36 スキンシップ
「おっ来たな!」
交易の街から【不夜の回廊】までは1時間。
街からかなり近い所にあるので不用意に入れないように厳重な管理がされてある。
俺達の姿を見たアメリがぶんぶんと手を振っている。
その度、横結びの青のツーサイドアップが揺れて可愛らしく見えるんだが、年上の25歳なんだよな……。
「さっそく試験を始めんぞー。中に入れ~」
アメリが施錠をしているダンジョンの扉の鍵を開け、中へと入る。
地下遺跡みたいな感じだ。あの街に4年住んでいたがここの中の情報はまったく知らない。
「どういう試験になるんだ?」
「ふっふーん、それは最奥についてからのお楽しみだぁ。あ、魔獣が出るからそれはあんたらで退治してくれ」
アメリは俺達の後ろへ付き、俺達を前に押し出す。
この感じだと強力な魔物が潜んでいるとかだろうか。
S級ダンジョンを潜るのは初めてだ。油断せずにいこう。
「カナディア。最奥がどうなってるか分からない、基本は俺がポーションで倒していく。倒しきれない場合のフォローを頼む」
「ええ、分かりました。ふぅ……」
カナディアも少し緊張している感じだな。
そういう俺も緊張している。いつも通りの力を出せば……大丈夫なはずだ。
「あんたら緊張すんなよ、な!」
「わっと……」
アメリが背中を強く叩く。
やっぱり……緊張を見破られていたか。だけど……こうやって力をもらえると戦えるような気がする。
そしてカナディアの方にも緊張をほぐすため……両手で脇腹をぐにぐに揉み始める。
「にゃはっ!?」
「おー、やっぱいい反応だな~」
「うぅ……」
カナディアは脇腹を押さえて涙目となる。
戦闘ではキリっとしてるけど、こういう所に弱点があるのは可愛らしいなと思う。
でも……あまりやり過ぎはよくないと思うので注意しておくか。
「アメリ、カナディアもまだ16歳だし……からかいすぎるのはよくないんじゃ」
「だからだよ」
アメリはあっけらかんと言う。
「あの子は今まであの髪が原因で人付き合いをほとんどしてこなかったんだろ?」
「それは……そうだな」
「こういう同性のスキンシップはやっておいて損はねぇ……。大丈夫だ、あたしは分かってやっている」
考えなしかと思ったけど……言っていることは一理ある。
俺は男だし、やっぱり……全てを理解することはできない。
そういう意味で同性の意見ってのは大事なのかもしれないな。
「カ~ナディア」
「もう! つっつくのやめてください! ひゃう!……ひょ、ひょわいんですぅ」
「いい、……実にいい! ねぇ……ちょっと胸揉ましてくんない」
「やです!」
本当に考えてんのかなぁ。
◇◇◇
カナディアがあまりに後ろを気にするのでカナディアの後ろに俺、アメリの順番で移動することにした。
これなら安心できるだろう。
……安心の意味が違うような気がする。
カナディアも落ち着き、警戒しながら前を歩いて行く。
「ようやくいつものカナディアに戻ったな」
「ヴィーノ、あんたももうちょっとカナディアにスキンシップしてあげりゃいいのに……かわいいだろ?」
「かわいいのは間違いないけど、さすがにイヤがられて嫌われたらやだし……」
「じゃあ軽く試してみたら?」
アメリが興味深そうに笑いやがる。
俺とカナディアのスキンシップか……俺も男である以上……興味がないわけではない。というよりありまくりだ。
仲を深めたいという想いが強い。
冷静に考えると……これがある意味スイッチだったのかもしれない。
俺はゆっくりとカナディアの後ろに張り付き、無防備な右脇腹をぐにっと揉んだ。
「ひゃっはっ!?」
カナディアは左方向に踊るように仰け反る。
なるほど、スキンシップとはこういうことか。確かに楽しい!
何か新しい世界が見えた気がする。
「ヴィーノォォ!」
「ご、ごめん! つい魔が差してしまって」
「ひどいです! そりゃ……私は夫にいじめられるのが好きな系女子ですが時と場合を考えてください!」
「悪かったよ。もうしな……って、え?」
「も~、ここじゃなくて……2人きりでヴィーノが望むなら……私はいたずらOKですよ」
カナディアは頬を紅くして、くねくねし始めた。
「じゃあ、あたしも!」
「シャーーーー!!」
便乗しようとするアメリをカナディアは威嚇する。
……カナディアってもしかして……。
いや、やめよう。さすがに今それを考えたらまともに動けなくなる。
「と、とりあえず奥に進もう、二人とも」






