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123 緊急クエスト②

 3日が過ぎて王国北西の砂漠地帯にて【覇巌龍】が出現したという報告を受けてクエスト開始となる。


 事前準備もしっかり出来ていたし砲弾龍の戦いに比べたらかなり余力のある状態だ。

 大きな戦闘を楽しめそうだな。


「おはようございます。シュトレーセです。この戦いに赴かれる方々、王国の危機に勇敢に立ち向かって頂き、王家を代表してお礼を申しわげます」


 王国で最も人気の高いシュトレーセ姫までいるんだから士気も上がるってものだ。

 活躍した冒険者、兵士達には姫から直々に勲章をもらうことができるらしい。


 ちなみにシュトレーセ様は王家が誇る魔法の軽鎧も着られており、これまたかわゆい。

 カナデ達が守護する形となるからうらやましーな。戦闘を終わるまでにお話できればいいんだが。


「前置きはここまでにして……さぁ、皆様……破滅級をぶっ倒して、勝利の美酒に酔いましょーーーーっ!」


「おおおおおっ!」


 冒険者達は荒くれ者が多い。

 堅苦しい挨拶で頑張ってと言うより軽くこうやって言ってくれる方が親しみを感じて心地よい。


 王家の規律を求める派からはシュトレーセ様は好まれていないが、着実に地に足をつけて頑張ろうとしている様はすごいなと思う。

 これでカナデと同い年ってことか。


 何となく……良い未来が見える気がする。

 それを実現させるために夫として頑張るとしよう。




 ◇◇◇



【覇巌龍】の最前線部隊の第一軍として俺は組み込まれることになった。

 メンバーはペルエストさん、アメリ、シィンさんと俺である。

 S級の俺はまだまだ新米だし、支援役という意味合いが強いので先輩3人の手助けに専念する予定だ。


 人は24時間ずっとは戦えない。

 数時間戦ったら撤退し、S級メンバーと交代することになる。


 今回はペルエストさんもいるし……早く終わるんじゃないかと思っている。


「ヴィーノ」


 カナデが近づいてきた。

 後ろにはスティーナ、シエラ、ミュージとポーちゃんが控えている。


「砲弾龍戦とはわけが違うと思うので……気をつけてくださいね」

「そちらもな。姫様を守らないといけなくなるから……無理する形になると思うけど油断はするなよ」

「こっちは最後衛ですからね……。戦闘になった時点でもうヤバイと思います」


 それは確かに……。

 最終防衛ラインに到達してるってことだからな。

 人相手ならともかく、魔獣相手にそうなることはほぼないだろう。


「絶対に戻ってきてくださいね。私が側にいないと心配で心配で」

「俺は子供か! いやでもありがと」


 カナデの頭をそっと撫でて、俺は移動用の四駆魔導駆動車ある所へ進む。

 心配そうな顔をするカナデに側にいてあげたい気持ちが芽生えるけど……仕方ない。

 大きな戦いでは基本一緒に戦うことがほとんどだったからな。


 駆動車にはすでに全員が揃っていた。


 何というか三者三様だった。


「カナディア……あのお転婆娘もあのような顔が出来るようになったのだな」


 ペルエストさんがおじいちゃん、お父さんチックな表情になってる!

 黒の里からカナデを連れ出したのはこの人だから感慨深いのか。


「健気でかわいーな! もっと笑顔が一番だぜぇい!」


 アメリのテンションは高い。この人はもう思うがままだな。


「ギリギリギリギリ、ウラヤマ悔しい」


 シィンさんは放っておこう。


「遅くなりました! 行きましょう!」


 S級冒険者4人を乗せて……現地へと出発だ。



 ◇◇◇


「これは想像以上だな……どれだけでかいんだ」


「一説によるとシロナガスクジラ100体分の全長と言われているな」

 

 遠くからでも分かるほど覇巌龍のサイズは凄まじかった。


 ペルエストさんが葉巻に火をつけてそんな言葉で返してくれる。

 いやいや、クジラですらでかいのにそれはありえないだろう……。

 もう街じゃないか。


 当然跳躍では届かない高さを誇っている、山かな……。


「ふむ、何とか撃破したいな」


 これだけでかいとどんな攻撃も効果を発揮しないだろう。

 なので【覇巌龍】戦では基本撤退させるのが主な目的となる。


 しかし……シィンさんの言う通りなるべく倒したい。

【覇巌龍】ほどの規模となると表皮だけで莫大な利益となるのだ。

 全部の素材を売ったら相当に儲かるぞ。

 数少ない生物の保存? そんなん知らん!


 例えば実際こいつが帝国側にいったりしたら……帝国側の冒険者達が狩り取るだろう。

 今回他国からも支援の申し出があったらしい。利益の分け前を欲しいんだろうな。

 王国は冒険者が充実してるからいったん断ったらしいが……。


 現地に到着した頃にはすでに戦闘は始まっていた。


 成果を上げたい第一線組が砂上船に乗っていち早く現場に到着していたのだ。


「おーやってんなぁ!」


 だがこれだけのサイズだ。前衛はまともに仕事はできない。剣で一発殴った所で痛みすらないだろう。

 基本的に遠距離と魔法攻撃でチクチク一方向から攻撃させて進路を街へ進むのを防ぐのが目的となる。


「この光景はマジで異常だな」

「俺が想像していた現代の戦いとはまた違うな」


 アメリとペルエストさんが先遣隊の戦いの様子を見て呆れたような言葉を残す。


 そんなこと言われると俺的には面白くない。

 なぜなら先遣隊の冒険者達はポーションに乗りながら移動して戦闘をしているのだから。


 俺達が乗っているのは帝国から購入した魔法の力で動く四区駆動車。

 1台あたりがお高いのでそこまでの数は購入できない。

 当然S級の運搬に使われるのである


 この駆動車が一般的になったらもっと戦い方は変わるのだろうな……。

 今までは砂上船で大人数を近くまで輸送してそこから馬や馬型魔獣を使っての移動手段が主流であったのだ。


 だけど馬達では急な方向転換はできない。そうなると出番は俺が作ったセグウェイポーションである。

 ポーションを導力とした移動道具。スピードはそこまで出ないが走るよりはよっぽどよい。

【覇巌龍】の移動に沿って魔法や遠距離攻撃をすることができる。


 セグウェイポーションをかなりの冒険者に配っている。

 大量生産しておいてよかった。


「ポーションに乗って移動する冒険者かぁ……」


ポーションはもはや回復薬だけの物ではないんだよ!


「俺達も行くとしようか」

「ういっす!」


 S級冒険者である俺達も同じようにポーションで陸地を移動するか? そんなわけがない。

 A級以下とはレベルが違う俺達S級は空から行くのだ。


「ゴー! ジェットポーション」


 ポーションなのは変わりないけど。

発売まであと1日です! 

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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
第2巻が7月20日 より発売予定です! 応援よろしくお願いします!

表紙イラスト
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