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27 対砲弾龍戦⑥ ミルヴァ視点

「まずい! 全員撤退しろ! 主砲が飛んでくるぞ!」


 ヴィーノさんは大声で拡声器で最前線へ怒鳴りつけます。


 そして……私にいきなり抱きついてきたのです。


「きゃっ、ちょ、何ですか!」


「うるさい、ちょっと黙ってろ!」


「もう! カナディアさんにバレたら……まぁ私、年上好みですし、ヴィーノさんが優しくしてくれるなら……って」


 見張り台から一緒に飛び降りた!?

 落ちる、落ちる、落ち~~~る!


「滑空装置を機動させるぞ!」


 そうだ、逃走用にグライダーをつけていたんでした。

 風魔法を利用した魔法機械で高所からゆっくりと滑空することができます。

 私とヴィーノさんは大通りに降り立ちました。


 ヴィーノさんが走って向かう所に私も追っていきます。


 砲弾龍の近くまで近づきます。

 遠い所では分かりませんでしたけど……思った以上に大きくて怖いです。


「ヴィーノさん、砲弾龍は何をしようとしてるんですか?」


「忘れたか? 3度の奇声を上げた後、額のコアが赤く光り、口から放たれる熱線は全てを焼き尽くし、なぎ払われるってギルドマスターの親父が言ってただろ」


「ああ、そういえばそうですね。3度の奇声を上げて……ちょうど今、額に何か出てきましたね」


「あれがコアなんだろう。大技をぶっ放す時に露出させると見た」


「あの……、もしかしてこの後熱線が出てくる……とかじゃないですよね」


「出てくるぞ、ほらっ、砲弾龍の口が開き始めただろ」


「……。ここにいたら熱線に巻き込まれるとかないですよね」


「直撃するな。恐らく骨も残らない形になる。なんで、君は逃げなかったんだ?」


 あっけらかんと話すヴィーノさんに私の肝は完全に冷えてしまった。


「いやぁぁぁぁ!! まだ彼氏もいないのに死にたくないですうぅぅ! すぐ逃げましょう!」


「無駄だよ。なぎ払うって言ってただろ。今更どこに逃げようとも熱線で周囲をなぎ払われたら一緒だ」


「じゃあ……どうするって言うんです! ヴィーノさん、何とかしてください!」


 ヴィーノさんは懐からポーションを取り出しました。


「俺は【アイテムユーザー】。ポーションを取り扱うことしかできねぇ……。だからポーションで何とかしてやる」


 もうやだぁ……。遺書を書いていればよかったです。

 なおも開き始める砲弾龍の口。中から紅く光る何かが見えます。あそこから熱線が放たれるのでしょうか。


「ぐすっ、お母さん……」


「大丈夫だ、ミルヴァ。俺を信じろ」


「で、でも!」


「この貴重なボム神の欠片を入れ込んだボムポーションがここにある」


 ヴィーノさんはぐつぐつと揺れるポーションを握りしめました。

 確か……ミサイルの時も爆発魔獣であるボムの欠片を入れていた気がします。


「決着をつけようぜ砲弾龍!」


 ヴィーノさんは大きく振りかぶり、ポーションをぶん投げました。

 今回はまっすぐ……とてつもない速さです。

 砲弾龍の口の中から出現する熱線も同じく解き放たれました!


 でも……ヴィーノさんの投げたポーションの方がわずかに早かったのです。

 砲弾龍の口の中で熱線を受けて爆発したポーションは爆音を経て、砲弾龍の口の中を破壊したのでした。



 ガアアアアアアアア!


 砲弾龍から悲鳴が上がり、もくもくと黒い煙が出現します。



 だけど……まだ砲弾龍は動きます。


「くそっ、まだ決着がつかねぇのか! だったらカナディア!」


 その声と同時に美しい黒髪と俊敏な動きで魅了するA級冒険者のカナディアさんが現れたのです。

 向かう先は……熱線を出すためさっきまで紅くなっていた額のコア。

 おそらく……ここが最大の弱点なのでしょう。


 カナディアさんは飛び上がります。


「一の太刀【落葉】!」


 飛び上がったカナディアさんが大太刀でコアを思いっきり串刺しにします。

 その勢いと強さは……どんなモンスターも串刺しにしてしまう。そんな感じでした。


「くっ、それでも固いのか」


 刀はコアから弾かれてしまい、手応えはないようです。ヴィーノさんもカナディアさんも表情を渋らせます。

 砲弾龍は再び動こうとしました。


「ヴィーノ、プランBを! これで決着をつけます!」

「分かった。気をつけろよ!」


 ヴィーノさんは再びポーションを取り出しました。

 飛び上がるカナディアさんの口にめがけてポーションを投げ飛ばします。

 カナディアさんは口で受け止めました。


 何か水生動物に魚のエサに与えてるみたいですね……。


 予想通り、口の中がポーションで満たされたカナディアさん。その効果はすぐに現れたのです。


「天使……?」


 私はそう呟いてしまいました。

 カナディアさんの背に生えた……白く美しい羽。

 まるで……天使の羽のようでした。そのまま……カナディアさんが高く飛び上がります。


「フェザーポーション。一定時間、浮遊の効果を与える特殊ポーションだ」


 そんなバカな……と思いつつもカナディアさんが踊るように白い天使の羽をはためかせるのです。


「なんて美しい……」

「ああ、確かに」


 私もヴィーノさんもその動きに見惚れていたんだと思います。


 太陽の力を受けた黒髪の天使は大太刀を下に向けて急降下しました。

 その勢いはさっきの攻撃より断然強い!


「一の太刀・終極【枯葉】!」


 砲弾龍のコアは砕け落ち、同時に砲弾龍の活動が収まりそれから……動くことはありませんでした。


 無茶苦茶なポーション使いと黒髪の天使のおかげで……私達は勝ったのです。

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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
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