺も美宮も、教室に誰かが居ることに気づいてなかった。