いじめ①〜後編〜
児童館で初めて殴られた日から1日おきくらいで殴られている。けいごの周囲には友達がどんどん増えていく。
最近はあきら達もその様子を遠くから見ている。
しかし、止められるはずもない。
せいぜい殴られ終わった後、「大丈夫か?」と駆け寄ってくるのがやっとだった。
「僕になんか構わなけりゃいい。」
そう言って、2人に距離を取る。
このままだと、2人もともにいじめられかねない。
そう判断したからだ。
2人に背を向けて、俺はその場から立ち去った。
くやしい。つらい。孤独。
なんとも言えない感情が俺の心に渦巻く。
その翌日、
あきらくんとたくやくんがけいごと共に来る。
悲しみで胸が張り裂けそうだった。
いつものようにけいごに殴られる。
そのあと、けいごは衝撃の言葉を口にする。
「お前らも俺の友達なら、殴れ。」
2人はためらいを見せる。
「どうした、おれの『友達』だろ?」
そう言いながらけいごは、選択を迫る。
2人は俺の方に向かってくる。
「これで、本当のぼっちか。」
どうせなら大暴れしてやろう。
そう覚悟を決めた瞬間。
2人は俺の体を押さえる。
頭をロックされる。
「殴ってこないのか?」
そう疑問に思うと、耳元であきらが囁く。
「殴られるふりをしてくれ。」
どういうことだ?
突然のことに状況を受け止めきれない。
2人はパンチを寸止めする。
殴られると思っていた俺は身構えて後ろに倒れる。
2人はそのまま殴るフリをする。
けいごが寸止めに気づく様子はない。
僕は2人の助けに救われて、目に涙を浮かべる。
それを見て、満足そうにけいごは去っていった。
詳しい話は、次回後日談として投稿します。