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かけっこ
「はぁ、はぁ、はぁ」
(なんでかけっこなんてしないといけないんだ!)
僕は走っていた。
僕の名前はけい。5歳だ。
どこにでもいる幼稚園児だ。
そして今まさに運動会が行われている。
外遊びが嫌いな僕にとってそれは苦行以外の何者でもない。
そもそも、僕は元から身体が弱い。
小さい頃に大きな手術を2度受けている。
病気で幼稚園は、週の半分しか行けない。
僕は病弱だ。だから仕方ない。
でも、幼稚園に来るとご飯は残さず平らげる。
おかわりだって何杯もたべる。
そう。おデブちゃんなのだ。
話を戻そう。
今まさに、かけっこをしている。
一位の子はとっくの昔にゴールしている。
いろんな大人からの生暖かい視線。大きな拍手。
ダントツのビリを走っているのだった。
でも、ゴールは目前。
これで終わりだ。
こけた。
何もないところでこけた。
これは恥ずかしい。
僕は泣いた。
そんなこんなでようやくゴールすると大きな拍手が上がった。
こうしてけいは、名誉の負傷?で晴れて運動会を途中退場するのだった。