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24 対砲弾龍戦③ ミルヴァ視点

 はい、私の名前はミルヴァといいます。

 15歳で成人した私はさっそくこの街のギルドの受付係に配属となりました。

 と言っても地元がこの街なので当然といえば当然です。


 口うるさいギルドマスターやたくさんの冒険者さんと会話をして楽しくやってたわけですが……、まさか1年目でこんなとんでもクエストに参加させられるとは思ってもみませんでした。


 今、私は街の見張り台でこのA級冒険者のヴィーノさんと一緒にいます。


 ヴィーノさんはあまり良い噂を聞かないA級パーティ【アサルト】のメンバーでした。

 何度かこの街にも来られてたのは覚えています。【アサルト】の時は後ろに控えている感じで影も薄くて、この間会った時に追い出されたと言っていてびっくりしてたんですよねぇ。

 でも今やこのクエストの司令塔になっています。


 他の冒険者さんからもアイテム係と言われバカにされていたようですが、最近のヴィーノさんは自信をつけられたのかかなり堂々としていました。

 実際カナディアさんと組んでクエスト成功率100%ですし、ギルド内でも話題になってましたね。


 でもやっぱちょっと変な人です。

 昨日も作戦会議の後、ギルドマスターにありったけのポーションを準備させていました……。

 ポーション1000本持ってこいはアイテム屋の店員さんもびっくりだったんじゃないでしょうか


 今私の側には大量のコンテナが積まれており、それらは全て夜にヴィーノさんが調合したポーションだそうです。


 それにしてもこれをどうやってこの見張り台に運んだんでしょうね。

 私がここに来た時にはすでにありました。

 足の踏み場がほとんどないのですが……。


「ヴィーノさん」

「なんだ?」


「このポーションってどうやって運んだんですか?」


「ああ、簡単なことだよ。冒険者は持てるアイテムって制限があって十数個しかないんだけど、【アイテムユーザー】は1個を99個とすることができるんだ。つまり俺は今10個のポーションを持っているように見えるけど実は1000個近いんだ」


「……?」


 まるで意味がわからない。


 つまり、ヴィーノさんはその力のおかげで1000本近くのポーションを常時持つことができるってことなの? 


 そういえば、前にこの街に来たS級冒険者で声が渋い弓使いさんもなんか無限に矢を撃てるみたいなこと言ってましたね。


「無限矢筒だ」


 あれも意味不明でしたね。

 冒険者ってたまに時空を超越したことしてくるので困ります。

 考えるのやめよ……。


 ちなみに今回は外に出しておいた方が管理しやすいからということでこの場に置いてるようです。

 しかもさっき……ソーサレスの方の口にポーションをぶん投げてたし、私の知っているポーションの使い方と違います。


「あ、2番のソーサレスもMP切れです」


「了解」


 ヴィーノさんはマジックポーションのコンテナから1本、ビンを取り出し、そのままぶん投げました。

 ソーサレスさんの口の中に入って、MPを満たしていきます。

 よく……口の中、ケガしないなって思います。


 後々聞いて見たら冒険者さん達も最初は飛んでくるポーションが怖かったようですが、1回口で受けると快感に変わるそうで、恐怖がなくなるそうです。

 あのポーションには何が入っているのでしょうか。麻薬でも入ってるんですかねぇ。


 砲弾龍の背中から何か煙が出始めました。


「いよいよ主力武器のお出ましか」


 背中からにょこっと速射銃みたいなものが出てきて、そこから砲弾が出始めたのです。

 正面のファランクス隊も側面のナイト隊もその砲弾で注意をそがれます。

 魔獣の背中には6つの砲台が存在している状態です。


「どういう仕組みであんな体になったんだろうな」


 それは思います。弾も金属でないでしょうし、生命の神秘ってやつですね。


「ソーサレス隊、前方2つの砲台を打ち落とせ!」


「残る4つはどうするんですか?」


「俺がやる」


 え、そこからどうやって……っと思ったら、ヴィーノさんはポーション瓶を手に、大きく振りかぶってぶん投げました。


 いやいや、あんな小さい的に当たるわけ。


 パチィィィィンン!


 それは瓶が割れた音か砲台が壊れた音かは分かりません。

 でも砲台の1つが完全に砕けていたのです。


「おい、ぼーっとしてんな! 攻撃しろ!」


 拡声器で叫びつつ、ヴィーノさんは2つめの砲台を破壊します。

 そのままの勢いで3つ目、4つ目を破壊しました。


 今砲弾龍がいるところって、相当な距離ありますよね。双眼鏡使わなかったら速射銃なんて豆粒ですよ。


「よく届きますね……」


「距離による減衰もあるから威力は落ちるがあの距離と敵の動きだったら絶対に当てられる」


 やっぱヴィーノさんっておかしな人なのかもしれません。


 ソーサレス隊の攻撃もあって砲台が全て破壊されました。



 ギャアアアアアアアアア!


 ナイト隊の攻撃もあって砲弾龍が叫び声を上げ、倒れ込みます。


「よーし、チャンスだ!」


 猛攻撃の開始です!

今後ヴィーノは常にホルダーに1000個のポーションを持ち運んでいると思ってください。


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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
第2巻が7月20日 より発売予定です! 応援よろしくお願いします!

表紙イラスト
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