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【書籍化】ポーションは160km/hで投げるモノ!~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~(WEB版)  作者: 鉄人じゅす
3章 ポーション使い、黒の民の里へ行く

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79 王都へ帰ろう

 必要な会話も終え、俺達は帰路の準備をすることにする。

 早く……ポーションを1000個補充しないとポーチが寂しくて不安になる。


 お土産にお弁当も頂き、本当に良い人達で暖かい村だということが分かる。


 シュウザさんは寂しがりそうな顔でカナデを見送る。

 そんな夫を窘めつつ、娘を抱きしめるスイファンさんの姿も良い。


 親子との触れ合いを眺めつつ俺とスティーナは村の入口の門で待つ。


「いいなぁ。家族が揃ってるって……」


 スティーナはすでに両親と姉を亡くしており、天涯孤独の身だ。

 羨ましそうにカナデの様子を見ていた。


「ねぇ……ヴィーノも実家ってどこになるの?」


「王国の東の農村だよ。王都から馬車を乗り継いで10日くらいかかるからなぁ」


「カナディアを連れて結婚報告にいくの?」


「そうしたいけど……休めないもんな。田舎に帰るならまずこの村に来て……仕事の引き継ぎとかもしたいし、後回しになりそう」


「結婚の話はしないの?」


「手紙で伝えておく。俺は6人兄弟の五男坊だから跡継ぎとかも関係ないしな」


「ふーん、でも生きてる内に親孝行しておくものよ」


「分かってるよ」


「すみません、お待たせしました!」


 カナデが戻ってきてようやく……3人いつものパーティを組むことができる。

 本当に長かった。でも……そのおかげで何よりも大事な(カナデ)を手に入れたのだ。


 これからは大事に……そして仲良く過ごしていこう。

 まだまだやることは山ほど残っている。


「カナデ……よかったら手を繋いで帰らないか?」


「へっ!? んぅ、もう……ヴィーノったら積極的なんですから。スティーナにも悪いじゃないですかぁ、見せつけるみたいですし」


 そんなこと言うがカナデはすでに手を掴んでいる。

 スティーナに悪いってのがよく分からないが……。


「別にいいわよ」


 スティーナはあっけらかんと言う。


「あたしはどっちかというとじっくり行く派だから先とか気にしないし。王国は重婚OKだから帰ってから攻めさせてもらうわ」


「はァ!?」


 カナデの口からとんでもなく重い声が出てくる

 何だか火種を生みそうな発言に俺はちょっと後ぞさる。

 この2人って仲良いよな? 本当だよな?


「ほんと……泥棒ネコです!」


「元怪盗だからね~」


 スティーナが笑い、カナデもつられて笑ってしまった。

 何だかよく分からないけど同性同士どこまでも仲良くして欲しいと思う。


「だからさぁイチャイチャとかしていいわよ。あたし、そういうの見るの好きだし……自分に置き換えて妄想すると……ものすごく充実するって言うか、濡れるって言うか、あっ!」


「……」

「……」


 何だろう、そんなこと言われると自然とカナデと手を繋ぐのがダメなような気分になってくる。

 カナデも同じことを思ったのか顔を背ける。


 ただ一つ言えることは……。


「スティーナってやっぱり変態ですよね」

「変態に加えてドスケベだろ」


「なんですって! いいからイチャイチャしなさーーーい!」


 そんなこんなで王都へ戻った俺達はまたクエストで忙しい日に戻る。



 そして幾多の日が過ぎる。









 ◇◇◇





「やばい……セラフィム使いすぎた」



 げっそりとした表情をしたシエラはヨタヨタとまるで初めて立つこと覚えた赤子のような動きで一歩、また一歩進んでいく。


 得意の白魔術を使用し、白の国から抜け出して王都までやってきたが……肝心のどこへ向かって行くのかがまったく決まっていなかった。

 さっきから腹の音が鳴り止まぬ、シエラの頭はもはや……何も考えられない状態であった。


 この王都ではシエラのような白髪は珍しい。

 色素が抜けた白ではなく、圧倒的な存在感を生む白の髪は白を超越した何かであると言える。


 普段であればそんなシエラに手を差し伸べることもあっただろうが、今は21時を過ぎており、商業街も一部の歓楽区を除けば人通りも少ない時間だ。


「お腹すいたぁ……」


 いつものシエラであれば白魔術の自浄効果により夜であっても白く輝く容姿をしているはずが魔法の使いすぎと長時間の旅路で身も心も疲れ果ててしまっていた。


「うぅ……」


 シエラは力尽き倒れ込んでしまう。


 人通りの少ない、このタイミングで倒れ込んでしまうことは非常に危険であった。

 こんな道を歩く人間なんて二通りしかない。


 そんなシエラに近づく一人の影。


 1つは売れそうな美しい少女を捕まえようとする人さらい。


 もう1つは……。


「ねぇ? 君、大丈夫?」


 そんな人さらいが現れないように人通りの少ない所をチェックしながら帰る冒険者くらいなものだ。


 薄い金髪の青年がシエラに手を差し伸べる。


 それが【ポーション狂】ヴィーノとシエラの初めての出会いだった。


 3章 ポーション使い、黒の民の里へ行く ~完~

 4章 ポーション使いと白の巫女へつづく

ここまで読了ありがとうございます。


今回の話が3章最終話となります。


3人目……というよりカナディアと対になる予定のヒロイン、シエラの登場です。

4章はシエラ中心のお話になると思います。


4章は書籍発売前の章となり、いろいろ宣伝をさせてもらう形となるので楽しみに頂ければと思いま

す。


今後の活動の励みや書籍化に対するモチベーションとなりますのでブックマーク登録や


下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるともっと頑張れる気がしますので宜しければ!


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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
第2巻が7月20日 より発売予定です! 応援よろしくお願いします!

表紙イラスト
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