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113 王国へ ※ミュージ視点

 何となくだけどさっきの騒動で聞き忘れてしまった。

 本当にパーティに誘ってくれるのかどうか……。

 そんなわけないじゃんと言われるのが怖い。

 そんなはずないと思っているんだけど……。


 ヴィーノ達は帝国での仕事を全て終え、引き継ぎもしっかりしてきたようだ。

 今日一晩ぐっすり休んで、明日朝一の導力バスで王国の方へ戻るらしい。


 最後の夕食も終わって……あとは温泉に入って眠るだけだ。


「うん……」


 僕に必要なのはいつだって覚悟だ。

 恐怖してしまうから魔法も成功しないし、上手くいかない。


 だから一歩踏み出すんだ。


「ヴィーノ!」


「おっ! な、なんだ」


 僕は温泉へ行こうとするヴィーノ一行に声をかけた。


「お願いがあります!」


「へ?」


「ぼ、僕を……パーティに入れてください!!」


 ここまで大きな声を出したのはいつぶりだろうか。

 後ろにメロディもいるのに……狼狽えて恥ずかしいマネをしてしまったのかもしれない。


 だけど……今しかなかったんだ。


 ヴィーノは微笑んだ。


「当然だ。もうミュージは俺のパーティの一員だろ」


 その言葉が嬉しかった。認められたんだって……僕はヴィーノのパーティの一人としてやっていけるんだって本当に思った。


「ミュージが来るのを楽しみにしていますね」


 カナディアは黒髪をなびかせて優しげに言う。


「下働き要員として頑張ってもらわないとね」


 スティーナが意地悪く笑う。


「魚料理覚えてから来て」


 やっぱり食うことしか考えてないシエラが言う。


「ミュージ、良かったね」


 後ろでメロディが涙ぐみながら応援してくれた。


「15才になったらすぐに王国に来い。持ってるから」




 こうして王国の若きS級冒険者達は帰って行った。


 日常は戻り、ヴィーノがいる内に大量のバッテリーポーションをもらった僕は毎日1本、魔法を込める練習を行って勘が鈍らないように修行した。

 それと伴って外国の就労にはいろんな手続きが必要なため15才になるまでに役所を駆けずり回ったんだ。


 そして少しでも家族と一緒にいられるように宿の手伝いやメロディと一緒に夜遅くまでいっぱい話して……ついに王国へ行く日が来た。


 ヴィーノ達には事前に手紙でこの日に向かうことも伝えている。

 向こうでの手続きもやってくれ、しばらくはヴィーノの家で暮らさせてもらうつもりだ。


 王国での滞在書や就労書も忘れずに持ち、故郷である朝霧の温泉郷から旅立つ。

 泣いたままのメロディをなだめるのは大変だったけど……それでも僕は成人して新たな道へと進むんだ。


 育っててもらったメロディの両親に礼を言い、いつか帰ってくる日のため僕は帝国を旅立った。


 導力バスを乗り継いで、国境を抜ける。

 王国に入ってからは馬車に乗って王都へ到着する。


 帝国に比べたら技術レベルは低いけど……軍事的には王国のレベルは非常に高い。

 冒険者の質が高くてその落とし込みがされていると聞いたことがある。


 王都は古風の街並みながら……温泉郷とは比べものにならない規模だと感じた。

 さっそくヴィーノ達が住む商業街目指してゆっくりと歩く。


 観光は……ヴィーノ達と会ってからでもいいだろう。

 早く会って……成長した僕の姿を見せたい。

 この角を曲がればヴィーノの家だ。


「ここか……」


 さすがS級冒険者。大きな家に住んでるなぁ。

 確かカナディアとシエラも一緒に住んでいるんだっけ。

 この規模なら4人でも十分かな。


 僕は扉を開けた。


「こんにちは! ミュージ……です! 久しぶり」






「ヴィーノ! いったい私達3人の誰を選ぶんですか!」

「あ、……いや……その! 俺はそういうことを言ってるんじゃ」

「普通は妻である私ですよね!」


「ん、黒狐は黙ってる。シエラを選ぶべきだと思う」


「ここはあえて、あたしを選んでみるとかない?」


「……」


 僕が所属しようとしているパーティのリーダーは3人の美女に迫られ……あたふたとしていた。


 これは修羅場ってやつかな。


「よし……!」


 ヴィーノはふいに僕の方を見る、驚いたような顔を見せた。

 でもその顔はどっちかというといい案を思いついたという感じの顔だった。


「ミュージ! 君に決めた!!」


 どうやらハーレム男の修羅場に僕は組み込まれてしまったようだ。


「実家に帰っていいかな?」



【後書き】


ちょっとした事情で本編の欄に後書きを書かせてください。

今回で5章完結となります。


 本作の2巻が7月20日に発売となり、発売日から遡って第6章を毎日投稿しようとおもいますのでちょっとの間お休みとさせて頂きます。


そのお詫びですがシエラとミュージのラフ画を公開させて頂きます。

良ければどうぞ!


※シエラ


挿絵(By みてみん)


実に神々しいですね!

ヴィーノが喜ぶに胸に腕を挟むという行為もこの胸ならたやすいということです。

無防備なヒロイン、2巻では最大級の登場となります。挿絵登場回数も最多!


※ミュージ

挿絵(By みてみん)


ハーレム軍団に舞い降りた男児!

見た目は完全な美少年なので彼もまたヴィーノハーレムの一員かもしれません。

ただ男の子ゆえにカバーと口絵に登場しないのでカラー版は実はラフしかない事実。

ですが書籍版では彼のために2枚挿絵がありますのでお楽しみください。


※??

挿絵(By みてみん)


彼女の登場は6章がメインとなります。

どういうキャラがお楽しみください!

みんなのマスコットキャラとなります!


それでは6章 ポーション使いと最強の仲間達をお楽しみ下さい!


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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
第2巻が7月20日 より発売予定です! 応援よろしくお願いします!

表紙イラスト
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