学年一の美少女と話すきっかけ
謙虚な美少女:美宮舞莉亜
きっとクラスメイトは彼女をそう思っただろう。
彼女の初日は終わり、俺が高二になって2週間が経った。
クラスには少ないが男子もいる。2週間で俺はちょうどクラスの男子全員と知り合い以上になってきた。近くの席なら女子とも軽く話せる程度の関係になったりもした。だが俺はまだ美宮舞莉亜と話せていない。話してみたい、そうは言っても俺は真の陽キャじゃない。だから少しハードルがあるのだ。きっかけもなくただ女子とも喋るなんて……
そう、きっかけさえあれば。
だが意外にもそのきっかけというのは神様が速達で届けてくれた。それはきっかけが欲しいと嘆いていた3日後。金曜日の話だ。
その日の放課後、いつものように寛也とクラブ棟へ向かった俺は教室に忘れ物をしたことに気づいた。
「あ、俺忘れ物してるわ……」
「?何忘れ物してんだ??」
「今日忘れたら2日後悔するモノ。ズバリ、スマホ……俺の臓器、忘れてる。ちょっと取りに行ってくるわ」
「スマホ忘れるなんて大事だ!!今週は珍しく土日に部活ねぇもんな。無事に帰ってくることを祈ってるぜ、俺のハニー」
「気持ち悪ぅ」
全く真の陽キャってノリがいいよな。まあ、とりあえず俺は教室へ大事なスマホを取りに教室へ向かったのだ。
普段から教室は放課後になるとほんとに誰も居なくなる。だからささっと取って帰る。そのはずだった……
しかしながら教室では、華奢な後ろ姿が見えた。その生徒は席について雑誌を見ながらブツブツ呟いていた。
俺は悩んだ。ここで教室に気付かぬふりをして入って「あれ?まだ教室いたんだ、あはは」とやり過ごすか、それともこのまま……どうしよう、前者を選んだ場合、お互い気まずい思いをするかもしれない、下手したら一生……、だがこのまま待っているだけじゃ時間が無くなる。そして寛也に疑われる。ええい!時間が無いんだ。勇気をだして教室へ、いざ出陣。
ドキドキしながら教室へ1歩足を踏み入れた。そこで聞こえてくるとある女子生徒の呟き、
「うわっは〜!!今月の比奈実ちゃんのドアップ超可愛い!目ほんとに大きいし、蒙古襞がないから二重超綺麗〜羨ましいわ!それに肌の色白すぎー!!消えちゃうよっふふふ〜!そして毛穴がないぃ!まあ、比奈実ちゃんも可愛いけど、47ページの和ちゃんも負けずに可愛い、というかみんな可愛い……」
(え……)
この声を俺は覚えている。そう、美宮舞莉亜だった。
彼女は俺が教室にいることに気づいていない。