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88 カナディアとシエラ②

「あの……ヴィーノ、いいですか?」


 カナデが夜、俺の寝室にやってきた。

 シエラが来てからは情操的に俺もカナデも別々の部屋で休んでいたのだが、今日は枕を持ってやってきたのだ。


「ど、どうしたんだ?」

「白狸が今日は静かじゃないですか。私、昨日出張でいなかったですし。たまにはヴィーノと一緒に寝たいなぁって」

「あ、ああ。嬉しい……う、嬉しいよ。で、でも」

「何でそんなに汗を流しているんですか?」


「ヴィーノ、何してるの」


 後ろから聞こえたシエラの声にカナデの瞳のハイライトが消え失せる。


「へぇ……汗を流していたんですねぇ」

「違う、何もしてないんだ! カナデが気付くから早く戻ってくれって焦ってただけで」


「白狸は……そんな格好で何をしてるんですか」

「ヴィーノに春を買ってもらおうとした」


 シエラの寝間着は白のネグリジェである。

 冒険者稼業の報酬で手に入れたようだが……なかなか肌の露出の多い服である。

 ボタンを外して胸元を見せて、男が見たら激しく心を乱すポーズを取る。


「さっきまでそんな格好じゃなかったよな!?」

「へぇ……妻との営みは避けて浮気とはいい度胸ですね」

「カナデさん、鞘を抜いた大太刀を向けるのはやめてくれ」


 こうなるって分かってたからいやだったんだ!


「シエラは誰かと一緒の方がよく眠れる。昨日、ヴィーノが横にいてくれてすごく眠れた」

「私が出張中にそういうことしてたんですね」

「本当に手は出していない! 心に誓って!」


 カナデはゆっくり息を吐いた。


「まぁいいです。どうせ白狸のあてつけでしょうし……ただし!」


 カナデは俺の胸元に飛び込んでくる。


「白狸に優しくしたら……私に3倍優しくしてくれること。私の頭を撫でてかわいいって言ってくれること。もっともっと私に構ってくれること! いっぱいいっぱいちゅーしてくれること」


「カナデ、結婚しよう」

「もうしてます!」


 俺の嫁は誰よりもかわいい。

 あまりの可愛さにカナデを持ち上げてベットに押し倒す。

 カナデにもたくさん構ってあげないとな。めっちゃくちゃ愛してやる。


 肩を寄せ合い、すっとほっぺにキスをする。

 このまま……夜を、っと思ったら肩を叩かれた。

 首をそちらに向けると……。


「ねぇ」


 シエラがネグリジェを上にたぐり寄せるとかわいいおへそがちらりと見える。


「ヴィーノ。シエラとぉ~」


 そのまま色っぽく前屈みとなる。

 必然的に緩い胸元は開いており、視線はそちらへ向いてしまう。


「イケナイことしよ」


「イ、イケナイこと!?」


 なんだイケナイことって。

 とても知りたいです!


「……誰かそんなこと教わったんだ」

「スティーナから」


 あの女……何を教えているんだ……。


 あっちを立てれば、こっちも立てなきゃいけなくなる。

 いや、妻を優先するのは分かっているだけど……まじない効果かシエラを無碍にもできない。


 今度はカナデが俺の腕を引っ張った。

 不満足そうに顔を歪める。


 ど、ど、どうすれば……。

 だったら……。


「あ、分かった。3人一緒に寝よう! 今日はそれでお休み!」


 右手にカナデが絡みつく、左手にシエラが絡みつく。

 ああ……幸せなんだろうけど……これは何だかいかん気がする。

 だったら据え膳食わぬは男の恥という言葉があるように2人とも手を出していいのではと思ってしまう。こんなかわいい2人といつまでも……。


「すぅ……」

「ぐぅ……」


「君ら……本当は仲良いだろ」


 2人とも2分で寝息を立てるのはお約束なのだ。

 寝息をたてられたら何もできない。

 シエラと寝た時もこのパターンだったからな。寝てる子には手を出さないように一応一線は守っている。

 まぁ……寂しかったのは間違いないのかもしれない。


「ふぅ……」


 もうスリープ・ポーションに頼る必要もない。

 黒髪、白髪の美少女と共に眠りにつくのだ。


 ……翌朝。



「すぅ……すぅ……」

「ぐぅ……ぐぅ……」

「ふにゅ……」


 右にカナデ、左にシエラ。

 そして俺の胸に抱きつきながら寝ている、金髪の女がそこにはいた。


「……。は? 3人に増えとる!?」

「ふわぁ……あ、起きた?」


「スティーナ、君は何をやってるんだ?」

「もう、あたしだけ違う所に住んでるから寂しくて……」


「いつからいた?」

「シエラのネグリジェからはみ出そうな胸を凝視し始めた時から」

「最初だねぇ!」


 この女、カナデが来る前から幻影魔法で忍び込んでいやがったのか……。

 俺はスティーナの両手を捕まえて万歳にさせる。

 逃げられないように足でスティーナの足を固定する。


「な、なに?」

「俺、前言ったよな。侵入してきたらお仕置きするって」

「え……と」

「カナデ、シエラ起きろ。この泥棒女にお仕置きしてやれ」

「ふわぁ……分かった」

「んぅ……スティーナったら……いけない人ですね」


「ちょ、こら、やはっ!? 寝ぼけながらくすぐってくるのやめて!……ちょっと脇腹はやめてってば!?」


 俺は……朝から何をやってんだろうか。


「な、何かあたし扱い悪くない!? きゃははは! ちょっと、ヴィーノ、聞いてる!? ひゃははあ!」


「女3人……三者三様すぎて……疲れる」






















「というようなことがあったんです」


「ハーレム男は死ぬがいい」


 シィンさんにめっちゃなじられた。

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書籍版ポーション160km/hで投げるモノ! ~アイテム係の俺が万能回復薬を投擲することで最強の冒険者に成り上がる!?~』
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