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92 美女3人と温泉に入ろう①

「は? 何おかしなことを言ってんのよ」


「何もおかしなことはない。ここの温泉は混浴なのだから、親睦を深めるために一緒に入ろうと言っただけだよ」


 トイレから戻った俺はさっそく、女性陣を説得することにした。


「ふーん、最初からそれが目的だったわけか」


「なぁ、シエラ。みんなで一緒に入るのがいいよな?」


「ん? よく分からないけどいいと思う」


「さすがシエラだ。じゃあみんなで一緒に入ろうぜ!」


「ヴィーノ、私は妻だから……いいですけど、他の2人は未婚ですし」


 俺はカナデの肩に手をポンと置く。


「みんなで一緒に入ろう」


「え、っとだから」


「みんなで一緒に入ろう」


「……は、はい。分かりました」


 悪いがこちらも本気だ。

 ごり押しさせてもらう。


「スティーナ、一緒に入ろう」


「その意気込みをもっと他で出せなかったの……?」


 はぁっと息を吐き、スティーナは了承してくれた。

 シエラは問題なし、カナデは押し切る。スティーナは前2人がOK出すならなし崩しで了承する。

 伊達にこの3人と共に過ごしていないのだ。


 よし……気が変わらないウチに温泉へ行くぞ!


 今回のバカンス、ごほん……仕事の準備は全て俺が行った。

 宿の予約自体はギルドが行ったのだが宿の選定は俺の意見が大いに反映されている。

 その中の1つが大きな温泉での混浴風呂である。


 実際、ここは混浴という概念はなく冒険者専用の別館なので自分達で勝手に時間を決めて入れというものだ。

 別で入るか混浴かは各々の判断で決めることができる。

 当然、俺はみんなで一緒に入るのが正解だと思う。


 更衣室だけは男女に別で用意されており、速やかに服を脱ぐ。

 ポーションは……さすがに置いていくか。


「おおっ、でかい!」


 扉を開いて外へ出た俺は大きな露天風呂が視界に入る。

 本来は大浴場というものを経て、外の露天風呂へ行くらしいがここはそのようなものはない。

 体の洗い場も別で用意されており、どうするかちょっと迷う。


 ここは湯船に入るとしよう。

 更衣室にどかっと壁に書いてあったルールを思い出してかけ湯をしてから温泉浴槽に入る。

 乳白色のにごり湯のようで底は見えない。


 王国には温泉文化はない。

 俺は浴槽でのんびりするという習慣がなかったため新居を選びの際もこだわりがなかったんだけど、そこはカナデが強く声を上げた。

 何より……大きい浴槽の方がゆっくりできますし、一緒に入れますよ……とはにかみながら言ったことでウチの浴槽はそれなりに大きい。

 ただ未だ、一緒にお風呂は成し遂げられていない。

 シエラが来るまでに果たしておけばよかった。


「いい熱さだ」


 街中であるため、まわりは高い仕切りで区切られている。

 もう少しお金を払って高級温泉宿へ行けば景観の良い温泉へ入れたことだろう。


 景色というのは大事であるが俺にとって一番見たいものはそこじゃない。


「へぇ……結構広いじゃない」

「おふろ、おふろ」

「ヴィーノ、もう入っていたんですね」


 来たっ!


 俺はばっと振り向いた。

 その素晴らしい光景をずっと目に焼き付けようと、脳内に記憶しようとした。

 変態とかクズとかなじられようともこの時だけは自分の欲に忠実にいようと思ったのだ。


「……あ……え?」


 その姿は想像していたものと違っていた。

 3人とも……艶めかしい肌は見せているものの……しっかり湯着で隠してらしたのであった。


「なんぞぞれぇ!?」


「うるさいわねぇ、美女3人と一緒に入ってあげるんだから喜びなさいよ」

「温泉たまごとかないの?」

「大きな声出しちゃダメですよ」


「そうじゃない。いや、温泉に湯着ってダメ……だろ」


「ダメじゃないわよ。湯着ってそういうものだし……」

「混浴っていうこともあるから。女子更衣室には置かれているんですよ。昔良くないことがあったようで……」


 ああ……マジか。

 俺は恥ずかしがりながらも手で隠しながら近づいてくる所を想像していたというのに……何ということだろうか。

 湯着って……えぇ。


「カナデぇ……君は着なくてもいいだろう」

「いやですよ! 私だけ裸なんて!」


「シエラは……」

「いいけどスティーナがダメって」

「どうせそんなことだろうと思っていたわよ。シエラ、かけ湯して入りましょ」


 これだったら……暑い気候の所で海のバカンスでもよかったな。

 呆然としていると3人がずっと俺の方を見ていた。

 いや、視線が何か……俺の体じゃなくてさらに↓を見ているような気がしなくもない。


 そこで気付いた。


「これがヴィーノのアレかぁ。カナデは見慣れてるんでしょ」

「そ、そういうわけではない……ですよ」

「ヴィーノのポーション、かわいい」


「君らドコ見てんの!?」


 タオルは湯に浸けてはいけないと聞いていたため、隠さなかったことからばっちり女性陣に見られてしまっていた。

 俺の大事なところをポーションで例えるんじゃない! 大きいのか小さいのか分からないだろうが!


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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
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表紙イラスト
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