01 パーティのお荷物
「何やってんだよ、てめぇは!」
お約束の暴言だ。
クエスト終了後の打ち上げを行う行きつけの酒場でそんな言葉を投げかけられる。
荒々しい言葉と共に俺の顔のすぐ横を酒瓶が飛んでいき、表情を変えずじっと手を握る。
こんなことはA級パーティ【アサルト】では日常茶飯事だ。
荒々しい文句を言うやつは大体決まっている。
酒瓶を投げてきたのはタンク職【ファランクス】のオスタルだ。そして次に苦情を言うのは間違いなくこの女である。
「ほんと使えないアイテム係よね。戦う力はないし、大げさなこと言って騒いでばかり、回復も遅いんじゃ意味ないわよ」
魔法職【ソーサレス】のルネだ。
「まーまー、にーちゃんも頑張ってるじゃん」
1人年下で陽気な言葉をかける格闘職【グラップラー】のアミナも内心は不満に想っていることだろう。
「やはり……そろそろヒーラーが必要か」
今まで黙り込んでいた戦士職【ナイト】であり、リーダーのトミーは重い腰を動かした。
そう、この4人と支援職【アイテムユーザー】である俺、ヴィーノがこのA級パーティの一員である。
こいつらとは見習いのD級時代からの付き合いで俺にとっても初めてのパーティだった。
クエストをこなしてトントン拍子でランクアップをした俺達だったが……俺だけが成長速度に追いつけず、いつのまにか足手まといになっていた。
A級パーティは街で1位、2位を争うほどの依頼達成率を誇る冒険者パーティとなる。
だが、俺達の目標はさらに上のS級パーティだ。
S級ともなれば国の依頼がまわってきて、莫大な報償金と名誉が与えられる。
だからこそ俺達はS級に挑戦するために難しいクエストを毎日こなしているのだ。
……でも、正直俺自身も限界だと自覚している。
15歳で成人し、冒険家ギルドに名簿登録する際、神託という形で職を啓示される。
その際、俺はここ十数年でなり手が1人、2人しかいない、最弱にして最底辺職である【アイテムユーザー】であった。
その十数年前のなり手がとても無能だったらしく、そのおかげで俺の評価はひどいものだった。
幸いこの交易の街は回復のできる支援職、つまり【ヒーラー】が少なく、D級、C級の時はまだ回復役の座から追い出されることがなかったのだが、今やこの通りだ。
もちろん堕落していたわけじゃない。
必死に鍛錬もしたし、斥候、警戒、荷物番、運搬、料理から野営の準備までできることはやった。
それでも一度染み込んだ無能の烙印を消すことはできなかった。
また、歴代で職を変更できた人もいたため、剣や魔法も頑張ったが俺にアイテムを扱う以外の才能はなかった。
どっちにしろA級ですら過ぎたモノなのにS級なんてなった暁にはもっとひどいことになるだろう。
「おい、無能! 次、トロいマネしたら追い出すからな!」
そう思うんなら回復に頼らない戦いをしてほしいもんだ。
正直、4人の回復で手一杯な所がある。俺にも攻撃能力があれば……こんな目に合わないのだろうか。
吐き捨てるような言葉を出すオスタルに口を出すと倍にして返ってくるため我慢を強いられることになる。
4年所属したこのパーティにも名残惜しい気持ちもあるが、これ以上はメンタルが限界だった。
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