学年一の美少女は美少女オタクだった
そーっと教室を出ようとしたら、美宮は黙って黒板の方を見ていた。背筋をぴんと伸ばして大きな目を開いていて。
さすがにこの俺、黙って教室を出る訳にはいかない。
なにか美宮をフォローできるような何かを言わないと……
考える、やはりすぐ出てきた言葉はこれしかない。
「俺もGoodTEEN読んでるぜ……」
言ってしまった〜!!これはさすがに良くなかったのでは???だが1度言ってしまったことはもう取り戻せない。
やべえ、こええ、どうしよう俺!!そして助けて寛也。
恐る恐る美宮を見た。そしたら美宮は顔を真っ赤に染めて歯を食いしばって俯いていた。
やべえ、学年一の美少女を怒らせてしまった。
そう、そこで生じる重たくて張り詰めた空気。緊張感と己の恥ずかしい気持ち、そしてやってしまったという気持ち。これらを煮詰めて凝縮した、そんな空気が俺と美宮の周りに流れる。
「お……俺、じゃっ、じゃあ帰るわ。ははh……」
!!逆効果だろこれは!!声も上ずってるし、ここで逃げて俺は、、それでも男かよ!ああ、ひでえやつだ。
もう明日から学校行けないかも。助けて、寛也、長雨、和美、そして母さん、父さん。
逃げるように教室を出ようとした。
「ちょっと待って……」
美宮は消えそうな声で俺を呼び止めた。
「あ、あのさ、上湧君もGoodTEEN読んでるの?」
恐る恐る声の主を見つめた。真っ赤に染まった顔には涙目の大きな瞳、そして泣きそうな声で恥ずかしそうに。
美宮は俺に問いかけた。
「お、おう。読んでるぜ……」
「そっか」
なにこれ、怖い!!!
「今さ、時間ある?」
「おう……」
「そ、その、ちょっとこれみて!!比奈実ちゃんん!!!可愛すぎない?!?!ドアップでこれだよ??目、大きいし、肌はめっちゃ綺麗だし?!?!その上、パーツ配置が神。比奈実ちゃんのパパママに感謝したくなる。生まれてきてくれてありがとう」
どうやら美宮舞莉亜は美少女オタクだったらしい