34 決戦:A級パーティ【アサルト】
3対1。
数的な意味では絶対不利である。
だけど……それでも俺は負ける気がしない。
理由は1つ。俺がポーションを使って戦うことをこいつらが知らないからだ。
だからこうなる。
「ファイヤーランっんごっ!?」
魔法を唱えるには詠唱し、魔法名を言葉で発しなければならない。
口を開けた時点で速投げ0.1秒のポーションをつっこむんだ。何もできやしない。
ルネはポーションを口から抜くがもう遅い。中身を飲んじまっただろうしな。
「…………!」
「サイレント・ポーション。これでルネは魔法を唱えられなくなった。終わりだ」
ポーションをやんわりと投げて、ルネの頭にぶつけて気絶させる。
嫌な女だが、さすがに女性に傷をつけるのはまずいので相当手を抜いてやった。
「無能のくせに!」
オスタルが近づいてきて、槍で俺を突いてくる。
パリン! パリン!
悪いがその攻撃は全てパリンする。
オスタルは重装甲のタンク職である。右手に大盾、左で槍。何度も何度も槍の攻撃を受け流し続ける。頭にポーションを投げれば勝てるんだが……、
それだけでは腹の虫がおさまらない。
無能、無能……こいつうるせーんだよ。
「オスタル、耐えろよ」
「あぁ!? ごふっ!」
俺はポーションを乱暴にオスタルの盾に目がけてぶん投げる。
あいつの自慢の鋼製の大盾が軋み、変形していく。
当然盾から来る衝撃でオスタルにもダメージがいく。
「タンク職だろ。もっと耐えろよ。オラッ!」
2回、3回、4回、5回。
「オスタルさぁ。D級の時堂々と言ってただろ? 俺がパーティのダメージを全て被ってやるって。いつからそんな腑抜けになったんだぁ、なぁっ!」
ギリギリ耐えられるレベルの投擲をのんびり歩きながら、一本、一本投げていく。
「俺の作ったポーション美味しかっただろう? 今まで何本飲ませたと思ってんだよ。オラッ!」
「ひいぃ!」
ガツンと音を立て、大盾はぐちゃぐちゃに変形していった。
もはや盾と呼べる代物でない盾を捨て、オスタルは両手で槍を持ち攻撃してくる。
「……何なんだよ……、どうなってんだよ!」
俺は全てをパリンするため、ダメージは一切くらうことはない。
そろそろ終わらせよう……。
「オスタル、気付かないのか? 俺がただ……受け流していただけとでも思っているのか?」
俺は雷属性の魔石を合成させたサンダー・ポーションをオスタルにぶん投げた。
ポーションは割れ、雷属性の魔法攻撃がオスタルの全身をかけめぐる。
「があががががああががああ!」
俺がパリンをするために使用したポーションは導電率の高い液体を封入したものになっている。
俺を攻撃するたびにオスタルはその液体にまみれてしまうのだ。
そこに電気を流せばより良い効果を発揮してくれるのだ。
オスタルは気を失い、倒れ込んでしまった。
ルネが倒れ、オスタルが倒れ……さっきから棒立ちのトミーは青い顔をして止まっている。
「リーダーが手足を動かさないなんてどういうつもりだよ」
「くっ……」
さてと……決着を付けよう。






