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【書籍化】ポーションは160km/hで投げるモノ!~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~(WEB版)  作者: 鉄人じゅす
1章 ポーション使いと黒髪少女

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35 決着:A級パーティ【アサルト】

「昔からそうだよな。心の底から性根が曲がっていて、大事な時に黙り込む性格。君のことはよく知っている」


 俺の言葉にトミーは剣を降ろしてしまった。

 戦意が無くなった相手に攻撃するほど落ちぶれちゃいない。

 俺は手に持っていたポーションをホルダーに戻す。


「俺が勝った時のことを言ってなかったな……。もう俺やカナディアの前に現れないでくれ」


「っ!」


「そんなに欲しけりゃポーションを格安で売ってやってもいい。しっかり頭を下げるんならな」


 俺は背を向け、アメリの向かった方へ視線を向ける。余計な時間を使ってしまった。

 ポーションのストックもまだまだあるし、影響はほぼないと言っていいだろう。


「ヴィーノ伏せて!」

「え?」


 カナディアの声に俺は振り向く。


「俺を見下すなァァァ! ヴィーノォォォ!」


 気付けばトミーが顔を歪ませ、剣を振り下ろしていた。

 まさか……人の後ろを狙うなんて思ってもみなかった。パリンも間に合わない。

 俺はダメージを覚悟した。


「っ!」


 その時、カナディアが俺を押しのけ前に出る。

 トミーの刃がカナディアの腕を傷つけた。


「カナディア!? お、おい!」

「大丈夫です……。ダメージを受け流したので」


 俺はすぐにカナディアにポーションを飲ませる。

 良かった……傷は浅い。

 大事に至らなくて本当に良かった。


 だけど……俺はもう我慢できなかった。決闘で、戦闘が終わった後に攻撃をしてくる卑劣さが許せなかった。


「トミーィィィィ! てめぇ、後ろから人を狙うなんてどういうつもりだぁぁぁ!?」


「ち、違う……俺は……おまえが……悪い」


 それは誇りだ。正々堂々と戦う。戦士職【ナイト】の矜持である。

 それをトミーは自ら破って後ろから攻撃をして、なおかつカナディアを傷つけた。

 俺は自分が何されたって我慢できるし許すこともできる。


「でも、カナディアを……俺の仲間を傷つけることだけは絶対許さない!」


「あ、あ……がばっ!」


 口を開け、呆けるトミーの口にバインドポーションをぶちこんだ。

 体を痺れさせて動けなくする。


 俺はホルダーに入った99本のポーションを空中にばらまく。


 呼吸を正し、空へ浮かぶ99本の内の1本を手に取る。


「てめぇのその腐った頭をボコボコにしてやらぁ! 頭を冷やせぇぇぇぇぇトミーィィ!」







「ポーション・ガトリング!」





「オラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララッッッッッッ!!!!!!」




 絶えず、速く、空中にあるポーション99本を連続で投げ続けた。

 空の99本はまるでゆっくりと浮遊しているように見え、俺は回収しては投げ、回収しては投げを繰り返した。

 99本が地に落ちる前に全て回収し、トミーへ向かって投げ込んだのだ。


 最後、ホルダーにある1本を手に……トミーの顔面にポーションをぶつける。これで終わりだ。


「あが……が……」


 100本のポーションをぶつけたトミーは全身鎧がコナゴナになり、端正な顔立ちと呼ばれた顔が無惨なことになっていた。

 全身全てにポーションを投げたため……意識は完全に抜けきっている。


「その痛み、ずっと覚えておけ」


 俺はカナディアの元へ行く。


「俺が油断しなければ……ごめん」

「大丈夫です。あなたを庇うのが私の役目ですから」


 カナディアの傷が大したことなくて本当によかった。

 ルネもオスタルもトミーも倒れ……誰も文句が言いようがないほど俺の…俺達の勝利だ。

 【アサルト】と決着を付けることができた。


「にーちゃん……」


 気を失った3人から離れアミナが近づいてくる。

 オドオドしているアミナを見据えた。


「アミナ、君はまだ戻れる。【アサルト】から離れてやり直せ」


 アミナはまだ性根までは腐りきっていない。元々は才能もあるし充分やり直せるはずだ。


「うん……。ねぇ、ならにーちゃんのパーティに入っちゃだめ?」


 アミナは恐る恐る声をかけてくる。縋るような目つきだ。


 しかし俺は首を横に振った。


「君は俺が魔獣の囮にされ殺されたかけた時……俺の死を受け入れただろ」


「……」


 アミナは理解したのか何も答えない。


「悪いが俺は……君を信用できない。分かるな」


「うん……」


「まぁさっきも言ったが……アミナには俺のポーションを破格の値段で売ってやってもいい」


「あ……」


 あのパーティが腐ってしまった原因は……俺にもある。

 俺がもっとこの力に気付くのが早ければ……こんなことにはならずこいつらと一緒にS級の試験に挑めていたんじゃないかと思う。

 そこは俺自身も反省しなきゃいけない所だ。


「君はどうする気だ?」


 一人残るA級のヒーラー職のガル。彼もこのパーティに残る義理はない。


「俺もこいつら嫌いだったけど決して才能がないわけじゃねぇ」


「ああ、そうだな」


 A級はクリアできなくてもB級クエストはちゃんとクリアできるはずだ。

 こいつらがちゃんと反省し、一から鍛え直したらA級相当に戻ることはできるだろう。


「俺が監視してやるよ。それで……今度こそちゃんとS級になれるようにな」


「俺が言う立場じゃないと思うけど……頼む」


 思ったよりガルはいい奴だった。


 後の片付けや介抱はガルやアミナに任せて、俺とカナディアはアメリが待つ【不夜の回廊】へ向かう。



「さよなら……【アサルト】」

さて決着編いかがだったでしょうか。

ポーション・ガトリングは今後も必殺技として出る場面が増えると思います。

【アサルト】の面々は今後も登場予定です。ただ5人に一緒に出ることはなく、各々の未来がどのようになるか……お楽しみ頂ければと思います。



次話から1章ラストイベントの試験編となります。


『期待する』『次も読みたい』『トミーの顔面ざまぁ』


と少しでも思って頂けたら励みとなりますのでブックマーク登録や

下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるともっと頑張れる気がしますので宜しければ!


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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
第2巻が7月20日 より発売予定です! 応援よろしくお願いします!

表紙イラスト
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